二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 真選組★波乱日記★ ( No.371 )
日時: 2010/08/09 20:13
名前: 月芽麻 (ID: H5up09UV)

第九十二訓【紅い月ってカッコいいけど不気味じゃね?】

「月下祭」百年に一度、かぐや姫をまつり、崇め地上に富をもたらす祭りである。

——そして今宵。その月下祭が始まる。

「麗…。月が昇るまで後何分…?」

澄み切った夜に気だるそうな声が響く。

「美﨑。主は、さっきから其れしか聞いておらぬだろ?」

「まぁまぁ、久し振りの全員参加の任務じゃんかよ?麗もそうピリピリするなって。」

麗と呼ばれたその男は、淡い緑色の髪を揺らし少し歩く。

「ピリピリなどはしておらん。ったく、コレだから160cm以下の奴は…。」

「麗…?それ、僕も一応入っちゃうんだけど?」

ふと、気が付くとさっきまで居なかった男が登場し場は一気に緊張が走った。

「う…初恋!? お前、隊長の癖に何処行ってたんだよ?」

「美涼…焦りすぎ…。」

「美﨑も美涼も少し口を慎め。」

麗の鋭い声を聞き、身長160cm以下の二人は黙った。

「そ、そんなに怒らなくても…。あれ?…麗何か怒ってる?」

「別に? お餅につられて何処かに行っていた隊長の事なんてコレッポッチも悪いなんて思っていませんよ?」

キツネ目をさらにつり上げ麗は言う。

「ご、ごめんよ。」

隊長のくせして、逃げ腰の初恋。

そんな御遊びをしていると、軽やかな足音が耳元でなった。

「おかえり、ユー。どうだった?」

ユーと、呼ばれたその人は切れ長の目をパチクリさせ初恋に向き直る。

「隊長…。もうそろそろ、ユーって呼ぶのやめませんか?」

「ユー。YOUー。」

美涼と美﨑がユーと叫んだ。

「…串刺しと、打ちのめす…どっちが良い?」

「由紀は、いつも通りですね。」

そんな光景をはたから見ていた麗は笑いながら言う。

「何時も通りではない。…少し緊張している。」

「珍しいね…ユ…由紀にしてわ。」

「まぁ、無理もねえって。俺でも緊張してんだしさ。」

初恋の頭に手をおき美涼が言う。

「…久し振りの仕事ですからね。美涼…隊長、重そう。」

さりげに注意する美﨑。

「それでは。高杉様の為に、かぐや姫を殺りに行きますか?」

にこやかに言う麗。

「麗…。違いますよ、かぐや姫をお連れするのよ?」

はぁ、と言わんばかりのため息をつく由紀。

「それでは、行きますか。鬼兵隊…特別部隊桜鈴隊。…出動。」

初恋の声は綺麗な月明かりの中響いた。

月が満ちるまで後—— 三十分。