二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 真選組★波乱日記★ ( No.300 )
日時: 2010/07/29 19:58
名前: 月芽麻 (ID: H5up09UV)

第八十七訓【御使いとは人生の渡橋である】

姉さんに、御使いを頼まれた。

お昼も過ぎ、日が一番高く上り梅雨に入る前とはいえ五月下旬でも相当熱い歌舞伎町。

そんな町の中を、俺——山崎 退は姉さんの「お願い。」という言葉だけで御使いに来ているのである。

だって、包丁を片手に持ちながらだよ? 普通の人なら怖がるよ。

「てか、今日御月見じゃないのになぁ。」

そう、この言ってる内容から大体の所は御察しがつくだろう。

噂で広まっている、「月下祭」という物らしい。

だいたい、五月下旬から月見団子なんて…。あ、そういやぁ月見団子は早々売ってないから丸い物ならって言ってたなぁ。

「丸いもの…丸い物。」

そうと決まれば、探す物は丸い物と決まったも同然。

「って、言っても丸い物なんて何かあったかなぁ?」

丸い物と言われても、そうそう思いつく物でもない。

ましてや、沖田隊長や友里亜補佐の事を考えると食べ物の方が良いだろうし…。

そんな事を考えていると、ふと眼にとまる物があった。

「…これ、丸い…じゃん?」

山崎は、そう言ってその丸い物を買って屯所へと向かった。

「姉さん、買って来たよ。丸い物、はい。」

ガサッ、っと音をたてて袋を走の前へ出す。

「ありがとう、さっちゃん。」

笑いながら、袋の中を確認する走。

そしたら、確認するや否や俺は姉さんに叩かれた。

「さっちゃん? このアンパンの何処が丸いんや?」

眼の前に突き出されたのは、山崎がいつも監察の時に食べている山崎パンのアンパンだった。

「えぇ。その、アンパンのまわり…とか?」

兎に角、何処が丸いかを聞かれたので律儀に返答する山崎。

「私が言ったのは、球体的な意味で丸い物!!コレは、感覚的に丸い物!!」

呆れ顔で、山崎に丸い物の事を教える走。

「てか、突っ込みずらいって。何で、アンパンなん? もう少し、マシなボケをしてくれへん? ピン球とか。」

さらに、ボケネタにまで駄目だしをする走。

「分かったよ。別の丸いの買ってきたらいいんだね?」

「そうや。もぅ、しっかりしてや?」

そう言われて、またしても歌舞伎町へと向かった山崎。

——十分後。

「姉さん、コレ。」

汗だくになりながら、帰って来た山崎から袋を受け取る走。

そしたら、さっきよりも痛めに山崎は叩かれた。

「いたッ。姉さん何で叩くんだよ? 列記とした丸い物じゃん!!」

流石に叩かれた事も批判するように、山崎は走に言った。

「さっちゃん? 漫画の世界でも、一度使ったネタは使ったらあかん思わへん?」

ニコニコと、山崎に聞く走。

「まぁ、使いまわしは少し駄目かな?読者もあきるし…。」

「分かってんねんやったら、何でピン球買ってきてんねんな!!」

そう、山崎が二回目に買って来たのは走が言ったピン球であったのだ。

「え! だって、丸い物其れ位しか。」

「そやかもしれへんけど、もう少し頭つこて?」

悲しい物を見るような目で、走は山崎を見た。

「…分かったよ。」

「次まちごうたら…分かってるやんな?」

どす黒いオーラを出しながら微笑む走。

「う…うん。」

——そして、またまた十分後。

「姉さん、コレ。」

もうそろそろ、走るのにも慣れたのか山崎はあまり汗をかいていなかった。

「どれ、今度はちゃんと…。」

すると、走の手が止まった。

「姉さん…? えっと、駄目だった?」

「まぁまぁ、って所かいな?」

渋々、頷く走。

「良かったぁ。」

そして安堵のため息をつく山崎。

「しっかしまぁ、よぉコレ並べようと思ったな。」

「気持ち丸けりゃ良いでしょ?」

「そやけど。…流石に、落ちが玉子って。」

矢張り、苦笑いする走。

「いいじゃん、玉子落ちでいいじゃん!!」

そう言って、山崎は台所を走って出て行きましたとさ。

終わり。

え? 物語??

月が満ちるまで後—— 十時間。