二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: モンハン Ep3 イヴァリス・ヴァスカビル コメ求む!! ( No.40 )
日時: 2010/06/26 12:43
名前: 風 (ID: PMHGkQdB)
参照:  

MonsterHunter Ep3 イヴァリス・ヴァスカビル
第九話「血に燃える凍土」
(ノーヴァ・ヒュールン視点)

私の故郷は小さな安堵に包まれていた様な気がした。
何故ならその日,人員不足の私達の村にダリスヴェンドと言う大きな街から
増援が来るというのだから。
其れもその人物は1人じゃなくて複数…更には英雄とまで呼ばれる集団……

彼等が来るまで大事が無ければこの異常な緊張感ともおさらばだ。
そんな空気が流れていた。
当然だ…私達の住む村はたった2人定住するハンターが居るだけの辺鄙な村だ。
其処に英雄と呼ばれる実力者達が来る。
正直,絶大な安堵感が有った。


   ————でモ,其れガ泡沫の夢ダッたのかナ?


                         彼等は間に合ワなカッタ_____




                              <間に合ワナかったンダ>


私達の村は数ヶ月前から異常に凶暴化したモンスター達による被害が続いていた。
凶暴化したモンスターは日に日に数を増していき2人のハンターでは
最早抑え切れる状況じゃなかった。
抑え切れない所か村の人達にも多くの犠牲者が出て…
行商人が物資を私に村に訪れる事すら嫌がるようになった。
私達の村は殆ど自給自足の出来ない寒村地帯…街からの時々来る援助物資が頼みの綱だった。
其れすら望めない状況が対先々週やってきて先週ハンターとして村を守護していた男性が死んだ。
状況は最悪___事態は火急を要する。
だから,村長はこの村だけで解決したかった問題だがと重い腰を上げ援助を…
物的援助ではなく人的…戦力的援助を街に要請したんだ。



_____朝
珍しく吹雪も荒ばず雲の隙間から太陽が顔を出していた。
白い肌に日光は熱い。
私はもう直ぐ来る街からの客人に胸弾ませていた。
英雄と言うのだから強いのだろうな…若しかしたらその人は格好良い人かもしれない。
凄い渋くて私の心を掴むような素敵な声の持主かもしれない。
私の父もハンターだ。この村で現存する唯一の…だから,武器や防具も興味が在る。
きっと,見た事も無い凄い武器を持っているんだろうなぁ……
朝,目覚めた瞬間から私は心躍らせていた。


コンコン___

「ノーヴァちゃ〜ん,パン焼けたわよぉ♪」

「は〜ぃママぁ♪」

何時もの時間に何時ものお母さんの声,あぁ…今日も日常が始まるんだと…
幼い私は死など全く感じず呑気な物でお母さんの甘い声に返事をした。
そして,ドタドタと二階から駆け落ちて行く。
私の部屋は二階に位置している。
積雪が多い時は一階が埋れてしまうから二階から出入りするのが普通だ。
正直,普通の村は二階建ては珍しいらしいけど雪深い山村では二階建てが常識だった。
今では懐かしい話だ。
正直,街の常温は雪国育ちの私には少々蒸暑い。

バタン…

勢い良く私は扉を開ける。
少し驚いた表情の父さんが其処に居る。
美味しそうな料理が食膳には並びそれだけで私は母に感謝していた。

「わ〜ぃ,いっただっきま〜っす!!」

ガシッ…

ムシャムシャ___

「うっ!?」


ドンドン____


「水っ!水ぅ〜!!」


「はははは,幾ら母さんの料理が旨そうだからってそう焦るなって…
別に足が生えて逃げる訳じゃ無いんだからなノーヴァ」


何時もどおり元気で大きな声を上げて私は直ぐに母の造った料理へと手を向ける。
豪快に大きな口で味も確かめないような風情でパンを口の中に入れていく。
当然,喉につかえて息が苦しくなって…良く父に窘められた物だ。


あの時はあんな悲劇が起ころうとは思って居なかった。


朝食も食べ終えて私はお隣さんの家に遊びに行った。
当時数少ない私と同年代の子が居た家だ。隣接していて本当に行き来が楽で良かった♪

「ロッソォ!ノーヴァちゃんよぉ…降りて来なさい!」


近所のその子供の母親のオバサン,声量が大きい事で有名なオバサンが
勉強なんてしてないで子供なら外で遊びなさいとでも言いたげな感じで子供を呼ぶ。
その子供は呼ばれたと言うのに控え目に悠々と階段を下りてきた。


「ロッソ君,遊ぼう♪」

「うっ,あぁ…今日はマカ漬けの壺を使った遊びをしよう」

スチャッ…


青のボサボサ頭に少し尖った感じの眼鏡を掛けた大人っぽい顔立ちの少年,それがロッソ君だった。
ロッソ君は常に研究熱心でいつかは街に出てモンスターの生態を研究するんだと言っていた。

