二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.10 )
日時: 2010/01/15 19:00
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:         ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』

■━━・・・七


≪ガガガガガッッ!!≫

俺が連射した弓は、相手に当たらず虚しくもコンクリートに突き刺さった。

さっきは6発ぐらい当たったんだけど、それでも気にせずに攻めてくるから、相変わらず面倒なモンだよなァ。

そんな悠長な事言える身じゃないんだけどさ、俺も。

アイツ、ていうかまァ沖田がよ。

前と戦った時より、確実に強くなってやがる。

俺になんて手も足も出なかったくせにさ。

『何、少しは修行でもしたかよ!? 大分強くなってんじゃね? 褒めてやってもいーぜ!』

俺は弓を打つ手を止めて、沖田に吹っかけた。

「テメーに褒められても嬉しくねェや!!」

沖田はそう言いながら、凄い速さで俺に斬りかかってきた。

間一髪で避けた俺は、『チッ』と舌打ちをすると、また弓矢を連射し始めた。


守っては攻め、守っては攻めの繰り返しで、なかなか決着がつかねェ。

だんだん弱っていく沖田と、俺。

傷口から噴射した血が、少しずつ積もりつつある雪を赤く染めた。


言い訳に聞こえるかもしれねェが、俺だって人間だ。

しかも、これでも女なんだよ?

攘夷一の戦闘能力だなんだって言われてるけど、そんなの周りの奴等が勝手につけた肩書きだしさ。

体力にも【限界】っつーもんがある。

それはヤツ(沖田)も同じだろうよ。


時間がどんどん過ぎていく中、それと同時に削られていく体力。

2時間半が過ぎた頃には、もう両者共に呼吸が荒くなっていた。

そんでだよ。

グジュッ!! なんて鈍い音がした。
俺の、足から。


『っぐ……、ァ…』

激痛が電流みたいに、俺の中で流れ出した。

左足に刺さった沖田の刀。

まさかのまさかで、俺が始めて負ける様な形になっちまった。

疲れからか瞬発力が衰えたのかな。
後ろに回りこまれてるのに気がつかなかったよ。

寂しく光る電灯。

飛び散る血飛沫。

痛みが俺の脳を蝕んでって、だんだん意識も朦朧としてきた。

がくん、と膝が曲がって、俺は冷たいコンクリートにしゃがみ込む。

ああもう。
何だよ、ちくしょう。
俺かっこ悪いじゃんか。


「しめーだぜィ、高杉…。あばよ」

沖田がニヤりと笑った。
そしてゆっくりと、刀を高く上げた。
ああ、なんか、バチあたった気ィすんだけど。

多分、何かこう、最近自分勝手だったからかな。
逃げたい、けど、足動かねェし?
考えてても仕方が無い。
俺は覚悟を決めて、ギュッと目を瞑った。





……しかし、なかなか衝撃が来ない。
奥でドサッなんて音がしただけだった。


俺はそっと目を開けた。

そこには。





倒れてる沖田が居て




何故かそこにいる兄貴が




ジッと俺を見ていた。







■━━・・・