二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋   ( No.39 )
日時: 2008/10/20 18:33
名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)

お月見当日

お月見は基本的に女性の方から誘うのはNGとなってい

る。意中の男性がいる人は、そわそわと落ち着かない

朝を送ることになるのである。まあ、誘う方は誘う方

で、落ち着かないのだろうが・・・。

タバサも朝から落ち着かなかった。去年までならそん

なこともなかったのだが、今年は・・・。

「タバサ、具合でも悪いの?」

振り返ると、ビアンカがすぐそばに立っていた。

「お嬢様・・?いえ・・どうしてですか?」

「・・・それ、窓を拭いてるつもり?」

言われて手元を見ると、窓を拭いているのは雑巾・・

ではなく、たわしだった。

「あ・・・も、申し訳ありません・・・。」

「・・・そんなにラグナのことが気になるの?」

「え?い、いいえ、そ、そんなことは・・・。」

慌てふためくタバサの様子は「気になる」と言ってい

るようなものだった。

「気い遣わなくたっていいわよ。タバサだってラグナ

とお月見したいんでしょ?」

「あの・・・でも・・お嬢様は・・・。」

ビアンカも、ラグナが好きなはずである。友達もほと

んどいない中、どんな我儘を言っても当たり前のよう

に話しかけてくれるラグナの存在は、ビアンカの中で

も大きな存在なのだろう・・。だが、ビアンカは決然

とした表情で言った。

「どっちが誘われても恨みっこなしよ?別にタバサが

誘われたからって、ひがんだりはしないわ。」

「お嬢様・・・。」

何がここまで彼女を大きく変えたのだろう?その疑問

を浮かべると、やはり帰ってくる答えはラグナなので

あった。

「でもいくら気になるからって、たわしで窓を拭くの

はやめてよね。傷でもついたらどうするの!」

やはり元に戻るのも唐突だった。

「も、申し訳ありません。すぐ雑巾を取ってきますので・・。」

タバサが足早に去って行った後、ビアンカはふと窓の

外を見た。

(あら、噂をすればなんとやら・・ってやつかしら?)

窓の外を見つめるビアンカの瞳に映ったのは、紛れも

なくラグナであった。