二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 真選組★波乱日記★ ( No.423 )
日時: 2010/08/14 21:12
名前: 月芽麻 (ID: H5up09UV)

第九十五訓【五年生の時まで月に兎がいるって信じてました】

しかし、実に今日は手違いな事が多すぎる…。

大体、あの妃様か何だか知らないお人。自分の国の民を売ってまで情報を流しますか?

まぁ、無理やり聞いたのは私たちの方かも知れませんけど…。

「今日の満月…本当に満ちるのかな…?」

そんな事を呟いていたら、目的の地まで付いてしまった。

——僕には時間が無いのか…?

「麗…。黒髪の子は見つかったの…?」

虚ろな目で、麗を見ながら問う美﨑。

「…見つかりましたが。如何して美﨑が?貴方は今さっき船の方に帰ると言って居たでしょう…?」

「じ、実は——。」

「!!。実は、黒髪の方はハズレ…と言いに来たのですか?」

そう冷たく告げる麗。

「っ…。…そうなんだ…。」

そう言うと、急に麗の手が美﨑の首を掴んだ。

「っ…れぃ…。」

「美﨑。貴方はこの前も間違った報告をして任務を狂わせましたね? 覚えていますか?」

旋律の空気が走るなか美﨑は頷いた。

「その時、今度ミスをしたらそいつは殺っても構わないと…言いましたよね?」

確かそんな事を言った。

何時も、人が目の前で居なくなるのが怖い時が有った。其れを無くすためにたまに嘘を報告した。

その都度、麗には怒られた。

「この任務の報告も嘘…つまり、あの女の子は白だが…美﨑。貴方が決めた規律であの子は亡くなるのですよ?」

その声は、今まで以上に低く背筋がゾッとする様なおぞましい声だった。

「…由紀。」

そう短く名前が呼ばれると、今まで居なかった由紀が現れた。

「…麗? 其の位にしたら…美崎もまだ子供なのよ?」

「子供…? 何を言ってるのですか由紀。子供でも、護らないといけない物が有ります。」

そう言って、麗は美崎の首元を放し美﨑を見下ろす。

「…由紀の言葉に免じて。許す…と言いたい処ですがコレは貴方のミスです。貴方で処分しなさい。」

「麗っ!? 其れって…美﨑に殺れって言っている様な物じゃない?」

その言葉に、由紀はあわてた反応を見せる。

「おや?そう言う風に聞こえませんでしたか…?」

「なっ…。」

「さて、美﨑後は貴方が考える事です。あの子を生かして私が殺りに来るのを待つか、それとも…貴方が殺るか…?」

——答えは一つしか有りませんけどね?

冷たく笑うと、麗はスタスタと雑木林を歩いて行った。

「…美﨑?怖かったら逃げても良いよ?貴方はまだそんな——。」

その言葉を遮る様に美﨑はたってこう言った。

「ねぇ…もし、あの子が地上に逃げてしまったら殺さなくていい…?」

「えっ…? …まぁ、良いと思うけど。如何し——。」

「じゃぁ、ワザと逃がしちゃっても大…丈夫かな?」

由紀の目の前に居たのは、先ほどの戦いで返り血を浴び涙で汚れた美﨑だった。

「…さぁ?誰も見張ってないし…私は何も聞いていなかったわ。…でも、頑張って。」

そう言い残した由紀も、雑木林から去っていった。

——僕は何て弱いんだろ?

「コレで…よく鬼兵隊なんてやってるね…自分。」

そう言うと、涙をぬぐい美﨑は美紅の元へと向かった。

——悲しい殺意を胸に。

同時刻。紅月が満ちるまで後—— 十五分。