二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 真選組★波乱日記★ ( No.358 )
日時: 2010/08/03 21:35
名前: 月芽麻 (ID: H5up09UV)

第九十一訓【月のウサギってアレ中国から見たら上海ガニに見えるんだって】

「櫻。月は後どれ位で満ちるんだぁ?」

辺りもすっかり暗くなり、空には星が見える晩。

気だるそうな声を出し、友里亜は櫻に時間を聞く。

「後、一時間ですよ。」

「一時間かぁ。…其れまで、餅食えないのかぁ。」

恨めしそうに縁側に飾ってある丸い物を見つめる友里亜。

「友里亜ちゃん…それおも——。」

その丸い物がお餅でないと伝えようろした瞬間櫻の声は掻き消された。

「何でぃ。コレ玉子じゃないですかぃ。」

櫻の声をかき消したのは、沖田であった。

「な、沖田。其れ本当か…?」

眼を点にして友里亜は、沖田に聞く。

「あれ?本当だ…コレ玉子だね。総君。」

「しかもゆで卵じゃなく、生卵とはどういう事でさぁ?」

縁側に飾られている卵をつかみ、沖田は友里亜に投げる。

「げ、本当に玉子じゃん。…櫻、コレどう言う事なんだ?」

生卵を手に持ち友里亜は、櫻に向き直る。

「えっと…そのぉ…。」

あたふたとする櫻。

其れ見ながら宙翔は笑いながら玉子を手に持つ。

「まぁまぁ、生卵もおいしいよ?…多分だけどね。」

「俺は、ゴリ…局長みたいじゃねぇから生卵は食えねぇ!!」

ムスっと、した顔で友里亜は言う。

「俺も同じでさぁ。友里亜が食べさしてくれるなら問題はないんですがねぃ。」

「イヤ、其れは是っていないから。そんな事何が何でもしないから。」

沖田と友里亜のプチ喧嘩を横目に宙翔は生卵を全部持って櫻のもとへやって来た。

「さくらん?台所使えるかな?」

「…ほぇ?…えっと、さくらんって私の事ですか?」

急に不可思議な呼び名で呼ばれた為櫻は戸惑っていた。

「そ。櫻ちゃんはさくらんね。で、マッキ—が生卵食べれないみたいだから。」

「台所で調理…?ですか?」

「正解。…まぁ、僕も流石に生は一寸きついしね。」

苦笑いを浮かべ宙翔は言う。

「それに、さくらんが短冊とか用意して楽しみにしてるみたいだし。デザートぐらいは作りたいしね。」

「はい、分かりました。えっと…。」

「宙翔で良いよ? 別に呼び名なんて何でも良いし。」

「じゃぁ、宙翔さんで。」

にこやかに笑い、櫻は宙翔と一緒に台所と消えた。

—— 一方、副長とその他メンバーは…。

「トシィ!!短冊何て書いた?」

我らがゴリさ…局長は、短冊片手に土方を追いかけていた。

「何だ? 近藤さん…短冊に願いだぁ? 子供じゃねぇんだし。」

そう言って、煙草を吸いながら土方は又廊下を歩いて行く。

「男は、何時だって少年なんだぞ。良いからトシも書けって。」

そうやって、近藤は無理やり土方に短冊を渡した。

「たくっ。願いなんてそうそうねぇってのに。」

「トシも願いの一つや二つあるだろ? やっぱ、櫻ちゃんと幸せになりたいでも書くか?」

高笑いしながら近藤は言う。

「はぁ?いや。…櫻が嫌がるだろ、そんな願いよぉ。」

「え…? 何、トシマジで書こうとしてたの?」

「…!!。な、違うからな!!俺はそんな——。」

「おめでとうトシ。結婚式には是非呼んでくれ。」

そう言い残して、近藤は走って縁側の方に言った。

「ちげぇって言ってるじゃねえかよ。」

呆れ顔で、土方は自室に向かった。

「姫さん?いる?」

医務室に響く軽い声——紀新は姫月を探して医務室までやって来た。

「アレ…? 如何したの、紀新君。」

その声に気付いたのか、姫月は紀新に近づく。

「短冊何書いたかなぁって、思ってさ。」

「…短冊?あぁ、走君が持ってきた奴ね。」

そう言って、短冊を出す姫月。

「なんて書いたんですか?見せてください。」

「いいよ。コレね。」

紀新は、姫月から短冊を受け取り願いを見た。

——あの人が健康で過ごす事ができ、あの人の思いが伝わりますように。

そう、綺麗に綴られていた。

「姫さん。あの人って…?」

「…秘密ですよ。」

そう言って、姫月は静かに笑った。

「それでは、縁側に行きますか。」

「はい。」

短冊を持って、紀新と姫月も縁側へと向かった。

月が満ちるまで後—— 一時間。