二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 銀魂「市女笠篇」 立て直し ( No.3 )
日時: 2010/01/13 16:56
名前: コナ (ID: QDm7ZT.A)

昼、とある公園。
「復讐ねぇ」
銀時は八重の言葉を脳内に響びかせながら、呟く。
幕吏、真選組隊士だけを殺害する人斬り『市女笠』…山科可乃。
八重曰く「おかのはきっと、父親や仲間を殺した幕府の恨みが強くなったからこういうことをしているのよ」
らしい、全くどこかの中二病患者と動機が似ている。

「屯所や奉行所も相手にされなかったですね」
新八の言うとおり最初に前者に行ったが、忙しいと隊士に言われ門前払い。後者も同じ扱いを受けた。
「銀ちゃーん、さっきから蕎麦屋ばかり行ってるけど腹減ったアルか?」
「ああ、アイツ蕎麦が好物だからな…どこかで食ってるんじゃねぇーか…」
そう言い終わると銀時の腹が鳴る。
「銀ちゃんの嘘つき」
「僕もお腹が空きましたよ…」
歩き捜したら当然腹が減るだろう。
「しょうがねぇーな…コンビニでなんか買うか」
銀時は、頭を掻きながら言う。
「あ、旦那じゃないですか」
背から、聞き慣れた声が銀時を呼ぶ。
「お前は総一郎君じゃねぇーか」
捜していた人物ではないが、手がかりを持ってそうな人物を発見した。
「総悟です旦那」
ベンチに座るのは、真選組一番隊隊長沖田総悟だった。

第二訓「調べ物はきちんとしましょう」

「『市女笠』…ああ例の人斬りですかィ」
「お前らも被害あってんだろ? 少しぐらい調べてるはずだ」
「残念ながら真選組(俺ら)は、何も知らないですよ。被害者の処置で精一杯なんでィ」
「だから、門前払いされたと」
「まあそんな感じでさァ」

「お前らただ面倒くさいから調べてないんアル」
「おい、チャイナ話聞いていたのか? 湧くように出てくるからそんな暇もないんでィ」
「サボる暇はあるみたいアルな」
いつの間にか神楽とベンチに座る沖田は睨み合いに発展する。
「ほら二人とも、やめて下さいよ」
新八は今でも衝突しそうな二人を制裁しようとする。
銀時は、「ほら行くぞ」と呆れた表情を浮かべ、再び捜索開始する。

「あ、そういえば…襲われた隊士に二つ共通点がありますぜ旦那」
「共通点…?」
「一つ目は襲撃時間は深夜帯の巡回の時だけで、巡回以外の夜間は必ず襲わないんでさァ」
「二つ目は?」
「二つ目は、どれもニ本の刀を同時で薙いだ傷が腹にあること。これをヒントに、『市女笠』退治頑張ってくだせェ」
そう沖田は言うと、ベンチに寝転んで愛用のアイマスクを装着し寝始めた。
「なんで退治する感じになってるの」
新八は小さく突っ込んだ。

「空振りか…」
銀時は八重が遊びで撮った山科可乃の写真を懐から出し、眺める。

聖母のように微笑み、ぱっちりと濁りのない黒いタレ目はこちらを見ている。
肌は絹のように清らかで白く、後ろに結わえた長い黒髪は艶やかで美しい。
その姿はまさに、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花を具現化した女性が映っていた。
ただし恰好は、陣羽織に頭に鉢がねを巻き胴や小手といった武装。
腰には同じ長さの細身の刀二本差しているが。

「おかのさん、本当に綺麗ですね…着物姿似合うだろうな」
「新八まさか惚れたアルか?」
「違う僕はお通ちゃんしか興味がないんだー!!」
新八は顔を火照らせ、ムキに反論する
「何、ムキになってんだヨ」
「惚れても、地味なお前とコイツは釣り合わねぇーから安心しろ」
「どーいう事だ! 僕だって夢見させてくださいよ!!」
「無理だな」
「そーアル、ダメガネにはレベルが高すぎるヨ」
銀時と神楽は即答した。
「あの…泣いてもいいですか」
肩を落として歩く新八を無視し、銀時は辺りを見渡す。
すると、道端で笠を被り錫杖を抱えて座る僧を発見した。
まさかと思い、僧を通り過ぎた頃叫んだ。
「ヅラァァァ!!」
新八は突如叫んだ銀時に驚き。
「ちょ、銀さんどうしたんですか?」
「叫びたい年頃ネ」
二人は僧の正体に気づいていないようだ。
案の定、僧は立ち上りお決まりの台詞を叫び返した。
「ヅラじゃない! 桂だァァァ!!」

「何? あの『市女笠』が『優婉の蝶』だとは…」
落ち着いた桂は、銀時が差し出した写真を見て眉間に皺を寄せる。
「優婉の蝶?」
「山科の異名でな。敵を蠱惑し斬る姿はまさしく、しとやかに羽ばたく美しい蝶」
「そんなの嘘ヨ、女の夜兎の戦場は綺麗なもんじゃないアル」
流石、戦闘部族の女の子である。いや夜兎族は戦いに関しての姿勢は、老若男女皆同じだろう。

「嘘じゃない。本当にそうだったらしいぞ、リーダー。そういえば、女郎士隊は戦場の華だったな、な。銀時」
「…それより、コイツについて何か知ってるか?」
「いや何も、真選組の巡回の人数が前より増えたぐらいしか知らないな」
「そーか」
「あと、今度会う時その写真焼き増してくれぬか」
「は?」
「いや、どこで嗅ぎつけたのかうちの同志が山科の事を聞くんだ、本当に美女なのか、実際見たんですか…って、コラ!! お前ら人の話の途中にいなくなるな!!」
あまりにもくだらないので、三人はその場から立ち去って行った。