二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: モンスターハンター・バロル 47話更新 ( No.108 )
- 日時: 2010/07/03 09:28
- 名前: アビス (ID: 4K4kypxE)
48話
不思議な不思議なお話
「なに・・・これ?山から声が・・・」
ミルナが自分の耳を疑う。それは他のメンバーも同じだった。
「今のは、竜神様のお言葉?・・・それよりソニックさん!大丈夫ですか!?」
クルトの呼びかけにソニックは手で大丈夫だ、と表現する。
「俺の事はいいから、皆は竜神の加護とやらを受けに行って来いよ」
「・・・。どうしてですか、竜神様!!なぜソニックだけは拒まれるのですか。
もし聞こえているのなら、返事を聞かせてください!!」
「いいんだ、クルト。拒まれる原因は俺にも分かっている」
先ほど空に響いた声の通り、ソニックは理解しているようだ。
だが、クルトたちは理解できていなかった。
「・・・その竜神様ってのは、俺を拒んでるんじゃなくて、俺の中にあるのを拒んでるんだろ?」
ソニックの説明でようやく理解した一同。するとまた空から声が響く。
『そういうことだ。それにもし汝が我の力を得ても、汝の内に秘められし力が無力化してしまう。
ここに入れたとしても、意味のないことだ』
「そういうことだ。俺はここで待ってるから行ってこいよ」
ソニックが手を振って見送る。クルトたちはしぶしぶ、そのままソニックを残し、階段を上がる。
クルトたちが見えなくなった後ソニックは見上げるのを止め、近くの石に背を預けて座る。
——————————
しばらくすると現れた一匹の訪問者。それが夢か現かはソニックは確認できなかったが、
目の前にいるそれは本物だというのは理解できた。
『ここは竜聖山ですね。なるほど、竜神の力を受けるためにやってきたのですね』
それは上を見上げて言った。しかし、見ているのは目の前の山よりももっと上、天を見ていた。
「まあな。ま、俺は弾かれちまったがな」
『当然ですよ。もしあなたがここに入ったら、あなたの力でここの力は消えてしまいますから』
「俺の力で?」
『ええ。あなたはここよりもずっと強い力で守られていますから。
その力でここの力が消滅してしまうんですよ』
「なるほど、そりゃあ弾かれるわけだ」
それの顔や表情、姿も見えない。まるで背中合わせで会話をしているような感じだった。
それでも、それはとても穏やかで綺麗な笑顔をして笑っているような気がした。
『ふふっ。可笑しな人』
「何が可笑しいんだよ?」
『ごめんなさい。ただあなたがやっぱし私の見込み通り、とても心が透き通ってる人だなって思って。
他のために怒れて、自分の気持ちにまっすぐで、そしてどんな事があっても仲間と自分を信じて突き進む。
まあ、一度怒ると周りが見えなくなるのはちょっとした欠点だけど・・・』
「それはどうも」
何が見込み通りなのか、なぜ自分の事をそこまで知ってるのかが分からないが、
そんな事どうでもよかった。ただ今こうしてそれと話しているのが楽しかった。
『・・・ふ〜。残念だけど、もうあまり話してられないですね。
最後に何か聞きたい事はありますか?あ、私のスリーサイズはなしですよ』
ふふっ、と笑いながら言うそれにソニックは何も答えない。
『そんな風に黙りこまれると困ってしまいます』
少し拗ねたような口調が面白くて少し笑ってしまった。
「ははっ、悪い。そんじゃあ一つだけ。人は死ぬとどうなると思う?」
それは少し間をおいてから口を開いた。
『私は天国と地獄、どちらかに連れていかれると思いますよ』
「・・・ロマンチストだな」
『よく言われます』
そう言った後それは少しずつ消えていった。
『お別れですね』
「ああ、そうだな。そんじゃあこれが本当に最後の質問。あんたの名前は?」
それは少し困ったような口調で
『私に名前はありません。よろしければ私の名親になってくれませんか?』
と、いきなりそんなことを言い出す。それはソニックの回答を待つように見つめる。
だが、ソニックはまるで始めっから用意してあったようなタイミングで言った。
「フィルン・・・なんてどうだ?」
それは押し黙ってしまった。本当に名前をくれるなんて思っていなかったのか、それとも別な理由か。
「いやか?」
念のため聞くとそれは首を横に振った。
『いえ、とってもいい名です。フィルン・・ですか。フィルン・・・ふふ』
本当に気にいったのか、自分の名前を呼んで笑っている。そうしている間にも
それ・・フィルンはもうすでにほとんど消えていた。
「じゃあなフィルン。またいつか会って、話しようぜ」
『はい、またいつか。今度会うときはもっとのんびりと話がしたいです。
・・・それでは、さようなら』
——————————
「・・・・!・・・・ック!!ソニック!!」
自分の名を呼ぶ声が聞こえて起きる。
「ん、んん・・・。あれ、ミルナ」
「あ、やっと起きたソニック」
ソニックがぼやける視界で辺りを見渡すと、そこには全員がちゃんといた。
・・・いたのだが
「フィルンは?」
「え?」
ソニックからいもしない誰かの名前を呼ぶ。ソニックもすぐにはっとなり意識がちゃんとする。
「フィルンって・・・誰?」
「ああ、わりぃ。寝ぼけてた」
慌てて言ったソニックの言葉にミルナはそう、と言うだけだった。
なんか妙な気分だった。本当に今までずっとフィルンと一緒に旅をしていたと勘違いをしてしまった。
「ともかくこれで全員やるべきことは終えましたね」
クルトの言葉に全員頷く。どうやらミルナたちは無事に竜神の加護を受けられたようだった。
「そんじゃあ行くか。封印のハンターのメインイベント。ガルドロスの討伐!!」
「おお!!」
「ええ!」
「はい!」