二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: モンハン Ep3 イヴァリス・ヴァスカビル コメ求む!! ( No.47 )
日時: 2010/09/11 10:58
名前: 風 (ID: 7a/rdtO6)

アビス様へ
そうですねぇ…取敢えず,MHFに出る狼野郎よかは強いと思ってくれて良いですvv
作中最後の方で戦うモンスターの位置づけですし…


MonsterHunter Ep3 イヴァリス・ヴァスカビル
第十話「村との離別,そして新しい旅立ち」
(ワルキューレ・ヴァズノーレン視点)

意味が分らなかった。
村に着いたかと思えば突然見た事もねぇような化け物共が居やがった。
そいつの総大将と思しき一際でかい奴はレウスXシリーズを着た
俺より確実に格上っぽい感じの戦士を踏み付けにしていた。
そして,餓鬼が二人取り残されている図式,訳が分らねぇ,
取敢えず分るのはコイツ等をのさばらせてたら踏みつけられているハンター同様に
餓鬼共も死ぬって事だ。奴等は俺とレッドの存在をまだ軽視している様子だった。

好機と見て俺は目の前の一頭を切り捨てボス犬に暫くこの村で狩りをするようになるだろうと
師匠に言われて十本ほど持ってきた太刀の一本を投げつける。
太刀は派手に奴の前足に刺さり込む。硬い甲羅じゃぁない…弾かれる事は無い。
俺はもう一本の太刀を構えうろたえる見慣れない犬みてぇなモンスターをなぎ払う。
状況が分らねぇが奴等の口から滴る血の量から考えるに奴等この村の民を何人も殺してる。
若しかしたら目の前に残るあの餓鬼共以外死んでるかも知れねぇ!!
焦燥感を抑え俺は冷静に奴等を処理しようと勤める。

「師兄…肩の力を抜いて,時間には抗えない。今更後悔しても遅い」
「分ってるよ………十分冷静なつもりだ」
「そうですか…師兄は敵の統率者らしき大型の奴をお願いします!私が他は引き受けます!」

「分った…気ぃ付けろ!」

「師兄も!」

ザッ!


焦る俺の心情を察したのかレッドの奴は俺に声を掛ける。
焦ってねぇなどど憎まれ口を叩きながらも焦燥感が合ったのは事実でアイツの言葉には感謝してる。
言葉を掛けられてなくても死にはしなかったろうが心が楽になった。

「さてと,懺悔しろ……万死に値する」

この頃のレッドの奴はあの日から力をつけ大剣二刀流を完全に習得している。
圧倒的な膂力と双剣なみの速度で取り巻きどもを蹴散らし奴との間に一本の道ができる。
俺は「縮歩」と呼ばれるこの地方で伝わる高速歩法で奴の懐へと入り込み突きを入れる。


バッ


『何!?』

然し,奴は肩を痛めているのにも拘らず俺の突きを華麗に回避する。
さらに次に繰り出した切り上げも最小限の回避でかわす。

「早い…強い!やっぱり,駄目なのか…」

眼鏡を掛けた餓鬼が戦慄いた声で言う。
強いハンターがやられた瞬間を見たんだろう…当然,恐怖と無力感に打ちひしがれてる筈だ。
苦渋の表情が見て取れる。近くにいる少女の方はと言うと生気すらない。
早く何とかコイツを倒して元気付けてやらねぇと……




「ガアアァァァァァァァ!!!」


ダン…

ブンブンブン…

「くそっ!連続噛み付きが……速ぇ!!」


他の大型モンスター……ティガレックスとかも使ってくる攻撃だが…
野郎,体の構造上速力が速い上に連続できて攻撃のチャンスがねぇ…
攻撃は確実に回避され俊足による連続攻撃,正直やり辛ぇ奴だった。
途中からレッドも駆けつけたが…喰らわせられたのはレッドが後ろをついて食わした
後ろ足への一撃だけで奴をこの場から引かせる程の攻撃は出来ていない。

正直,不利だった。
奴の見た目とはかけ離れた体力と速度・そして,取り巻きどもが居なくなって使い始めた…
広範囲に氷の雨を降らせる技や口を雪の中に入れて咆哮を発することにより
発動される雪の壁を使った奇襲…見慣れない上に厄介な戦法や
基本能力に俺達は翻弄されるしかなかった。



