二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜 オリキャラ募集中 ( No.240 )
- 日時: 2012/04/11 20:37
- 名前: アビス (ID: dFf7cdwn)
62話〜幻想曲〜
「皆安心してくれ。マスターは無事だ」
フェアリーテイルのギルド。エルザのその言葉にギルドの皆が歓声をあげる。
何でもマスターの古くからの知人、ポーリシュカと言う人物が治癒魔導士で、
マスターの命を救ってくれたらしい。
「しかしマスターもお歳だ。これ以上心労を重ねてはまたお体を悪くする。
皆もその事は忘れるな」
「あ・・・・あの!!エルザ!!」
「ん?何だレナ」
「カムイは?」
「・・・・・・・」
レナの今にも泣き出しそうな表情にエルザはその頭にそっと手を置いた。
「安心しろ。絶対安静だが命に別状はないそうだ。なんなら顔を見てくればいい」
「・・・・・うん!!」
レナが急いで医務室へと入っていく。そこにはベットが二つあり、片方にはマスター。
もう片方には・・・・・
「・・・・・・・レナか」
ゆっくりと体を起こすカムイ。その体は包帯だらけで、特に酷い腹部には
特別な術式が書かれた包帯が巻かれている。
「悪い、心配かけたな」
「謝らないでよ。カムイがそんな怪我負ったの、私のせいなんだから。ごめんね」
「お前も謝るなよ。今回のことで怪我した皆誰も、誰かのせいだなんて思ってねぇよ」
俯くレナにカムイは優しく言葉を掛けた。それでもレナは俯いたまま話しだした。
「私の事・・・・・怒ってないの?」
「怒ってない」
カムイは即答する。
「そんな怪我を負わした私を恨んでないの?」」
「恨んでない」
「本当に?」
「本当に」
「・・・・・・それじゃあこれからも・・・・・・一緒にいてもいい?」
「勿論!」
レナの問いかけに全て即答するカムイ。それにレナは静かにカムイに近寄り、
その顔をカムイのベットに埋めた。そこからは僅かに泣きじゃくる声が聞こえてきた。
「カムイに嫌われたかと思った。もうお前とはチーム組めないって言われると思った」
「心配し過ぎだっての。俺がそんな事言うと思ってんのか?」
レナに呆れながらもカムイはその頭を優しく撫でる。すると
「お前、その首のリボンどうしたんだ?」
「え?ああ・・・・うん、これ?」
その言葉にレナは顔を上げ、首を見せた。首には蒼のリボンチョーカーがしてあった。
「ちょっと首元に傷跡が残っちゃってね。だからこれで隠してるの」
「そうか。お前も・・・・・・・・・」
—ガチャ・・・・—
カムイが何かを言おうとした時、医務室の扉が開かれ入ってきたのはラクサスだった。
そして来るのを待っていたかのように、マスターが目を覚ました。
互いに視線を送り合う二人。
「俺らは出て行こうぜ、レナ」
「う・・・・うん」
二人の空気に、この場から出ようと言うカムイ。それはレナも感じていたようで二人は医務室を出た。
・・・・・・・後に知った話だが、この時ラクサスは破門をマスターから命じられ、このギルドを去った。
——————————ファンタジア——————————
夜空に舞いあがる盛大な花火。そんな中フェアリーテイルのメンバーが大通りで
大パレードを行っていた。観客も大盛り上がりだ。
「ミスフェアリーテイルの子たちのダンスだ〜〜〜!」
「可愛いー!!正に妖精だぁ!!」
「エルフマンだぁ!!すげぇ迫力!!」
「ミラちゃんも負けてねぇぞ〜〜〜〜〜!!」
「妖精女王が来たぞ!!剣が舞ってる!!」
「綺麗・・・・」
皆がそれぞれこの大パレードを盛り上げていく。勿論レナも。
「フェアリーサークル!!」
沢山の妖精が思い思いに散って、観客の周りを飛び回る。
それに大はしゃぎする子どもたち。すると、ギルドの窓ガラスが割れ、何かが飛び出て来た。
—ガオオオオオオオオ!!!!—
「うおおお!!虎だぁ!!!」
「背中に誰か乗ってんぞ」
「カムイ!?」
レナは驚きの表情を浮かべる。現れたのはチーとカムイだったのだ。
「こんな時に寝てられねぇよ」
カムイはそう言うと、指を鳴らす。すると、大通りから九本の電気柱が立ち上った。
それが一か所に集まっていき、電気でFAIRYTAILの文字が空中に浮かんだ。
そしてその周りを飛び回るレナの妖精。
「マスターだ。マスターが出てきたぞ!」
最後の大砦は勿論マスター・マカロフ。・・・・なのだが、
「なんか妙にファンシーだ・・・・・」
「そのコミカルな動き止めてくて・・・・」
「ケツふんなよじーさん」
マスターは魔法は使わずにその体で踊りだした。その姿に観客は呆れながらも、
皆笑い声を上げてみていた。
「・・・・・・・・」
そんなマスターの晴れ姿を見つめるラクサス。自らの祖父の姿を目に焼き付け、
その場を去ろうとした時、ふと何かを感じ振り返った。
「!!!!」
見るとマスターが右手の人差指と親指を立て、天に翳していた。
マスターだけではない。ギルドのメンバー全員が同じポーズを取っていた。
それを見てラクサスは涙を流した。そのポーズは昔、ラクサスがファンタジアに出る時に考えたものだ。
『観客にいるじーじが見つけられなくても、俺は何時もじーじを見てるって証し。
だから見ててな、じーじ』
「じーじ・・・・・・」
マスターのそのポーズから伝わってくる、マスターの思い。
たとえ姿が見えなくとも、たとえ遠く離れていようと、
ワシはいつでもお前を見てる。
お前をずっと・・・・・見守っている。
「ああ・・・・・ありがとな」
その思いを噛み締め、ラクサスは再び歩き出した。今度は決して・・・・・・振り返らずに。