二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 真選組★波乱日記★ ( No.663 )
- 日時: 2010/11/03 21:04
- 名前: 月芽麻 (ID: H5up09UV)
第百二十三訓【星ぞらの夜に——。】
——うちがきっと、あんたの事を幸せにしたるからなっ!!
何処か関西の方の喋り方が残る言葉で明るく彼女は笑って見せた。
——…。其れは、僕が普通君に言わないといけない事何でわ?
そう言ったら、君は「あ、ホンマやわ。」って苦笑いをした。
——…でも、心配しなくても…僕はあなたを幸せにしてみせますよ。きっと。
彼女に聞こえないように、僕は【約束】した。
——星が瞬く綺麗な星ぞらに——
「姫月さァァァァんんんんんんん!!」
早朝、某屯所にジミーこと山崎の叫び声が響いた。
「…ふわぁ。」
そんな叫び声で起こされたのは、呼ばれた張本人——金家 姫月である。
「姫月さん!?何呑気に欠伸してるんですかぁぁ!!」
「呑気にと言われましても…今日は一応非番ぽい物なので…って、何かあったのですか?」
今更ですか!?と、山崎は突っ込みを入れたものの話のらちがあかないから…と言うと、自分の突っ込むと言う役職を放棄した。
「姉さんが、いつも以上に元気が出てないような気がするのは俺だけなんですか!?」
え?何、行き成りシスコン発言?いったぁ。
「…走君がですか?珍しいですね。」
…一気に静まり返る、姫月部屋。
「じゃなくて!!姉さんが、体調悪いんですって!!」
「…あぁ、体調に問題があるから元気がな——。」
「山崎ィィィ!!」
姫月の声を押し破るかのように土方が部屋に入って来た。
「副長?ど、どうかしましたか?」
「どうもこうもねぇ。台所に置いてあった味噌汁、飲めたもんじゃねぇぞ!?」
額に怒りマークを浮かべ激怒する土方さん。
「…姫月さん。姉さんの看病お願いします。」
「…皆さんが、食中毒起こしてからでは遅そうですね。」
「姫月。テメェ、顔が笑顔だぞ…。」
「…気のせいだよ、土方君★」
そんな訳で、季節の変わり目に我らが台所の主・走姉さんが季節風邪でダウンしました。
「ホンマごめんな。姫月さん、折角の非番やったんやろ?」
「いえいえ、何もすることは無かったものですから。」
「…そうなん?ありがとうな。」
「だから今日はゆっくり休んでください。…皆さん貴方の料理を楽しみにしてるのですから。」
そう言うと、姫月は走に布団をかける。
「…姫月さん。昔した約束おぼえとう?」
「約束?えっと…僕を幸せにすると言うあの約束ですか?」
案外記憶力の良い姫さん。昔の事は確り覚えてるみたいですね。
「そ、そうや…。えっと、姫月さんは今幸せですか?」
急に敬語になる走姉さん。風邪って口調も変えちゃうのですね。
「…今は、幸せじゃないです。」
走姉さんの言葉を聞き、笑わずに姫月は答える。
「っ…。そ、そうなん?うち…幸せにさせてあげれてないんか…。」
布団にくるまりながら、走姉さんはかすれ声で言う。
「はい。今の君が風邪で寝込んでしまうのは僕にとっては幸せではないですから。——。」
「…え?姫月さん。語尾聞き取りにくかっ——。」
走が何か言おうとした時姫月は、長く白い人差し指で走の口を閉じた。
「何時までも起きてたら体に毒ですよ。…お休みなさい。走君。」
「…は、はいっ。」
姫月は静かに頭をなでると、優しい笑みを浮かべだ。
——だから、早く元気になって僕に幸せをくださいね?
僕はきっと、昔の約束は忘れないだろうね。
何故なら、君はいまだに僕と話すと幸せそうに笑う。
だけど教えてください。僕は今、貴方を幸せに出来ていますか?
——あの日の約束から今日まで、一番の幸せは貴方がずっと隣にいる事や。
走は、布団にくるまったままスヤスヤと寝息を立てて眠ってしまった。
「僕は貴方の近くにいれて幸せですよ。だから、眼が覚めた時はいつものように笑顔を見せてくださいね?」
姫月はそう言って、眠り込んでいる走えお部屋に置き自室へと帰って行った。
星ぞらの夜の約束は——君と僕の秘密。