                               其の時だッタ————


ボゴォ


死んだと思われていたレウスXの男が動き出し狼野郎を見慣れない武器で殴り飛ばした。

「父さん…?」


どうやら女の餓鬼の親父らしい。
その一撃を喰らい奴は倒れこむ。俺は急いで奴に刺さった太刀を抜き取り一撃を入れようとする。
瞬間,また氷の雨が精製され其れを知らせるレッドの声が聞こえる。
俺は忌々しげに舌打ちをして退避した。奴は雪中に遁走し逃れた。
恐らくは俺達をあのまま相手にしても全く問題なく奴は倒しただろう。
唯,想定外の事が起こったのともう,満足していたから逃げただけなのだろう……
二人の命を何とか護れたと言う安心感より無力を恥じる気持ちで一杯だったのを覚えてる。
其の後奴の目撃情報は今までも何度か聞いてるが何れも取り逃がしたとか
ギルドナイト数人で捕獲に向ったが壊滅したとか奴の強さや賢さを示す情報ばかりだった。


「お父さん!」

「ハッハッハッハ…案外死ねない物だな人間ってのは」
「もう,喋らないでお父さん」


憔悴しきった風情の親父に少女は駆け寄り泣き出す。
ずっと涙を堪えて来たのか或いは辛過ぎる経験をして涙さえ枯れていたのか……
そんななか眼鏡の少年が俺たちの元に来る。

「あの………ギルドの要請でこの村に用心棒として来たハンターさん達ですよね?」
「あぁ,そうだが…」

レッドの奴が応対する。

「僕はロッソと申します。あちらの女の子はノーヴァ。
そして,レウスXシリーズの人はその父です。」
「そうかロッソ君。俺はゼクト…ゼクト・レッドニール,
傍に居る太刀使いはワルキューレ…ワルキューレ・ヴァズノーレンだ…
所であのモンスター達による村の被害は…」

レッドは少し挨拶を交すと直ぐに核心を少年に問う。
ロッソって餓鬼は黙り込む。
其処にノーヴァの親父の声が聞こえる。

「現状か?俺達以外皆死んださ……誰一人他には生きちゃ居ない」

予想はしていたが聞きたくない言葉だった。
額に手を当て俺は懺悔する。
丁度そんな所に師匠達が現れる。現状をレッドが説明すると師匠は嘆き雪原に倒れ込む。
トレミューラさんは生き残ってしまった少年と少女に憐憫の目を向ける。

「あんた達どうする気だい…こうなっちまった以上村は捨てるしかないよ?」
「そうだな………レルちゃんの居る街に行くか。あそこは知り合いも多いし…良い医者も…ゴホッ!」

「レル姉さん…元気かな?」
「さぁな…最近,手紙を遣さないから分らないな」

トレミューラさんの現実味のある問い,
こう言う悪夢の様な状況に直面すると人間どんな存在でも直ぐに
次の未来を築く事を考えるのは難しいものだ。それなのに目の前の男は直ぐに答えを出してきた。
タフな男だと思ったね…尊敬に値する存在だと思った。
受けた損傷は相当の物で実際喋るのも大変そうで是から山を降りるとなると厳しそうだが…
いや,本旨はそんな所じゃねぇ……

「今何て言った?」
「だから,知り合いの多い街へ行くって」

声を荒げる俺にトレミューラさんが言う。
俺はそうじゃなくて知り合いの例として上げた奴の名を聞いてるんだと問い質す。
街の名前は…年の頃は…レギオレルルと言う街の名,間違いなかった。


「どうしたんだ師兄?」
「レル………」

「まさか!?」

俺にとって片時も忘れた時のない名だ。
長い間狩りをしてきた。あいつとなら何処までもいけると思っていた。



         マハラ



                   レル


                                    レオ____



若気の至り………愚かさ,青かった過去が蘇る。
アイツの故郷を聞いたことなんてなかった。マハラの故郷は知って居たがそれは幼馴染ってだけで…
俺達は考えてみれば年月を長く暮らしはしたが___故郷についてとか話したことはなかった。
未来ばかり夢見ていたからか……急に何も知らなかったのだと思い知る。

