二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 真選組★波乱日記★ ( No.456 )
- 日時: 2010/08/20 20:28
- 名前: 月芽麻 (ID: H5up09UV)
第九十七訓【給食の月見団子が無性に食べたい!!】
——麗の所に行くよ…。
二手に分かれるとき、美崎がそう言った。
——じゃぁ、俺は餅隊長とこ行くわ!
そう、手を振って俺を見送ったけどお前…大丈夫?
だって——顔、寂しげじゃんか。
「美涼? どうかしましたか?」
焦点が合わない所を見ていた時、ふいに初恋に声をかけられた。
「あぁ、大丈夫だぜ。で、どうすんのこっから?」
「一応、あの子を船に連れて帰る…ってのが目的ですからね。」
難しい顔をして初恋は告げる。
「じゃぁ、ピューっと言って連れてく?」
「…寂しげな眼をしている。そんな人には話を通すべきだぞ?」
にこりと笑うと初恋は撫子の方に足を運んだ。
——あ。こいつ俺のこと分かってる…。
そう心に呟いた時、足はもう初恋と同じ方向に向いていた。
一方、美紅に近ずいている美崎は——。
「コレで、後湯であげれば完成。」
黒髪を揺らしながら美紅は言う。
「…何が完成なの?」
「えっ!? …貴方は、誰…じゃ?」
急に声がした為、美紅は焦りを隠せない。
「ん…粉。」
人差し指で、ほっぺを指さす美崎。
「あ…本当じゃ。ありがとうな。」
にこやかに美紅は言う。
「…きみ怖がらないの?」
「何がじゃ…?」
「このアカイロ。」
自分の服を引っ張って、美崎は言う。
「…如何したんじゃ? まさか…。」
「…多分そのまさか…。」
「トマト潰す時に間違って、自分の服についてしまったのか?」
すみません、さっきの多分は訂正でお願いします。と、一瞬言おうかと美崎は思った。
「…じゃぁ、其れで良い…所で何してるの…?」
「うちの親友に送る、餅を作っていたんじゃ。」
笑いながら、餅をゆでて行く美紅。
「…それ、あげれないと思う…。」
ぽつりと、美崎が言う。
「…? 何でじゃ…?」
「君は、僕から逃げないといけない…多分。」
急に訳の分からない事を、美崎が言いだしたため美紅は少し戸惑った。
「僕、君を殺すように言われてきたんだけど…。」
「っ!!。そ、そうか其れは困ったな。」
「…? 逃げないの…。」
そう言ったら少女は笑った。
「…悲しいけど、コレが生贄の指名じゃから。」
「…そうなんだ。」
「…。直に殺さないのか?」
「…餅。茹であがったみたいだよ。」
静かに美崎は、鍋を指さす。
「本当じゃ!!…でも、誰が此の餅を持って行くのじゃ? うちは死ぬのだろう?」
「…僕が持っていくよ。撫子って子に届ければいいんだろう?」
「…面白い奴じゃな、じゃぁたのむぞ。」
ニカっと笑うと、美紅は団子を水にあげ袋に入れた。
「…分かった。じゃぁ、君はここから居なくなる…本当に良いの…?」
「…良いのじゃ。結局最後は死ぬのだから。」
明るく美紅は言う。
「…じゃぁ、コレで。」
美崎は、人差し指を出すと少し不思議な事を言って美紅の額に振れた。
「な、なんじゃ!? か、体が縮んでいるように感じたのはうちだけか?」
「…感じじゃない。本当。」
そう言って、鏡を見せてみる。
「こ、これは。十歳の時の…うち?」
「…コレで、今さっきの君は死んだ。」
クシャッと、美紅の頭をなでるとある言葉を残してその場を去った。
——今すぐ、地上へ逃げろ。
手に持っていた餅は美崎が持って行って今手元にあったのは美崎が残した言葉を聞いてできた希望であった。
「…さよなら。撫子。」
——紅月が満ちるまで後—— 十分。