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第二十八訓【走姉ちゃん】

「えっ。山崎君の…。」

「そ。姉さんや。」

目の前の、女の人はころころと笑っていた。

「ほ、本当なの？山崎く…。」

後ろを振り返ったがそこにはもう山崎君はいなかった。

「たくっ。退は…、あ。櫻ちゃん。もう大丈夫？」

「え？あ、はい。大丈夫ですよ？」

私は、元気さをアピールするためガッツポーズをしてみた。

「ふふ。元気が一番だわ。ホント…。」

走姉さんの目は、光が差し込んでる襖の方を見つめていた。

「山崎君のお姉さん…。どうかされたんですか？」

「えっ!?いや、何もないよ！！」

その目は、かなり動揺していた。

「それに、私の事は走って呼んでくれていいよ？」

満面の笑みで、走姉さんは言った。

「えっと・・・走姉ちゃん。じゃ、駄目ですか？」

きゅんっ。

「かわいい！！櫻ちゃんめっちゃカワエエ！！」

「ほぇ？走姉ちゃん、駄目ですか？」

「違うの、櫻ちゃんがあまりにもかわいいから。」

なんか、意味が噛み合ってないような…。

「じゃ、手伝ってくれるかな？櫻ちゃん？」

「あっ、はい。」

私は、明るく返事をした。