二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜 67話更新 ( No.253 )
- 日時: 2012/12/23 00:09
- 名前: アビス (ID: dFf7cdwn)
68話〜兄弟弟子の絆〜
——————————洞窟——————————
「計算外だ。まさかこのようなことになろうとは・・・・・」
荒れた洞窟内に佇むブレイン。
そこには既にウェンディとナツの姿は無かった。
ナツが無事にウェンディを助け出したのだ。
「奴があそこまで私に敵対心を持っていようとは」
ブレインが呟く奴とはジェラールのこと。
ウェンディの魔法により昏睡状態から回復したジェラールだが、
起きた傍から魔法を乱発させ、洞窟内を滅茶苦茶にさせた後、どこかへ消えてしまったのだ。
「コブラに後を追わせているといえ、ジェラールにニルヴァーナを独占されるようなことがあったら・・・・」
「・・・・・・だから初めから僕らに任せておけば良かったんだよ」
突如洞窟に響く渡る声。その声の方に顔を向けたブレインはその人物を見た後呟いた。
「ふん・・・・うぬらが出ていれば天空の巫女ともども皆殺しにしておったであろう。ストローク」
「まーね。僕は殺戮しか出来ない無能なおこちゃまだから・・・・・」
クスクスと笑うストローク。その笑い方は本当に子供のようだった。
だが、ブレインはその笑いに酷く不快そうな表情を浮かべる。
「ところで奴はどうした?殺戮ギルド・無双の双死鬼(デスフォールズ)の片割れ、
『炎鬼死』のゼイル。奴は一緒ではないのか?」
「彼は僕の言う事も聞かないきかん坊だからね。けど、安心しなよ。
君との約束がある限り、彼は必ず君の期待に応えた仕事をしてくれるら。
・・・・・・じゃ、僕ももう行くよ。必要なピースは揃ったんだろ?
後はそれを繋げるのを邪魔されないように連合軍をぶっころすだけ」
「ああ」
クスクス笑いながらその場を立ち去るストローク。それを見届けた後ブレインを鼻を鳴らした。
「ふん。気味の悪い奴だ。だがまぁ、邪魔者を消すのにこれほど打って付けの奴は他にいなかろう。
過去バラム同盟の一角を担える程の勢力を持ちながら、同盟には入っていなかった無双の双死鬼。
そのギルドのメンバーおよそ百名を一人で皆殺しにし、自らがマスターの座に着いた男。
『旋凶死』・ストローク」
——————————森——————————
「アイスメイク・イーグル!!」
森の中を爆走する二台のバイク。レーサーを後方から追うグレイとリオン。
そのリオンが魔法を放った。リオンもグレイと同じ氷の造形魔法の使い手だが、
リオンは動物を模した造形が得意なのだ。
放たれた氷の鷹が木々を抜け、レーサーのバイクへと直撃した。
「遊びは終わりだ」
いち早くバイクから脱出したレーサーはそのまま二人のバイクへ突進し破壊する。
「アイスメイク・エイプ!!」
「アイスメイク・ハンマー!!」
二人は魔法を放つがレーサーは更にスピードをあげ、二人の攻撃をかわし
更に打撃を与える。
「ぐあ!」
吹き飛ばされるグレイとリオン。
「・・・・・・・・」
そんな中リオンの目には普段とは違う異様な光景が映し出される。
空を飛ぶ鳥。その鳥が・・・・・・
「がっ!」
地面に叩きつけられる二人。
「貴様等の攻撃なんぞ一生かかっても俺には当たらんよ。
俺の早さには誰も追いつけん」
「くそっ!」
レーサーの勝ち誇った笑みにグレイはただ悔しがることしか出来ない。
だが、リオンの目にはまだ勝機の眼差しがあった。
「耳を貸せグレイ。奴の弱点を見つけた」
そう言ってグレイの耳元で何かを呟くリオン。
「何だと!!?」
グレイの驚きの表情にリオンは笑みを浮かべると手をかざした。
「そういうことだ。お前は必要無い」
—ピキピキピキッ!!—
リオンはそう言うや否やグレイを氷漬けにし始めた。
「リオン様!?」
「リオン!!てめ・・・・!!!」
「そこでみていろ」
そしてあっと言う間に天高くへとグレイを運んでしまった。
「リオン様、一体どのようなおつもりで・・・・・」
「つべこべ言うな。こいつの弱点をつけば俺とお前で倒せると踏んだんだ。
今回の手柄はラミアスケイルが頂くぞ、シェリー!」
「は・・・・はい!!」
「ふんっ・・・くだらん策でも思いついてつけ上がったか。
そういう思いあがりが勝機を逃すのだ!元々てめぇらに勝機はねぇがな!!」
シェリーは返事はしたものの、どこか納得のいかない部分もあった。
それでも何時までも相手が待っていてくれるわけでもなかった。
「木人形!(ウッドドール)」
「遅いわ!!」
「きゃああ!!」
シェリーは魔法で木を操って攻撃しようとしたが、それよりも早くレーサー
の攻撃がシェリーを捉え、木も破壊される。
「こっちだ」
「遅い遅い!!」
レーサーがシェリーの相手をしている僅かな間に遠くへと離れていたリオン。
だが、レーサーはその差を一瞬で縮め、攻撃を重ねる。
「ごはぁっ!!!」
「貴様がどこに逃げようと俺のスピードからは逃げられん!!
