二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜 番外編3更新 ( No.161 )
- 日時: 2011/01/11 16:00
- 名前: アビス (ID: U3CBWc3a)
45話〜消えない傷と思い〜
ナツはすぐ傍にいるリサーナを見つめる。リサーナはずっと笑顔でナツの傍にいる。
ナツは唇を強く噛み、頭を振るうと『リサーナ』を睨みつけた。
「てめぇ、また変な幻覚を・・・・」
と、そこでナツは言葉を切った。『リサーナ』はさっきから目を丸くして
ずっとリサーナを見つめている。まるで死人にでも会ったかの表情だ。
ナツはそれで『リサーナ』がリサーナを生み出したんじゃないと察する。
じゃあ一体このリサーナはなんなのか?
「いつまでもぼ〜〜っとしてると、またナイフで刺されちゃうよ」
リサーナの声で現実に戻るナツ。
「リサーナ。お前が本当のリサーナなのか?」
ナツがそう言うと、リサーナはナツの頭を軽く叩いた。
「もう〜〜〜!何言ってるの!?しっかりしてよ。冷静に考えればちゃんと見えてくるから」
『何でお前がいるんだ!?』
と、今まで固まっていた『リサーナ』が怒鳴った。その雰囲気や声は最初の状態に戻っていた。
『お前は死んでいるはずだ!どうして今ここにいる。僕は君を生み出した覚えはないぞ!!』
『リサーナ』は声を張り上げて叫ぶ。それにナツは妙な感覚を覚えていた。
こいつの発する言葉や気持ちが痛いほどよく分かる。まるで・・・・
「・・・・・そっか」
ナツが呟く。その目は先ほどまでとは違い、いつものナツらしい目つきになっていた。
ナツの変化に気付いたのかリサーナは微笑んだ。
「じゃあ、後はあれを倒すだけね」
「ああ!はえーとこ戻らねえとな。カムイにまた怒鳴られちまうからな」
拳を合わせて笑うナツ。と、『リサーナ』の表情を変わった。リサーナを凄く睨みつけている。
『このぉ!!消えろぉ!!』
ナイフを振るうとリサーナに向かおうとする『リサーナ』。その間にナツが立った。
『邪魔だよ!!ナツ君!!!』
「そう声を張り上げんなよ。お前は・・・・」
—ドス!—
『リサーナ』のナイフがナツに深々と突き刺さる。だが、ナツはその『リサーナ』の手を強く握りしめた。
「俺なんだろ」
ナツが呟くと『リサーナ』は、いや『ナツ』はビクッと震えた。
「やっぱりな。お前、俺の負の概念を具現化したもんだろ?さっきまではてんぱってて分かんなかったけど、
お前から感じるのは全部悲しみとか苦しみとかだからな。
なら、お前を消すのは簡単だ。・・・俺が受け入れてやるよ。お前の全部。元々は俺のもんだしな」
ナツがそう言うと『ナツ』の体はどんどん消えていった。最後、後少しで完全に消えるとき、『ナツ』が言った。
『ありがとう』
『ナツ』が完全に消えた後、ナツはリサーナの方に振り返った。リサーナも『ナツ』と同じように消えかかっていた。
「サンキューなリサーナ。お前のおかげで助かったぜ」
ナツが礼を言うとリサーナは笑顔で。
「ナツ。ハッピーをちゃんと幸せにするのよ」
「ああ?なんでだよ?」
「だってハッピーは私たちの子どもでしょ?子どもを幸せにするのが親の務めでしょ」
「な・・まだんなこと言ってるのかよ」
ナツが少し顔を赤らめる。それを見逃すリサーナじゃなかった。
「ふふっ。成長しても初なところは変わってないわね〜〜」
くすくす笑った後、リサーナは少し沈んだ表情をした。そして
「・・・・・でも、本当にそうだったら良かったかもね」
「え?」
「なんてね。じゃ、またねナツ!」
リサーナを手を振ると、そのまま消えた。暫く一人取り残されるナツ。
そして小さく微笑むと呟いた。
「やっぱお前には口じゃ勝てね—な」
————————————————————
「くっそ!」
カムイは息を切らしながら武器を構える。カムイの目の前にはあの木のモンスターの親玉がいた。
幸い、この親玉には魔力を吸収する力はないのだが、それでもかなり手ごわいモンスターであった。
切った傍から瞬時に再生、本体から切り離された方は木のモンスターになって魔力を吸ってくる。
「ナツは起き上がられねーーしよ」
カムイの後ろにはナツが倒れこんでいる。霧の中倒れていたナツを運んだは言いが一向に
起きる気配がない。そんな状態でこの親玉が出てきて、庇いながらの戦闘で、前に出れずにいる。
「ナツ!!早く起きろ!!!」
—ヒュンヒュン!!—
2本の鞭のような枝が伸びてくる。カムイは舌打ちすると
「雷光灼火!」
電熱で枝を一気に焼き切る。本体まであと数十センチというところで親玉は自切する。
「くそっ。あとちょいだったのに・・・・」
カムイが悔しがっていると、カムイの背後の地面が盛り上がる。と、そこからまた枝の鞭が伸びてくる。
「しまっ・・・・」
—ボオオォォォォ!!—
枝が一瞬で炭に変わった。熱さに顔を腕で覆っていたカムイ。それを下ろすと微笑んだ。
「ようやく起床か?」
「ああ。わりーな」
ナツはそう言うと前に出た。カムイが不思議そうにしているとナツの全身が光りだした。
「炎なのか?」
ナツの体を揺らめいているのは確かに炎なのだが、発光が凄まじい。ほとんど光と変わらない。
カムイにはナツに何があったのか知らないが、ここはナツに任せることにした。
「とっととこの仕事を終わらしてギルドに戻んなきゃな。やる事もできたし」
ナツはそう呟くと親玉に向かって突っ込んだ。親玉は無数の鞭をナツに飛ばす。だが
「火竜の咆哮!!」
光り輝く火のブレスにあっという間に消える。そして燃え滾る爆炎の中、ナツは親玉の真ん前まで来た。
「火竜の輝拳!!」
光り輝くナツの拳が親玉を捉える。親玉が消えた後、ナツは上を見上げた。
まるで、誰かがそこから眺めているのを知っているかのように。