二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋 ( No.20 )
日時: 2008/10/11 21:44
名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)

「タバサさん、そのベッド使っていいですよ。僕は寝袋で寝ますんで。」

「え?でもそんな・・悪いですし・・・。」

「いいですから、タバサさん病人なんだし、遠慮しないでください。」

「あの、ラグナ様・・一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「はい?何ですか?」

「どうして・・・」

どうして、私のためにここまでして下さるのですか?

と聞くつもりだった。しかし、どんな答えが返ってく

るかと思うと、聞けなかった。今ここで、ラグナの気

持ちを聞く勇気は湧かなかった。

「・・・どうして・・何ですか?」

「・・・いえ、すみません。何でもないです・・。」

「・・そうですか?・・じゃあ、おやすみなさい、タバサさん。」

「おやすみなさい、ラグナ様・・・。」

部屋の明かりが消え、ラグナは寝袋にくるまった。し

ばらくすると、ラグナの寝息が聞こえてきたが、タバ

サは長いこと目を開けていた。

自分がこの町にきた本当の目的____それは、エル

フやドワーフ、モンスター等の、いわば異種族との架

け橋となるべき人間を見つけ出し、結婚すること。も

ちろんそれは、タバサ自身の気持ちの問題もある。そ

うそう簡単に見つかるようなものでもない。思えば仲

間達からどれだけ反対されたことだろう。


(何ということを・・エルフと人間の架け橋となる?

タバサ、そんなものは幻想にすぎません。やめておきなさい。)

(人間と結婚するだって!?人間なんて、傲慢なだけ

の脆い生き物だというのに・・・。)

だがその一方で、理解を示してくれる友人もいた。

(人間とエルフの架け橋ですか・・。それは面白そうですね。)

(反対しないのですか?)

(とんでもない。私はタバサの考えはとてもすばらし

いと思っていますよ。両種族はもっと歩み寄るべきな

のだと、私はずっと前から考えていました。タバサが

それを実現しようとしてくれるなら、私はとてもうれ

しく思います。)

(・・ありがとう、エンドール・・・。)


タバサは寝袋で眠っているラグナを見つめた。これほ

ど条件の合った人間が、この先現れるだろうか?エル

フである自分にも、こんなにも優しくしてくれる人間

が、この先現れるだろうか?否。百年待った所で、ラ

グナのような人間には、またと出会えるものではない

だろう。自分の願いが、仲間の容赦ない批判にも耐え

ながら願い続けた夢が、やっとかなうチャンスなのだ。

(なんとかして、想いの一端だけでも伝えたい・・・

なんとかして・・・・。)

そう考えるうち、タバサはいつしか眠りの世界に沈ん

でゆくのだった・・・。