二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 真選組★波乱日記★ ( No.197 )
日時: 2010/06/12 22:16
名前: 月芽麻 (ID: HpE/sQXo)

第六十八訓【上司のミスは皆のミス】

私が、土方さんと見たものは…綺麗な夕日でも笑顔の赤ちゃんでもなかった。

それは———緩やかな水が流れる川の岸辺で、我らが局長の近藤さんの屍でした。

「ひ、土方さん…。あれって、近藤さんですよね?」

「…何も見てねぇぞ。俺は何にも見てねえ。」

櫻の横で、土方は俯きながら自分に言い聞かせる。

「さ、櫻。カフェでも寄って帰るか…?」

土方さん…、引き攣った顔で言われても説得かんないですよ。

「あれ、近藤さ———。」

「何もなかったな、近藤さんどこ行ったんだ。」

あ、土方さんが何もなかった事にしています!!

「あっ、土方さん!あそこにいるのは、局長さんじゃ!!」

うぅ…。そんな恨めしそうに見ないでください。

「兎に角…助けに行きましょう…?」

そう言って、土方の手を櫻は掴む。

「ちょっ!!待てぇ!!俺は何も関わりたくねえんだぁぁぁ!!」

「お願いです、土方さん!!コレも市民の治安を守る仕事なんです!!」

「治安もへったくれもねぇ!!」

そう叫んでいる、土方の手を引きつつ櫻は近藤さんのもとにたどりついた。

「大丈夫ですか…?近藤さん。」

「たぇ…さ……ん。」

「櫻、もう虫の声だぞ…。」

本当にその通りだ。

間もなく死にそうな位、近藤からは魂が抜けていた。

「と、兎に角屯所に運びませんか…?」

「…そうするか。こんな所に放置ってのもアレだしな。」

なんやかんや言いつつ、土方は近藤さんを背負い始める。

「ぇ…?医療班呼ばなくて良いんですか…?」

「呼んだら、メンドクサイから別にいいだろ?」

今だヤツレテいる土方の顔。

「…分かりました。それじゃぁ、早く屯所に向かいましょう。」

ヘドロ橋を渡って屯所に向かうのは、小さな影と大きな影であった。