二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋 第4幕連載中! ( No.264 )
日時: 2009/01/24 21:52
名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)

お昼ちょっと前。宿屋に一人の少女が顔を出した。

「こんにちは…。」

「おや、フィルちゃん、こんにちは。…なんだい?アレクかい?」

「あ、はい…。」

「ふふっ、やっぱりそうか。今二階で掃除してるよ。もうすぐ終わると思うから…。」

「はい、ありがとうございます。」

そう言うとフィルは二階への階段を上がって行った。

「けっ、フィルもアレクの野郎もお熱いこったな。」

奥の部屋からザッハが顔を出す。

「あんたも洞窟ばっか行ってないで、少しはアレクを

見習ったらどうだい?家事もまともにできない男なんて結婚できないよ?」

「う、うるせえっ!本来男には家事のスキルなんて必要ねえんだよ!」

「ラグナもアレクも男だけど?」

「あ、あいつらは特別なんだよ!家事ができる男だけがモテるとは限らな___」

「二人とも彼女いるじゃないか。」

「……あーもう!うるさいうるさーい!」

そう叫んでザッハは宿屋を飛び出して行った。

(やれやれ、孫の顔を見られるのはいつになるんだろうねえ…。)

癖のある息子と娘を持つアンの心に、そんな心配がよぎるのであった。


二階に上るとすぐに見つかった。藍色の髪と灰色の瞳の少年…。

「ふーっ。お掃除終わり!っと…あ、フィルさん!」

アレクはフィルを見つけると、嬉しそうに微笑んだ。

「ごめんなさい。待ちきれなくて迎えに来ちゃいました…。」

「ええ、僕も今終わったところです。行きましょう。」


十分後、二人は公園に来ていた。フィルが持って来ていた包を開く。

「早起きして作ったんです。アンさんやタバサさんみたいには料理は上手くできないんですけど…。」

「いえ、喜んでいただきますよ。…パクっ…。」

「…ど、どうですか…?」

「うん!とっても美味しいです!」

「良かった…もっとたくさん食べてくださいね!」

二人きりのランチタイムの途中、前方に三つ程人影が

見えた。何か言い争っているように見える。

「あれは誰なんでしょう?」

「んー…一人はビアンカさんみたいですね…あとの二人は…知らない人ですね…。」



噂の三人は…と言うよりもミシェカとビアンカの二人

は、火花を散らしてにらみ合っていた。ビアンカは言う。

「あなたがぶつかって来たんでしょう!?謝りなさいよ!」

「何よ!ちょっと足踏み外してよろめいてぶつかった

だけじゃない!なんでそんなに怒る必要があるのよ!?」

「これはお気に入りの服なの!汚れが付いたらどうする気!?とにかく、礼儀として謝ってちょうだい!」

「あなたみたいな生意気なガキっぽい奴なんかに謝りたくないわよ!」

「あなたにだけは言われたくないわ!」

カロークはと言うと、さっきから二人の大論争をおろ

おろしながら行ったり来たりしていた。

「ま、まあまあ、二人ともちょっと落ち着いて…。」

「「あんたは黙ってて!」」

「……はい…。」

いよいよ収拾がつかなくなってきたその時___

「お嬢様、こんな所にいらしたのですか。」

「ミシェカさん、こんな所で何してるんですか?」

二人が振り向くと、ビアンカの傍にはスズが、ミシェ

カの傍にはラグナが立っていた。

「ラグナさん…助かりました…。」

「あーー!ラグナ聞いてよー!この女がねー__」

「あーはいはい、その話は家でゆっくり聞きます。それよりも、昼食の準備ができましたよ?」

「え?本当?わーい、急いで戻らなくっちゃ!」

そう言うと、ミシェカは公園から走り去って行った。

「あ、ちょ…待てって!」

その後にカロークも続く。

「お嬢様、昼食の支度ができました。」

「…分かったわ。ありがとう、スズ…。」

ビアンカも公園を出て、ヴィヴィアージュ邸の方に歩

いて行った。その場にはスズとラグナが取り残された。

「えっと…あなたがヴィヴィアージュ邸の新しいお手伝いさんですか?」

「はい、スズといいます。よろしくお願いします。」

「僕はラグナといいます。よろしくお願いします。」

「ジャコリヌス様から話は聞いています。剣術に長けていて、料理も達者だとか…。」

「あはは、いえ、それほどでも…あ、僕そろそろ行かないといけないんで、失礼しますね。」

そう言うと、ラグナはテレポートの魔法で光の中へと消えた。

「ラグナさん…ですか…。なるほど、ではあの人が…。」

スズは独り言をつぶやきながら公園を後にした。