二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ルーンファクトリー 異種族との架け橋   ( No.61 )
日時: 2008/10/26 19:24
名前: リュウ (ID: QxOw9.Zd)

突然背後で何かが動く気配がした。タバサはビクッと

して振り返り、辺りを見回した。二メートル程離れた

岩陰から、人の姿がぬっと現れた。

「ふわあーあ・・・あれ、タバサさん、来てたんですか?」

「ラ、ラグナ様・・・ど、どうして・・・?」

「いやー、タバサさんをずっと待ってたら、どうも寝

ちゃったみたいです。」

少し恥ずかしそうに笑って頭をかくラグナだったが、

タバサには目の前で起こっていることが、まだ信じら

れなかった。

「待っててくださったのですか・・・?こんなに遅くまで・・。」

「そりゃ、まあ・・年に一度のお月見ですし・・・それに・・。」

「・・・それに・・・なんですか?」

ラグナは穏やかに微笑んだ。

「タバサさんとお月見、したかったし・・・。」

「・・・・」

言葉を発することができなかった。安堵と、情けなさ

と、喜びと、感動とが混じり合って、涙となってあふ

れ出してきた。

「!?た、タバサさん!?どうかしたんですか!?」

答えようにも声が出ない。しゃくりあげたりはしなか

ったが、胸がいっぱいで上手く話せそうになかった。

「待ってて・・くださるとは・・思わ・・なかった・・ので・・・。」

やっとのことでそれだけの声を絞り出すと、不意にタ

バサは両腕で体が包まれるのを感じた。

「泣かないで下さい・・・せっかく来てくれたんですから・・。」

(温かい・・・。ああ・・ラグナ様・・。)

タバサはラグナを見上げた。涙で顔はあまりはっきり

とは見えなかったが、ラグナの蒼い瞳をまっすぐに見つめた。


「私・・・あなたのことが好きです・・・ラグナ様・・。」

どれくらいそのままの状態でいただろうか。ラグナは

優しく微笑み、こう言った。

「・・・僕もですよ・・・タバサさん・・。」

しばらく二人とも何も言わず、ただ見つめ合っていた。

ラグナは目を閉じ、タバサに顔を近づけた。

タバサも同じように目を閉じ、ラグナに応えた。

クレメンス山の頂上で、二人は口づけを交わした。

その二人の上では、美しく輝く満月が、人間とエルフ

が紡ぎ出す新たな愛の誕生を祝福していた___。