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「う、うわぁ〜、誰か助けてぇ〜！」

　俺は必死になって原っぱを駆ける。後ろから追いかけてくるうまい棒のコーンポタージュ味から逃げている。

と、目の前の小石に躓いてこけてしまった。ヤバイ。もううまい棒はすぐそこに迫っている、早くしないと押しつぶされて・・・

「うわああぁ！」

目が覚めた。・・・あれは夢か。

　俺は哲（さとし）。たまに「てつ」と言われる。それはさておき。

何故うまい棒に追われる夢を見たのか。別に嫌いなわけでは無いのだが。

・・・などと考えながら階段を降りた。1階のキッチンからは味噌汁の匂い。

「ご飯もうすぐ出来るわよ、ちょっと待っててくれる?」

　俺のお母さん。今年コーディネイターの仕事を始めて忙しいらしい。で、今は3月だから春休みをもらっている。3日だけだが。

今日は祝日で休み。「シンオウ建国記念日」だとかなんとか。
俺はチャンネルを手にとってＴＶの電源を入れた。ちょうど今は「おはようテレビ」の中村アナがニュースを読んでる。

『今日、ジョウト地方のキキョウシティでポケモンのものと思われる手足が転がっていたとの情報が入っています』

俺はそれを聞いて背筋がゾゾッとした。なんであんなひどい事ができるのか・・・。

『ノコギリなどの鋭利なもので切断されたものだと思われます。次のニュースです』

更に背筋がゾゾゾ。氷が張り付いたように寒気が走る。

「まぁ、何てひどいのかしら！　犯人は誰なのかしら？」

お母さんも首をかしげる。お母さんは「動物も人間もポケモンも同じだ」、といつも言う。そんなお母さんにとっては許せない事だと思う。

　———いつかポケモンも人間も仲良くできる世界を築きたい。

　それが俺の夢なんだ。

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