二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: モンハン Ep3 イヴァリス・ヴァスカビル ( No.12 )
日時: 2010/02/21 16:13
名前: 秋空 (ID: 03x.my9j)
参照:  

Monster Hunter Ep3 イヴァリス・ヴァスカビル 第三話「イヴァリス Part1」
(ゼクト視点)

師兄が我等のディナーズオルディアにお暇するようになってから二週間が過ぎた。
師兄は人外の正式メンバーだったトレミューラさんに引連れられ,
狩猟地区変更許可証をつい最近になりギルドの注意を受けることにより行っていた。
あの時,トレミューラさんが
「危うく不法入国者扱いだったな」と怒りを篭めて言っていたのを思い出す。
全くこの人はいっつもだらしなくて人を困らせる。
その上,仕事嫌いで他人の稼いだ金を使って何処かに旅行に行ったりするし___
兎に角周りを騒がせる人だった。まぁ,今も人を騒がせる人だけどな。

.........と,雑談はこの位にして話を進めるか。

師兄と言うと私よりワルキューレさんがイヴァリスさんに師事を先に受けていた様に
感じるだろうが,実は師兄が師匠を探している頃,とは言っても探しては居なかったが……
まぁ,兎に角師兄より先に本当は私がイヴァリスさんの弟子になっていたのだが___


___私がイヴァリスさん…この呼び方は面倒だからこれからは師匠としよう。
師匠の下で修行に明け暮れていた頃,師兄はまだ,人外の者達の本拠ディナーズオルディアを中心に
街中を歩き回り仲間探しをしている最中だった。師兄も街中を見回り
このディナーズオルディアに最高の実力者が集中している事を知り,
人外の者達の誰かの弟子になることを決めていたようだ。
ダリスヴェンドに来て三ヶ月位して「人外の者達で一番強い男は誰だ?」と問うて来て…
それに師匠が名乗りを上げたんだ。実際,一番強かった。歴代最強の男だった。

イヴァリス「アァ?そいつは俺だが……何か用か?」
ワルキューレ「アンタと勝負したい」

イヴァリス「…………………」
ワルキューレ「何だよ?」

イヴァリス「ぷっ!ははははははははは!!面白い餓鬼だ!!!この俺に会うなり行き成りそれか!!
こんな意気の良い___無謀な馬鹿野郎は久し振りだ!俺以来だぜ!!」
ワルキューレ「馬鹿にしてんのか!!」

レッド「お前!何だその物言いは!!礼儀を知れ!!」

師兄は事も有ろうかハンターの中の神とも言える存在に不躾な態度で立会いを挑んだ。
師匠はその態度を豪胆と受け取り気に入ったのか大笑いした。
俺は気に喰わなかったさ。こんな礼儀を知らない男を最強の男の弟子にして溜るか___
俺と同列にして溜るかってな。
だが,師匠は楽しそうにあいつの申し出に賛成して双剣と太刀では,強さを比べられないなと
良いながら太刀型の木刀を2つ持ってきて師兄の前に並べた。
そう,師匠は我が師兄の得意とする武器で戦ったのだ。
師匠は太刀を使った経験が無い。如何に強いとは言え普通なら太刀に慣れている師兄の勝ちだ。

ワルキューレ「馬鹿にしてるのか___太刀使ったことあんのかてめぇ?」
イヴァリス「無いね___?然し,圧倒してやる」


ガシッ___ワルキューレ「泣き面見せてやるぜ!」

ダン!!___ガァン___イヴァリス「お前のな?」

ザクン

レッド「一撃かよ!」


だが,俺の予想は外れた。
空中で師兄の太刀型の木刀はニ〜三度回転し地面へと落ちた。
師兄の真正面からの面を狙った攻撃を側面から一薙ぎで吹き飛ばした。
当時の師兄は目を疑っていたよ。双剣や片手剣の勝負でならまだしも,
本職である太刀で人達の下に勝負を決められたのだからな。放心状態になるのも無理は無い。
それを見て俺は様を見ろと思っていたさ。礼儀の知らない馬鹿が広い世界を知った瞬間だ。
それと同時に崇拝すらしていた師匠がすぐさま奴に自らの実力を魅せたのだ。
笑えるし清清しい___

ワルキューレ「___嘘だ。嘘だろ!?てめぇ,太刀は素人だろう?構えで分る!!
俺は,俺は!化物とすら称された男だぞ!こんな__簡単に!」

師兄は誇りと自信を砕かれて戦意喪失して吠えた。
まァ,順当な反応だろうな。それなりに以前居た街では勇名を馳せた様だしな。
認められなかったんだろう。仲間を失って自分の誇りも失って良い事ねぇって.........
そう考えてみるとあの時笑ってた俺も下衆だな。