六つ魔、六つの祈り(オラシオン)。オラシオンセイスを舐めるなよ」
「貴様のスピードか・・・・・」
レーサーの言葉に僅かに笑みを溢すリオン。
それがレーサーの勘に触った。
「何が可笑しい!!」
「貴様の魔法は自分のスピードを上げる魔法じゃない。そうだろ?」
「!!」
「相手の体感速度を下げ、あたかも自らが速いように見せる魔法」
リオンは先ほどの戦いの中、遠くを飛んでいる鳥がもの凄い速さで飛んでいるのを見て
レーサーの魔法の正体に気が付いたのだ。
「つまり俺らが遅くされていただけ!そしてそれは一定の範囲内でしか効果が出ない」
「なるほど。よーくみえるぜ」
「!!」
レーサーが上空を見るとグレイが弓を構えているのが見えた。
「まさかこの為に奴を・・・・!!
だがこの距離で当たるハズが・・・・・」
「当てる!何かをなしえようと、
強い想いを持ってる時のフェアリーテイルは最強なんだ!!!」
グレイはレーサーに狙いを定め、弓を引き絞った。
「おおおおおおおおお!!!
氷神弓(グレイスガンディーヴァ)!!」
—ギュン!!—
「速・・・・・・」
—ズドオオオォォォンン!!—
グレイの放った矢はレーサーに動く事すら許さなかった。
自分よりも速い攻撃を喰らい倒されるレーサー。
(俺の祈りは何よりも速く・・・・・誰よりも速く・・・・・)
自分の掲げた祈りを崩されたレーサー。だが、このままでは終われない。
それではオラシオンセイスとしての名も崩れ去ってしまうからだ。
「やったなリオン。さすが俺の兄弟子だ」
「ふん」
「まだだーーーーー!!!」
「「!!!!」」
自分も怪我を負っているが、グレイは負傷したリオンに駆け寄り労いの言葉を掛ける。
だが、そこで倒れていたレーサーが忽然と立ち上がり、ボロボロの上着を脱ぎ捨てた。
それをみてシェリーの顔色が真っ青になった。
「爆弾魔水晶!!?まさか・・・・・!!」
レーサーの体中に巻かれた爆弾の魔水晶。レーサーが無気味な笑みを浮かべる。
「一人一殺!!!」
血反吐吐きながらグレイへと突っ走るレーサー。グレイはそれをかわそうとするが
—ズキンッ!!—
「しまっ・・・・!!」
先ほどの戦闘で負ったダメージで足で止まってしまった。
そうしている間にレーサーがグレイの直ぐ前まで迫っていた。
爆弾魔水晶も点滅を始める。
「・・・・・・まったく・・・・・・・・」
—ドンっ!—
リオンがレーサーの体を抱き抱え、崖へと身を投げ出した。
「リオン!」
「リオン様!!」
二人が叫ぶ中、空中でレーサーを抱き抱えたままリオンは僅かに笑みを浮かべた。
「世話のかかる弟・・・・・・・・・・」
—ドゴオオオオオオオンンン!!!!!—
リオンは何かを言いかけたが、それを待たずレーサーの爆弾が大爆発を起こした。
「リオーーーーーーーーーーン!!!!!」