二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜 38話更新 ( No.128 )
日時: 2010/11/20 22:08
名前: アビス (ID: U3CBWc3a)

番外編1〜カムイとチーの出会い〜




「じゃーまず、俺とチーが初めて会った時のことな」

——————————13年前——————————

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」

太陽が真上にある頃、一人の少年が走りながら森の中にある小さな小屋に入って行った。

「トルトニスーー!お腹空いた!!」

少年の言葉に、中に居た一人の女性がクスクスと笑い。

「はいはい。それじゃーカムイ、薪を拾ってきて。十分以内によ」

カムイと呼ばれた少年は訝しげな表情を浮かべた。

「はぁ〜〜〜!!?十分!!?そんなんじゃ全然・・・」

「はい、い〜〜ち、に〜〜い、さ〜〜ん・・・」

トルトニスは数とともに手拍子をし、どんどん数を重ねていく。
カムイは大急ぎで小屋を出ると、薪拾いに専念した。

「ったく〜〜、トルトニス。何でいっつもあんな意味不明な注文するんだよ〜〜〜。
おかげでこっちは大迷惑だっつの」

一人で愚痴りながらも、カムイはせっせと集めていく。カムイはトルトニスとあの
小さな小屋で二人で住んでいる。とはいえ、大人一人、子ども一人なら十分なスペースはある。

カムイはいつもトルトニスの無茶な言葉に振り回されていたが、決して嫌ではなかった。
何がどうして嫌じゃないのか分からないが、とにかく嫌ではなかった。

なんとか十分な量の薪を拾い小屋に戻ろうとした時、遠くの方で何かが光っているのを見つけた。

「ライトバード?でもこの時間帯はあいつらいつも木の上で寝てるしな。
テムリスが何か警戒でもしてんのかな?」

カムイは一人で呟く。この辺りにいる動物は全員カムイと友達だ。友達が起こす行動の全てをカムイは理解している。
気になったカムイは集めた薪をそこに置き、その光の発生元へと走りだした。

————————————————————

「な・・なんだこりゃ・・・」

光の発生元に行くとそこには地面に怪我をしたイタチが放電しながら寝そべっていた。
近くには異変に気付いた動物たちが集まっていた。

「お前ら、危険そうだから近づくなよ」

周りにはそう言いつつも、自分はそのイタチに近づくカムイ。
すると、イタチがのそりと起き上がった。カムイのほうを警戒している。

「おい、お前。怪我してんだろ、治してやるからその電気バリバリ解いてくれよ」

カムイはそう言って近づくと、イタチは更に放電の強くして、カムイを近づけせないようにする。

「うわっと・・・!!あぶね〜〜。あんにゃろ、こーなったら意地でも連れて帰る」

カムイは意を決して電気の中へと突っ込んでいった。この行動にイタチも驚いたのか放電が少し弱まる。
それでもイタチはカムイを近づけさせないように、ありったけ放電する。

「んぎぎぎぎぎ!ビ・・ビリビリ・・・す・・る・・!」

それでもカムイは一歩一歩近づいていく。イタチの放電が少しずつ弱まってきている。

「ほら・・!どうした!!電・・気の威・力・・落ちて・・きてる・・ぜ」

カムイが無理に笑顔でそう言う。イタチの方はすでに限界のようで倒れてしまった。

「へ・・へへ。勝ったぜ・・・。ざま・・・・み・・ろ・・・」

そう言うカムイもそのまま倒れこんでしまった。

——————————小屋——————————

カムイが目が覚めるとそこは自分の家の中だった。トルトニスが鼻歌を歌いながら調理をしていた。
だが、カムイが目を覚ましたのを見ると、手を止めカムイの元に歩み寄ってきた。

「目が覚めた?カムイ」

「何で俺部屋に?もしかして、トルトニスが俺を運んでくれたのか?」

「ざ〜んねん。私が624秒を数えている時に、いか君達があなたと薪と小さな子を連れてやってきたのよ」

「いか?・・・・・鹿だろ」

「そうとも言うわね」

トルトニスはクスクスと笑う。いくらなんでもいかはないだろ。
カムイは心の中でそう思いながらも、小さな子と言うのを思い出した。

「・・・小さな子って?」

「あれ」

トルトニスが指を指した方を見ると、先ほどのイタチが手当てを受けた状態で眠っていた。

「珍しいわね。雷電イタチなんて」

「雷電イタチ?・・・ってなんだ?」

「そのまんまの意味。体内で電気を発生させ、放電するイタチのこと。
怪我して衰弱してたけど、もう大丈夫だと思うわ」

トルトニスが近寄り頭を撫でると、それに連動してイタチが起きた。

「こんにちは、小さなイタチさん。貴方のお名前は?」

—チーチー!チー!—

「チーって言うのね。よろしくねチーちゃん」

「・・・・チーチー言ってるかチーってどうなんだよ?」

「あら、いいじゃない。可愛いでしょ。ね、チーちゃん」

トルトニスがもう一度頭を撫でると、チーは嬉しそうに喉を鳴らす。
そしてチーは突然、身体を何の前触れもなしに身体を宙に浮かせると、そのままカムイの頭の上に降りた。

「な・・こいつ・・・・」

「あら」

トルトニスが口に手をやり、クスリと笑う。

「ふふっ。貴方のこと、気に入ったみたいね」

「・・・まぁどっちでもいいや。それよりトルトニス。飯」

催促するように手を出すと、トルトニスはあらっ、と言った。

「ここに着いたのは一体何秒だったでしょう?」

「・・・??え〜〜と、500秒くらい?」

カムイが曖昧に答えると、トルトニスはぶっぶーー、と笑顔で言った。

「624秒でした。さっき言ったじゃない。と、言う事は十分以内に帰ってくる事は出来なかったってことよね」

「な・・!それはチーを・・・」

「と、言う事で食事抜き〜〜」

「な・・!え!!ちょっ・・・!!ええ〜〜〜〜〜〜!!!!」

本気でお腹が空いているカムイにとって、それはマジで辛い宣告だった。だが、トルトニスは

「と、言いたい所だけど、チーちゃんの件もあったみたいだから、今回は不問とします」

「ふ〜〜、助かった」

「不問とします」

「え・・ああ、聞いたよ」

「不問とします」

「・・・何が言いたいんだよ。トルトニス」

「本来なら食事抜きの処を不問としてあげたのよ。・・・言う事は?」

「・・・・ありがとう」

カムイがぼそぼそと言ううと、トルトニスは満足そうに頷いた。

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