二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 真選組★波乱日記★ ( No.718 )
日時: 2010/11/30 22:08
名前: 月芽麻 (ID: XcEXsBGd)

第百二十六訓【鳥の羽根】

あの頃僕たちは、鳥みたいに空をかけるのが夢だった。

あの頃僕たちは、街中を駆け回る小鳥たちだった。

そして、今の僕たちは宛の無い宙を駆け巡っているただの鳥に過ぎない。

——今、貴方は何処を飛んでいますか?

「紀新。今度俺料理をまたしようと思うんだ。」

初っ端から、こんな発言をしているのは航空部隊隊長——要 宙翔であった。

「えっ、宙翔が料理?其れは何かの前触れなの?」

少し青筋を見せる子の少年は、射撃部隊隊長——初田 紀新君である。

「前触れってどういう意味だよ。僕だって料理の一つくらいできるようにしとかないとさぁ。」

「いや、其れはそうだけど…宙翔のは食べ物じゃないような…。」

「な、食べれたら食べ物なんだよ。」

無茶を言うなこの人…。

「味結構関係有る様な気がするけど…。」

「ま、まぁそんな小さい事は気にすんな。」

いやいや、結構大きい事だと思うのは私だけですか!?

「大体、急にどうしたの?料理なら走姉さんに勝るものはいないよ?」

其れもその通り、走姉さんの料理はそんじょ其処らの料亭に出しても良いぐらい美味しい味なのである。

「其れはそうだけどな…何時か昔のアノメンバーがそろったら僕の料理で持成そうかという考えをだね。」

「昔のって…登里町探検隊の事?…懐かしいね。」

そう言って、紀新はクスリと笑うとまた口を開く。

「僕と、宙翔。山崎君に走姉さん。そして、姫さん…。」

「最後に、由紀。…アイツから文は来てないの?」

「うん。姉さんからは去年からサッパリ…どっかで倒れてるのかな?」

悲しげな表情で、また静かに笑う紀新。

「いや、其れはないって…だって由紀なんだからさ。」

その、紀新の横で笑うのは宙翔。

「登里町探検隊の会則覚えてる?一つ——。」

急に、そんな事を言ったものだから紀新は少し慌てた表情を見せた。しかし、その宙翔の問いにこたえるかのように言った。

「一つ、鳥は何時も自由であれ。」

「二つ、何時の日も喜びを歌え。」

「三つ、———。」

そう言った時、二人は幸せそうな笑みを見合わせ言った。

——三つ、仲間とは何時でも同じ空を飛んでいると思うべし。

——其れは、小さい頃の約束だった。

——君は覚えていますか?

——あの日の約束は、何時までも崩れない、絆の約束だった事を。