イヴァリス「—————確かに俺は太刀に関しちゃ素人さ。
ふふっ,分ったか?てめぇより強ぇ奴なんてこの世にゃ山ほど居るって証だ」

倒れ付す師兄を黙して黙っていた師匠は厳しい言葉を堕ちる様な声色で投げかけた。
師兄は怒り大声で言った。

ワルキューレ「くそ___認めねぇ!!!」
ガシィ———

イヴァリス「認めなくても良いさ。純然とした事実ってだけだからな。
お前の町は唯の井戸の中だ。井戸の中の蛙が波紋を広げた所で世界に響くわけも無いだろう?」

師匠は更に事実を突きつける様に冷たく厳かに言う。
純然とした事実___師兄は自分の居た街が自分の視野がどれ程小さな,
世界の中のほんの一部かと言う事をその時感じていただろう。
嗚咽に歪み心の中では気付いてしまった,然し認めたくない事実に苦しんでいる様だった。

ワルキューレ「マハラ……レル,レオ…皆,俺ぁ,皆の所に行きたくてさ。
少し生き急いでたのかも知れねぇ。でも,生きる目標が出来たよ。
目の前の野郎___始めて会った圧倒的につえぇ野郎,
そいつを抜かすまで死ねねぇ……死なねぇってな。」


ギラッ___

誰に言うとでもなく1人遠くに話しかけるように師兄は言った。
あの時は何を訳の分らない事をと君が悪かったが今は無い友達に誓いを立てていたんだろう。
ギラギラとあの人の目に炎が宿っている事に気付いた。
それを見て師匠が笑っていることにも___

イヴァリス「で___お前は俺の弟子になるのか?」
ワルキューレ「—————俺は」

イヴァリス「超えたいと誓った相手の弟子になるか___」

ワルキューレ「辱め___か?此処まで堕ちといてそんな感情はねぇよ!!
あんたの弟子にでもそいつの弟子にでもなってやらぁ!!!」

レッド『俺の弟子に……正気か?』

流石にあの時,師兄が俺の弟子になるなんて言ったのには驚いたな!
俺の弟子になってたら絶対,扱き使ってやってた所さ。
師匠はと言うとその啖呵が余程ツボに嵌ったのか口角を曲げた後盛大な大声で笑った。

イヴァリス「くくっ.........ふっ,くはははっはははははははははははははははははははは!!!」
ワルキューレ「おい!」


イヴァリス「レッドの弟子になるって!?面白ぇなそれは!!
だが,まァそいつはまだ弟子を取る器じゃないよ?
仕方無いから俺の弟子になれ…なっ!?」


レッド「師匠___」
バンバン!!ワルキューレ「くそ!うぜぇ!!そして,痛ぇ!!!」

師匠は楽しそうに笑いながら師兄の背中をバンバンと何度も叩いた。
師匠の怪力のせいで師兄は全治一週間の怪我を負ったらしい。

ゴシャァン…イヴァリス「あんだ?足腰弱ぇな…軽く叩いた位で吹っ飛びやがって」
レッド「師匠,それは貴方の腕力が強すぎるだけで彼が弱い訳ではないかと___」

師匠の言う事が余りに的外れすぎて私はその時始めて師兄を構うような事を言った。
案外,早かったなぁ(苦笑

ワルキューレ「畜生—!痛ぇ…」
レッド「しかし,倒れてる姿が様になってるな?師匠___無論,俺がコイツより上ですよね?」

イヴァリス「行き成り何言ってんだ?そうだな___弟子歴はお前のが長いよな」

師匠は両方同等に扱う積りだったのか思案気な表情を造った。
少しの間,顎に指をあて考え込み手をポンと叩き言ったのだ。

イヴァリス「いや,ハンター歴や年齢を考えればやっぱりお前よりワルキューレが上だろう?」
レッド「なっ!?師匠!!?」

イヴァリス「ってことでお前これからワルキューレの事,師兄って呼ぶ様に♪」

レッド「—————そんな」

俺は師兄の予想外の言葉に反発するよりも先に疑問が先立ち「そんな」と口にした。
しかし,考えて見れば狩りの強さ以外のことに関しては年功序列の色の強い
人外の者達なら当然,そうだろうなと思い気を休めた。


ムクッ___ワルキューレ「ふぅ,よっ___生意気な餓鬼」
レッド「何!?自分が立場が上に成った途端にいきなりこれか!この___礼儀知らずが。
忌々しい。年齢とて2〜3歳しか変わらないだろうに___」

ワルキューレ「偉いのは偉い!」

バキィ!!!


                      「調子に乗ってんじゃねぇ!」


弟子入り1日目___いきなりあの人は頭に大きなタンコブを造った。
矢張り,馬鹿すぎだ。



                                        END


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