二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜 54話更新 ( No.192 )
- 日時: 2011/05/28 14:45
- 名前: アビス (ID: dFf7cdwn)
55話〜無力の力〜
—パラパラッ!—
辺りに粉塵が舞い、レナの姿が見えない。
「レナ!!」
カナがレナの名を叫ぶ。あれほどの魔力の波動を受けたのだ。
生きているかどうかも危うい状態だ。
「けほっ!けほっ!!」
「!!!」
粉塵の中から聞こえてくる咳にカナが目を見張る。
「レナ!」
粉塵の中からレナの姿が確認出来たカナ。それに安堵するが、
どうしてあの波動を受けて無事だったのかを考える。
その理由は粉塵が完全に晴れてから分かった。
「・・・・・・くっ!」
「フリードさん!?」
レナの前にはフリードが剣を盾にし、レナを庇うような状態で立っていたのだ。
波動をもろに受けたのか、フリードの体中はボロボロになっていた。
そんなフリードに止めを刺そうとミラがフリードに拳を突き出す。
「ぐはぁっ!!」
大量に吐血をするフリード。だが、その口元には僅かに笑みが零れる。
「闇の文字・重み」
フリードは最後の力を振り絞り、全身4か所に術式を施す。
それによりミラは両手足が地面にめり込んだ。と、フリードも地面へと倒れこむ。
フリードは既に先ほどまでのミラとの戦いで力は消耗していたのだ。
それでも最後までレナのために置き土産を残したフリード。
「フリードさん・・・・・」
その気持ちを受け止めレナは立ち上がる。まずはこのミラをどうにかして元に戻さないといけない。
「ああああああ!!」
だがそれも簡単なことではない。フリードによって全身に重い枷を背負われている状態でも
ミラは力尽くで立ちあがる。そして地面に倒れているフリードを睨みつけると、
その頭を踏みつけようと脚を上げる。
「だめ!!」
レナはすぐにフリードをミラから引きはがす。間一髪で踏まれることはなかったが、
レナも正直、ミラと戦える力は残っていなかった。今のレナに出来ること。それはたった一つだけ。
「・・・・・レナ?」
カナは怪訝そうな顔でレナを見る。レナは何かを覚悟した顔で立ち上がり、ミラを見据えているのだ。
何か魔法を出す構えもなしにミラを見続けている。そんなミラはレナに向かって突き進んだ。
それでもレナは動かずにミラを見続ける。
「逃げなレナ!!」
耐えきれずカナはそう叫ぶ。すると、レナは一つの行動を起こした。
それは己の手を大きく開くということ。それはまるで戦う意思はないと示しているようだった。
・・・・すでに力が残っていないレナが遣れることはただ一つだけ。
それはミラを信じることだけだった。ミラなら決して自分の中の悪魔には負けないと。
ミラの拳がレナの顔面目の前まで迫る。それでもレナはミラを信じた表情で動かない。
「皆でギルドに帰ろう。ミラ」
—ピタッ—
ミラの拳が止まる。その拳が震えている。顔を伏せて歯を強く噛み締める。
「な・・・ぜ・・・・・?」
ミラはそのままレナに問うた。それにレナは笑顔で答えた。
「だって、ミラなら例え悪魔になろうと私たちの事は忘れないって信じてたから」
「・・・・・・」
ミラの拳がだらりと垂れる。そして顔を上げた時、ミラの顔は何時ものミラの顔に戻っていた。
「ありがとう、レナ」
ミラは最後にそう礼を言うと、接収が解け倒れこんでしまった。
そして続いてレナもそのまま倒れこんでしまった。
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—キン!キィン!!ガキィィィン!!!—
カムイとブリューナクと名乗る男の戦い。お互いの剣技が入り混じる。
ブリューナクの魔法はカムイと同じ雷系魔法。だが、魔力はカムイよりは劣っているが
剣術はカムイが劣っている感じで互角の戦いをしていた。
「はぁ・・・はぁ・・・・。つっ!!!」
「はっ!!」
腹部に襲った痛みで動きが鈍った瞬間、そこにブリューナクの蹴りが腹部に入る。
凄まじい痛みがカムイを襲う。
「俺は敵が傷を負っているからと言って手は抜かない。付けいる隙があるのならそこを突く!」
「俺もそんなのに気を遣わせるつまりはねぇよ!!
とっとと本気で来い。何か隠し持ってんだろ?腹の探り合いは止めにしようぜ」
カムイはそう言い、相手に刃を向ける。それにブリューナクも賛成するように頷く。
「そうだな。なら、俺も名を名乗らせてもらう」
「ブリューナクじゃねぇのか」
「それは通り名だ。俺の名はスザクラ。俺が名を名乗るのは、
その相手を殺す時だけと決めている。願掛けのようなものだ」
スザクラはそう言うと、何も無い空間から剣を三本取り出し、計四本の剣を己の手に持つ。
「四刀流か。大した芸当だな」
「その芸当にお前は殺させる」
スザクラは二本をカムイに向かって投げる。それを弾くカムイの隙をつき、残り二本で畳みかける。
それをかわしつつカムイも攻撃をしかける。
「四刀流は初手の一発だけか?」
「引刀」
—ズパズパ!—
「つっ!!」
カムイの横腹を何かが突き抜ける。それに膝が着くカムイ。それにスザクラが止めを刺そうと
刀を振り上げる。その手にはいつの間にか投げたはずの二本の刀が戻っていた。
「終わりだ」
「独楽・ツバメ返し!!」
—ガキィィン!!—
突如飛んできたコマがスザクラの刀に辺り吹き飛ばす。
そしてそのコマが飛ばした本人の元へと戻って行った。
「誰だ」
「誰だと尋ねられたら、答えてあげるのが世の情け」
カランカランと下駄の音が辺りに鳴り響き、ゆったりとした着物を着た少年が現れる。
「遊神のヒュート。ここに見・・参!!!」