二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜 22話更新 ( No.67 )
- 日時: 2010/03/17 20:48
- 名前: アビス (ID: 3CAtWHbZ)
23話〜魔法の使い方〜
「・・・・」
カムイは黙ったまま自分の手を見る。その手には鍵が一つ握られていた。
後ろを振り向くと、カナたちが座ってこちらを見ている。
『ふはははは!!大した信頼関係だな』
鍵が光ったと思ったら声が響く。
「へっ、ざまあみろちゃんとあの中から一つを見つけてやったぜ」
『ああ、あれは嘘だ』
・・・・・・・・・・
「はあぁあ!!?」
『ふははははは!!初めっから汝たちを殺すつもりなど毛ほどもなかったわ』
「じゃああの光は何だったんだよ!!?」
カムイはカナたちの足元の辺りを指差す。すると声はさらに大笑いして
『あの光が汝らを殺すものだと誰が言ったのだ!?』
「な・・・・・」
『あれには何の攻撃力はない。馬鹿だのう!!』
「・・・・・・・・」
『それにしても良かったぞ。汝が仲間の命を握られた時のあの表情。実に・・・』
「ふん!!!!」
—ドゴォオオン!!!—
カムイが鍵をこれでもかってくらい思いっきり壁に投げつける。
「てめぇ。そのひん曲がった性根、微塵も残さず消し去ってやる」
鬼の形相で近寄るカムイに鍵は慌てながら
『まぁ待て。汝らを騙したのは我の趣味だけではない』
「ってことはそこにどんな理由があろうとお前の趣味も入ってたのも事実ってことだよなぁ!」
悪魔の形相で近寄るカムイ。それを止めたのは小さな手の平
「もう、止めなよカムイ。鍵さん怖がってるじゃない」
少し脹れた顔でレナがカムイの頭を叩いた。
「レナ!おきたのか!?」
「ついさっきだけどね」
「そうか、良かった」
その言葉にレナは嬉しそうにうんと頷く。カムイは鍵のほうに向くとため息をはいて
「で、そのほかの理由ってのは何だ。それもくだらない理由だったら溶かすぞ」
『試練だ』
「試練だぁ!?」
鍵の言葉を繰り返す。
『そうだ。あの光には中にいるものの精神状態を把握する魔法が施されていた。
もしどちらか片方でも相手に不安を感じていれば我は取れなかった』
「それじゃああの鍵って・・・」
『そうだ。すべてが偽者でもあり、本物でもあったのだ』
「てめー!結局俺たちを騙してたんじゃねえか」
鍵を鷲掴みにすると地面に擦り付ける。
「まぁ良かったじゃないか。鍵も手に入ったし、誰も死んじゃあいないんだからさ」
カナが近寄ってきて言った、その手にはすでに酒が半分ほど減った瓶を持っている。
『それでは我を持って祭壇の前へ』
鍵の言う通りに祭壇の前に行くと、鍵が光りだした。すると鍵が巻物へと変貌した。
「これが・・・」
『なお、その巻物を取ったらこの遺跡は消滅する』
「え?」
遺跡全体が震え始める。上から石がたくさん落ちてくる。
「ええええええ!!」
3人とチーが遺跡を抜け出せたのはそれから数分後のことである。
既に遺跡は原型を留めずに崩壊している。
「はぁ、はぁ。ったくあの鍵の野郎。先に教えておけよな」
息も絶え絶えになっているカムイ。するとカムイの手から巻物が零れ落ちる。
巻物は転がす弾みで紙が剥がれていった。そこには言葉が述べられていた。
—魔法は自分のために使うのでは限度がある—
—しかし仲間のため、大切な人のため、誰かのために使うとき—
—魔法はその真の力が目覚めるであろう—
3人はそれを見つめる。その先にはいくら見ても何も書いていない。
「どういう意味かな?」
レナが言葉を読み返しながら首をかしげる。
「何か魔法を使う上での教訓みたいだけど」
「・・・?カムイ、どうしたの?」
レナがカムイの様子を見て言う。カムイが巻物を見つめたまま目を丸くして固まっている。
「この言葉・・・」
カムイが呟く。そしてそれと同時に蘇る記憶。
『カムイ。魔法はね、自分のために使うだけじゃあ力は発揮されないの。
仲間のために。大切な人のために。誰かのために使う魔法の方がとっても強いのよ。
ふふ、可笑しいわよね。一人だけでは決して魔法の本当の力は引き出されないんだから。
あなたも、誰かを守るために強くなれる人になるのよ、カムイ』
『うん。俺、誰よりも強い魔導士になるから。見ててくれよな、トルトニス』