そのロッソ君と裏庭の小高い山の様な場所で遊ぶのが日課だった。
その日もそうだった。
何時ものように彼と笑いあって居た。

「ふむ,ただの回復薬が秘薬にまでなるのか…凄いな」

「うん,凄いね…少し時間が掛かるのが難だけど」
「あぁ,時間が掛かりすぎると今のハンター達には廃れた道具だが,
改良して時間短縮すればハンター達にとって大いなる利器に」


その日は彼が偶々雪山で埋れていた古いマカ漬けの壺を見つけたので其れで遊んでた。
お昼御飯はサンドウィッチを持参してその場で食べて午後の3時位になるまで遊ぶのが日課。
流石にそれ以上遊ぶと親が心配しそうだからその時間には帰る。


____3時

私達が帰路に付いた時だった。



「ワオォォォォォォ」


聞き慣れない雄叫びが何処からとも無く響き渡った。
悲劇の開幕だ。


「なっ何だろうあの声…ロッソ君分る?」

「いや,飛竜種も牙獣種もあんな声を発する物は居ない筈だ…」

その時のロッソ君は勤めて冷静を装っていたが内心では家族や村が心配で汗を流し早足だった。
村の状況が見える位の距離まで歩いて直ぐに私達は惨状を見た。


「ノーヴァちゃん,ロッソ君!逃げるんだ…この村はもう…」

ガブゥ…

「えっ」


息を切らしながら走ってきた村人が私達に大いなる力に襲われているという警告を発した。
見慣れた人だ。その人は言葉を言い切る前に
見慣れない白い羽毛の四速歩行の化物に喉を噛付かれ即死した。

生暖かい血が私の頬を伝った。
信じられなかった。
今まで一度たりとも人が死ぬ所等見た事がなかったのに…目の前で容易く_____

命が____奪われた。


「えっ…叔父さん?えっ……死んで…嫌だ…いやっ!!」

ガシィ…

「あの遠吠えの正体はきっとコイツ等だ!叔父さんはもう助からない!!逃げるんだ!!!」

「ロッソ君」

グィッ…

「グルルルルゥ」


その化物は待ってくれる筈も無く私達の体格や様子を少しの間伺っていたが直ぐ動き出した。
ロッソ君に手を引かれていなければ瞬間私は血化粧に沈み雪の白を血の赤に変えていただろう。

普通に考えれば私たちとその化物の距離は殆ど無くて子供の足では容易く追いつかれる程度だった。
でも,其れを回避したのもロッソ君だった。
その四速歩行の牙の異常に発達した化物が口を開けた瞬間彼は獣の口内に痺れ生肉を投げたのだ。
獣は悶絶し動けなくなり私達は逃げる事に成功した。


「父さんや母さんは大丈夫かな?」

「さぁな…分らんがお前の父はこの村の誇るハンターだ。
この程度の輩にそう簡単にやられるとは思わん」
「そうだね…」


家族の安否,
まだ,世界の広さを知らないあの頃の私たちには何より大事な事だった。
だから,危険と分っていても自らの家へ足を運んだ。
その間にも食い荒らされた村の人々の残骸を幾つも見た。
最初の頃は胃の中の物を吐きそうにもなったが5人〜10人と見る事に慣れて…
こんな物なのだと思うように成っていた。


自らの家へと到着した私達は狼狽した。
私の母さんとロッソ君の両親は既に所々の骨が覗く無残な姿だった。


「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!嘘だ…嘘だ…」

「ロッソ君」

あの冷静なロッソ君が大声で泣いていた。
多分,死体が母親だけだった私より両親両方の死体が有った彼は余程辛かったのだろう。
泣き崩れていた。


ポン…

「ノーヴァ?」

「立ち止まってちゃ駄目だよ…生きる為に走ろう」
「………お前は父親が生きている可能性が有るんだから良いよな」

「………」


「もし何とか逃げ延びたとして俺はどうすりゃ良いんだよ?」


絶望と悲しみに打ちひしがれるロッソ君はまるで自殺志願者のようで…
でも,私は見捨てる事が出来なくて彼の肩を強引に掴んで走った。
彼のその時の思いなんて全て無視して…


「ロッソ君」
「何だ?」


「約束したよね…この村で2人で結婚するんだって」

「あぁ…でも,もう無理だ」
「この村で結婚するのは無理だけどダリスヴェンドって街まで逃げ延びてさ…」


「………」


「結婚しよう」


雪がちらつき始めていた。
私は何とかロッソ君に生きる力を与えようと当時は本気にもしていなかった約束を持ち出した。
ロッソ君は冷たく約束は果せないと言ったけど
私は自分と君が生きてれば結婚は出来ると本気で言った。

その言葉を聞いた時の彼の顔は何だか照れ臭そうな感じで冷静な彼の始めてみせる顔だった。


ザッ…

そんな良い空気を少し醸し出している時だった。
奴等に見付かったのは…
数は三体,とても逃げ切れる数じゃなかった。



「ギャオオォォォォ!」


雪道を蹴り一匹が飛び掛る。
私も恐らくロッソ君も命を捨てる覚悟をしただろう。
目を瞑る。




                           ガッ____



ザザザザザァ…


「ノーヴァ!!ロッソ君!!!無事だったか…良かった」

「父さん」


武器と防具が無くなっていたし死体も無かったから父は生きていると信じては居たが,
其処に父が顕在している様を見てノーヴァは安堵した。
生延びる確率を上げる強力な助っ人の存在としてロッソ君も相当安堵した顔をしていた。

