二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜  72話更新 ( No.258 )
日時: 2013/03/20 13:51
名前: アビス (ID: dFf7cdwn)

73話〜ニルヴァーナの復活〜





「はぁ・・・はぁ・・・。一刻も早くニルヴァーナを止めないと・・・・・」

立ち上る光に向かって走るレナ。頭の中では先ほどゼイルに言われた事を思い返してた。

『ニルヴァーナは光と闇を入れ替える究極の反転魔法。
これが発動されればどんな聖者も極悪非道の悪魔になる。

だが今の黒い光はその前段階だ。黒い光の内は
光と闇の狭間にいる者の心を入れ替える。
もしおまえらの中に強烈な負の感情に囚われた者がいたらそいつは闇に落ちる。

気をつけろ。もしニルヴァーナが完全に封印が解かれ、オラシオンセイスの手に渡ったら、
正規ギルド同士の躊躇無しの殺し合い、戦争が簡単に起る』

「・・・・そんなことになったらギルドが無くなっちゃう!
絶対そんなことにはさせない!!」

——————————ニルヴァーナの封印場所——————————

「ジェラール!!」

(エルザ!!?クソッ!この俺が接近に気付かねぇとは・・・・。
ニルヴァーナ復活までジェラールはやらせんぞ)

ニルヴァーナの元に辿り着いたのはエルザ。
復活したエルザはナツの言葉を聞き、ジェラールのいると聞いた光の元へと駆けていたのだ。
実はエルザとジェラールはエルザがフェアリーテイルに入る前からの知り合いである。
だが、昔ジェラールはゼレフの亡霊にとり憑かれ、一度はエルザを殺そうとしたなど、
複雑な関係になっている。

「エルザ・・・・・・」

ジェラールの呟きにエルザは僅かに顔を濁らせるが、直ぐに何時ものキリっとした表情に戻す。

「どうしてここにいる?ジェラール」

「エルザ・・・・・・エルザ・・・・・」

「??」

エルザの問いかけにジェラールはエルザの名前を呟き続けるだけ。
不審に思ってると、ジェラールの表情が突然不安なものへと変わった。

「その言葉だけが強く頭をめぐっているんだ・・・・・・」

「え?」

予想だにしない言葉にエルザも言葉がつまり、影で見ていたコブラも驚きを隠せない。

「教えてくれないか・・・・・俺は誰なんだ?君は俺を知っているのか?
エルザとは誰なんだ?何も思い出せないんだ!」

「ジェラール・・・・お前まさか・・・・記憶が・・・・・・」

(記憶がねぇのか!!?)

エルザはそれ以上言葉が出てこなかったが、コブラがそれを代弁するように心の中で叫んだ。

「君は俺に向かってジェラールと叫ぶ。それが俺の名なのか?」

「・・・・・・・」

エルザは答えない。それにジェラールは更に不安そうな表情を浮かべた。

「頼む・・・・・答えてくれ」

「・・・・・そうだ。お前の名はジェラールだ」

エルザはようやく答えた。そして意を決すると更に続けた。

「お前はジェラール。かつての私の仲間だ。だが乱心したお前は死者を冒?し、仲間を傷付け、
評議院を破壊し・・・・・かつての仲間を殺した。

それすらも忘れたと言うつもりなら、心に剣を突き立てて刻み込んでやる!!
お前は本当に全てを忘れてしまったのか!!ジェラール!!!」

エルザの叫びを聞いたジェラールは目から涙が零れた。

「俺が・・・仲間を・・・・?俺は・・・・なんということを・・・・・!
俺はいったい・・・・・どうしたらいいんだ」

「取り込み中失礼するぜ」

「オラシオンセイス!?」

ついにシビレを切らし登場したコブラ。

「てめぇの記憶がねぇのはよく分かった。道理で心の声が聴こえねぇわけだ。

だが、解せぇねな。記憶がねぇのにどうやってここまで来た?
そんでどうしてニルヴァーナの封印を解いた?」

「何もかも忘れてたわけじゃない。眠っている時に聞こえた。
『ニルヴァーナを手に入れる』と。かすかにその魔法と隠し場所を覚えていた」

コブラの問いに顔を曇らせながら答えるジェラール。
これがどれほどのものか分かっているからだろう。

「これは危険な魔法だ。誰かが扱っていい品物じゃない。
だから完全に破壊するために封印を解いた」

「な・・・・!?」

「自律崩壊魔法陣を組み込んだ。ニルヴァーナはまもなく自ら消滅する」

「てめぇ!なんてことを!!」

急いでニルヴァーナに駆け寄り、情報を読みとるコブラ。
だが、そのあまりにも高度な魔法陣に打つ手が見えなかった。

「解除コードを吐きやがれ!!ジェラール!!!」

「・・・・・・・例え死んでも俺はそれは言わん」

「な!?」

コブラの顔からどんどん血の気が引いていく。やっとここまで辿り着いた念願の魔法。
それがまもなく消滅しようとしているのだ。

「ジェラール・・・・・・」

ジェラールはエルザの方に顔を向けると、穏やかな笑みを浮かべる。
そして自分の足元に魔法陣を展開させた。

「エルザ・・・・その名前からは優しさを感じる。
覚えていないとはいえ、俺が君にしたことは消えないし、とても許されたことじゃないだろう」

「ジェラール・・・・何を」

どんどん構築されていく魔法陣にエルザがうろたえるが、ジェラールの表情を何も変わらない。

「俺が生きている限り、君は俺に縛られ続ける。憎しみという鎖に。
だがそれでは駄目だ。エルザ・・・それから感じる優しさや温かさもその鎖に蝕まれる。
君を縛るもの全てを俺が連れていく。解除コードとともに」

「てめぇまさか・・・・死ぬ気か!?」

ジェラールの異変に気付いたコブラが叫ぶ。ジェラールが僅かに笑みを浮かべる。
それを見てエルザは止めさせようと駆け寄る。だが、すでに完成された魔法陣。
ジェラールは自らの命を絶つ魔法を発動させようと腕を空に翳し、それを振り下ろした。

「ジェラール!!」

—パリィン・・・・・・・—

「え?・・・・・」
「な・・・・・」

何かが砕ける音がした。目の前で起ったことに、今まさに自決しようとしたジェラールも手を止める。

「甘いぞジェラール。誰がうぬにその魔法を教えたのだ?」

「ブレイン!」

皆の意識がジェラールに向いてる中、いつの間にかニルヴァーナの上へと立っていたブレイン。

「自律崩壊魔法陣は私が魔法開発局にいたころに編み出した魔法。
解除コードなどなくとも魔法陣そのものを無効にすることなど、造作も無い」

「そんな・・・・・」

悔しがるジェラール。その身体にかけてある魔法陣を眺めてブレインが言った。

「貴様が掛けてる魔法は自らの身体を塵と変える自決魔法。
解除コードとともに死ぬ気だったというのか?」

「高濃度の魔力を浴びて記憶が不安定らしい。自分が悪人だったのことも覚えてないらしいぜ」

「ふはははは!!なんと滑稽な!哀れだなジェラール!ニルヴァーナは私が頂いた」

「させるか!」

エルザは剣を取り出し、ブレインに襲いかかる。だがそれを無視しブレインは両手を天に翳した。

「目覚めよニルヴァーナ!!姿を現わせぇ!!!」

ブレインのその掛け声とともに、ニルヴァーナが強い光を放ち始め、地面が大きく揺れ動く。
そしてついに現れたニルヴァーナの本体。それは町一つを飲み込んだ巨大な要塞だった。