二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: フェアリーテイル 〜FAIRYTAIL〜 26話更新 ( No.97 )
- 日時: 2010/05/29 18:58
- 名前: アビス (ID: DqPUcKdb)
- 参照: http://syousetu.gaym.jp/monster_hunter/patio.cgi?
27話〜空の支配者と絆の力〜
「空域・絶」
アリアはそう呟くと、手を前に差し出した。
すると、カムイが突然殴られたように吹っ飛んだ。
「がっ!!なんだ、今の」
「絶・・・」
また同じように構えたアリア。それと同時に吹っ飛ぶカムイ。
「どうした。先ほどまでの威勢がなくなっているぞ、若き魔導士よ」
「くそっ!見えない魔法か。厄介だな」
カムイがそう呟くとチーが忙しくなく鳴いた。それにカムイはニヤリと笑うと目を閉じてしまった。
「血迷ったか・・・絶!」
「・・・・・」
カムイは目を閉じたまま動かない。だが、突然右に動く。
それと同時に先ほどまでカムイが立っていた場所の後ろの木材が砕ける音がする。
「偶然か・・・」
アリアは僅かに驚きの表情を見せたが攻撃を続ける。それをカムイはかわす。
完全にアリアの見えない魔法を読んでいる。カムイはチーと同調し魔力を探知したのだ。
そして、目を開けるとアリアに近づき剣を構える。
「雷太刀」
カムイが剣を振うがアリアはそれをかわそうともせず構えると、剣がアリアを捕える寸前に吹っ飛ばされる。
カムイは直ぐに態勢を立て直すと、口から血を吐きだした。
「くそっ!後ちょいだったのに」
「なるほど、どうしてか分からぬが私の魔法は読まれているようだ。
ならこれならどうだ。空域・裂」
アリアが先ほどまでとは違った構えを出す。今度はカムイは目を閉じなくても感じられた。
先ほどまでは、丸い魔力の弾のようなものだった。だが今度はそれよりも薄く細長い。
カムイがそれをかわすと、後ろでズバンと切れる音が聞こえた。後ろを見ると柱が真っ二つになっていた。
「空域・裂は全てを切り刻む」
アリアはまた構えると、無数の風の刃を放ってきた。カムイはそれを時に避け、時に剣で受ける。
そして僅かに開いた隙を使い
「虎降雷!」
剣から一直線に電気のレーザーが飛ぶ。辺りが爆発してアリアの姿を覆うってしまった。
しばらく、カムイの息遣いと木材が砕ける音だけが聞こえる。
「全ての魔力を空にする」
声がしたのと魔力を探知出来たのはほぼ同じだった。
「雷・・」
「遅い!空域・滅!!」
アリアが合掌のような手の構えで放った魔法はマカロフにかけた魔法と同じドレインだった。
「まず!・・・ああ!!」
カムイは剣、チーを放り投げる。チーは武具化を解いてカムイに近寄ろうとする。
それをカムイは手で制す。
「来るな!!お前まで魔力が・・う・・がああぁぁぁ!!!」
「他人の心配とは悲しいな。さあ、滅びよ!!」
—ドン!!—
アリアの体が突然よろめく、そして一気に吹き飛ばされてしまった。
アリアにもカムイにも何が起きたのが分からない。
「大丈夫か?カムイ」
どこかで聞いたことのある声。温かく、力強い声。
「チー。その姿」
遺跡の時に見た、チーのトラの姿。
「だいぶ、魔力を流されてしまっているな」
チーはそう言うと、尻尾がカムイに触れる。すると魔力が回復した。
「この前と同じだな」
カムイはゆっくりと立ち上がる。
「俺がこの姿で使える魔法の一つだ。魔力共有(デュアルマジック)。
自分と強い信頼関係のある人に魔力を与える魔法だ」
「チー、今回はちゃんと意識あるのか。前回はお前、忘れてたみたいだったが・・・」
「ああ、大丈夫だ。これからはいつでもこの姿になれるだろう」
「驚きましたよ」
倒れていたアリアが起き上がる。カムイがアリアを見つめたまま
「チー。武具化、いけるか」
「もちろんだ」
チーは形を変えるとカムイの手に収まる。剣は今までとさほど形は変わっていなかった。
ただ、剣に凄まじい魔力が帯びていた。まるで剣自身が強力な魔導士のように。
そしてそれを持つカムイにも変化があった。体が軽く、剣の重みもほとんど感じなくなっていた。
カムイは自分に起きた現状に驚きつつも、アリアを睨む。
「これからだぜ、アリア」
「なるほど、それほどの魔力。このままではやられるのは私の方。
仕方ありませんな。この私も本気で挑まなければなりませんな」
そう言うとアリアは自分の目にしている布を取ろうとする。
「御待ちなさい、アリアさん」
どこからともなく声がしたかと思うと、アリアの横に人が現れた。
「思念体・・・誰だ?」
男は礼儀正しくカムイにお辞儀をする。
「初めまして。私はファントムロードのマスター、ジョゼと申します」
「マスター・ジョゼ・・お前が」
カムイは剣を強く握りしめる。ジョゼはその態度にまあまあと手を出し。
「そんな事より、早くマカロフさんを治療なされたほうがよいのでは?
ドレインは対象者の魔力が巨大なほど苦しみを伴う。
早く手を打たないと、死んでしまいますよ」
語尾を強調するように不気味な笑みを浮かべる。カムイは歯を食いしばってマスターを
抱えると下の階に走り出した。
「マスター・ジョゼ、宜しかったのですか?逃がしてしまって」
「ええ、マカロフにはこの上ない絶望と悲しみを与えてから殺してやりますよ」