父はこの村独自の武器「巨拳(ビッグベアナックル)」の正当な使い手だ。

父の巨拳は世に言うG級素材により出来た武器で名前は炎神拳グランレウス
リオレウス希少種の素材をふんだんに使った炎属性を身に纏う武器だ。
防具もレウスⅩシリーズと言う事でリオレウスを多く狩った証の様な物だ。

空の王者を大量に倒した一流ハンターの父,
私達にとって大きな安堵を与えるに充分な存在だ。


「然し,ノーヴァの母親と私の両親は…」
「知ってる…幾ら嘆いても戻って来ない。なら,未来に突き進むしか無いだろう?」

父の言葉は強かった。
私もロッソ君も当時は其の言葉に頷き生きる覚悟をしたんだ。


____生きる覚悟を



然し,希望の光…私の父も直ぐに離別する事になる。
村の入り口,詰り村人から言えば出口か。
其の付近に差し掛かった時だった。間の悪い事に否,必然か…

村人の逃げ道を遮る様に獣達の親玉が居た。
だから逃げる事も出来ず村の中で逃げ回り多くの者達が殺されていたのだ。
正直,この村は断崖絶壁の山裾に存在する村だ。
入り口以外からの逃走など不可能に近い。


「____これじゃ逃げられない」
「アイツを俺が殺せば逃げれるさ…」

「出来るの父さん?」
「出来なきゃ死ぬ…それだけだ」


「無茶だ!貴方は奴と戦った事があるのか!?戦った事も無い情報も無い相手に…」


「かといって奴はあそこから場を動く気は無さそうだぜ?
村人の動きからあそこが唯一の逃げ道だと算段したんだろう…賢い事だ」



               —————試シに崖デも下ッテ見ルか?



                         掴ミ掛ケた命ヲ捨てルだけダ____



ロッソ君の尤もらしい口論を振り切って父さんは巨大な白の羽毛の獣へと向かって行った。
巨拳を付けた左手の方には握りつぶさない様に慎重に閃光玉が握られていた。


「隙を造る…お前等はその間に逃げろ」
「嫌だよ…御父さん死んじゃうよ?」


ニッ


「アイツが死んだら俺がお前の世話をしないと行けないからな…死ねないさ…
約束するから鋤が出来たらさっさと村を出るんだ。コイツラ倒して俺も追いつく」


あの人は恐らく勝てないだろう事を悟っていたのだろう。
だがそれでもモンスターと戦ってきた多くの経験とそれなりの実力は有る。
だから,少し隙を造り私達が村を出る程度の時間稼ぎは出来ると思っていたのだろう。



____だが,現実は厳しかった。
父の放った閃光玉を白い犬の様な獣の部下が遮り巨大な其れは部下事,
父に向かって氷の弾丸を連射したんだ。


その小さな獣を貫通した氷の刃は父に降り注いだ。



ドスドスドスドス___


「グフッ!野郎___俺の握っていた道具の能力に感付いて……?
ありえねぇ…モンスターがそんな理知的な…」



ドサァ…


「グ____ウヴォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」



父の装備していた強力な防御力を誇るはずのレウスXシリーズは見る影もなく
奴の凄まじさを表明する。
父は倒れこみもう助かる見込みの無いほどの血を流していた。




「はっはっはっはっは,悪いな…
俺が不甲斐ないばかりに若いお前等を護る事すら出来なくて………」


「嫌だ…僕は父さんに…」
「生きて欲しいってか?無茶……言うな。こんな____痛ェのは…始……めてなんだ」


「そんな事言わないでください…御父さん___」


「___悪いな…死神様のご到着だ」

ズン!

父は平伏し怪物が自らの肉体を食みに近付いてきても伝えたい事を言う為に身を上げて言った。
私は父に唯生きて欲しくて「生きて欲しい」と願った。
だが,願いなど叶うはすもない。何しろ,私達を食料としか思わない獣が目の前に居るのだから。




今度こそ死んだ___

そう思った瞬間,一振りの太刀が私とロッソ君を襲った巨大な獣の部下達に命中した。


「えっ?」


私は呆然としていた。



                                      ∞NEXT∞


NEXT⇒第十話「村との離別,そして新しい旅立ち」


〜ちょっとじゃれ合い〜

ギルス「えっと,ノーヴァさんって子供の頃僕っ子だったの?」
ノーヴァ「何か文句でも?」

ギルス「いや,以外だから…」
ノーヴァ「父が女の子の一人称は私よりもあたしよりも僕が正しいのだと言っていまして」
ギルス「ただの親父の欲望じゃねぇか?」

ノーヴァ「父を私は尊敬していました…」
ギルス「…………(汗」

ノーヴァ「父を悪く言う奴は許しません」


ガチャコン(ボーガン構える音)

ギルス「えっ?」
ノーヴァ「死ぬ前に言い残す事は?」

ギルス「童貞で死ぬのは嫌だあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ドン…

ノーヴァ「下らない」