二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋   ( No.35 )
日時: 2008/10/16 21:54
名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)

一方、こちらはラグナ。

鍛冶で亀の甲羅が必要になったため、海の家まで買い

に来ていた。

「ほら、亀の甲羅。600Gだよ。」

「はい。ありがとうございます、サラさん。」

「明日はお月見だねぇ・・。ラグナは誰をさそうんだい?」

「え?いや・・誰をって言われても・・・。」

「やっぱ、タバサちゃんを誘うのかい?」

「ええっ?いや、タバサさんとの事は・・・つまり、

そういうことじゃなくて・・・。」

「あはははっ。まあ、誰を誘うにしたって、男ならし

ゃきっとした態度でデートするんだよ。しゃきっとし

ない男は嫌われるよぉ〜?」

「は、はあ・・・。」

「じゃ、また寄ってっておくれよ?お月見、頑張るんだよ〜。」

何を頑張るんだか・・。そんな風に考えながら、ラグ

ナは海の家を出た。秋の潮風は少し肌寒い。お月見に

誘う相手については、ラグナも考えなかったわけでは

ない。しかし、自分はいったい誰を誘いたいのか?そ

の疑問を浮かべると、必ずあの笑顔が蘇る・・。

この町に来て、たくさんの人に出会った。皆よそ者で

ある自分を、当たり前のように受け入れてくれた。自

分もやれる範囲でそれに応えようとしてきた。倒れた

タバサを家で看病した事も、その内の一つに過ぎない

はずだった。・・・はずだった。だがここ最近、別れ

際に見せた彼女の笑顔が、頭から離れなくなってい

た。思えば彼女と自分には少し共通した部分がある。

タバサはエルフである。初めてここに来た時には、種

族の違い故の戸惑いもあっただろう。なにもかもが初

めてのこの町での生活は、当然不安な部分もあっただ

ろうと思う。その点は自分と似ていた。だって自分は

元はこの町の人間ではないのだから。不安もたくさん

あったが、皆の優しさに触れながら、自然に溶け込む

ことができた。タバサも、あるいはそうやってこの町

に溶け込んできたのかもしれない。

だが共通する部分があるというだけでは、自分の中の

気持ちを説明できそうになかった。他に思い当たる理

由としては一つだけ・・・

「僕・・・タバサさんのことが・・・好き・・なのかな・・?」

はっきりとした保証はない。だが、帽子を脱ぎ、髪を

下ろした姿を見た時にも感じた心にも似たようなもの

が今、自分の中にはある。もしかしたら、自分の独り

よがりかもしれない。しかしそれでもやはり、想いは

伝えるべきだろう。それが男というものである。

不意に、サラに言われたこと思い出した。

(しゃきっとしない男は嫌われるよぉ〜?)

・・・そうだ。もっとしゃきっとしよう。それで想い

を伝えることができれば、どんな結果であろうと悔い

は残らない・・・。

二つの思いが交錯するなか、カルディアの町はお月見

の日を迎える・・・。