二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋   ( No.57 )
日時: 2008/10/25 21:09
名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)

タバサはクレメンス山へと走っていた。どうして走ら

なければならないのか。こんな時間まで待ってくれて

いるはずないのに。もう帰ってしまったに違いないのに。

それでも走ってしまう。心のどこかで、待ってくれて

いるというわずかな可能性を信じている部分が、自然

とタバサを走らせていた。

ミスト牧場でラグナの家の前を通った。電気はついて

いない。家にいないのか、それとももう寝てしまった

のか・・・。タバサはあまり考えたくなかった。


午後十一時頃。ようやくクレメンス山に辿り着いた。

月は明るく、美しく頂上を照らしていた。しかし、や

はりクレメンス山頂上には誰もいなかった。

どうしてこうなってしまったのだろう?自分の気持ち

を伝えるチャンスだったかもしれないのに。せっかく

ラグナが誘ってくれたのに。

(きっとラグナも待ってるわ。あいつバカだから。)

「ごめんなさい・・・お嬢様・・・。」

必死で背中を押してくれたビアンカにも、申し訳ない

気持ちでいっぱいだった。

ラグナはどんな気持ちでいるのだろうか。事情を話せ

ばわかってくれるだろう。しかし、タバサはそんな人

の優しさに付け込むような真似はしたくなかった。

考えれば考えるほど、情けなさと悲しみばかりが募っ

てきて、涙がこぼれそうになった。月明かりはこんな

にもきれいなのに、その美しさはタバサの悲しみを増

幅させるばかりだった。

もう帰ろう、と帰りかけたその時____