「ゴホゴホッ…レルちゃんと……何か有ったのか?」

事情を知る師匠達は沈黙する。
俺は事実を告げた。
田舎には情報が入るのが遅い。
特にその村出身の1人の女ハンターが死んだ程度の情報は入る可能性は少ない。

「俺は彼女と組んでた……」
「組んでた?」


「ある狩りで突然現れたグラビモスから命辛々逃げたが…
逃げ切れる後一歩の所で死んだ…」

「アンタは生き延びたのか………」


「すまない……」


恐かった。
久しぶりの再開を心待ちにする姿…手紙が来ないんだと心配する姿…
此処の連中にアイツはこんなに愛されていたんだと思い知って……
独白するのが恐かった。
何で生きてるんだと非難の嵐が飛んで来そうで………恐かった。


だが,現実は違った。
目の前の深い傷を負った戦士は思ったよりずっと静かで悟った様な声で言うんだ。


「そうか………仲間を失ったのか…辛かったな」
「えっ?」

「蔑まれた方が楽か?そうだろうな……良くも1人だけのうのうと生き延びやがって…
そういう気持ちもある。だがよ…だが,生き延びた仲間は死んだ仲間の意思を引き継ぐことが出来る」

「えっ?レル姉ちゃん…死んじゃったの?」
「…………そんな」

俺は唯静かに男の言葉に耳を傾けた。
あの当時のノーヴァの絶望を移す瞳は矢の様に俺の心臓に突き刺さった。
永遠に拭えない心の傷だ。だが,其れと同時にあの時俺には一つの大きな目標が出来た。
レルの遺志を継ぐこと…そして,ノーヴァの父カリキュリーの約束を護ることだ。


       ———−ナァ,俺は多分,山を下りきル前に死ヌ

  


                           だかラ娘ヲ…ノーヴァヲ頼む————


「お父さん……?えっ!?そんな…」
「すまない…」
「お父さんは死んでないよ……死んで」

「受け入れるんだ!」


そう言って男は二度と言葉を発さなかった。
娘であるノーヴァには何も言わず唯,俺に命を託して逝った。
俺は,其の後ノーヴァを人外の者達に引き入れ俺の弟子にする事を決めた。
思い出す…
事切れたあの人の前で何度も「死んでない」と言って疑わないノーヴァの姿。
其れを止めようとするトレミューラさんも悲しそうな顔しててさ……


それから一日後,俺達はカリキュリーさんが最も村の中で好んでいたと言う場所に
墓石を立てこの村を後にした。
ロッソ君は「錬金術師レギオレルルの街:レギオレルル」で1人別れた。

「では,僕は此処で…」
「あぁ,気をつけてな…街は良い人ばかりじゃ無いからな…相手を簡単に信じるなよ」
「アンタみたいな他人を直ぐ信じる奴に言われたら終わりだな」

「一々うっさいんだよトレミューラは!」

師匠が労いと注意の言葉を掛ける。
其れに対してトレミューラさんがお前が言うなと俺も思った事を代弁するように言う。
其の後,お金の使い方だの困った時の対策だの色々細かくトレミューラさんが教えていた。


「そうだ……皆さん」
「何だ?」


「ノーヴァの事宜しくお願いします!」

別れて以来彼は其処でハンターの役に立つ為にハンターのための武器を造る
職人兼モンスターの生態調査を行う為野に出る研究者ハンターになると言って別れた。
以来,順調に其の卓越した才能を発揮し戦士としてそして,研究者として名を馳せている。
ノーヴァの奴はと言うと道中殆ど口もあけず何も喋ることはなかった。
ロッソ君と別れた時も「さよなら」とも発さず唯ダリスヴェンドへの道中沈黙していた。


そんな中,彼女が口を開いたのはダリスヴェンドの街の明りが見える夜だった。



「僕は絶対に奴を狩る……父の敵を討つ」


                                _____絶対ニ



そう言うアイツの目には復習の炎が滾っていた。

                                 ∞END∞


NEXT⇒第十一話「メンフィス・ジル」