二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.11 )
日時: 2010/01/15 19:01
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:         ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』

■━━・・・八


『な、なんッ、あ、兄貴、何で…』

俺はガタガタと震える人差し指で兄貴を指しながら、開いた口が塞がらなくなっていた。

「……チッ、馬鹿げた事しやがって…」

兄貴の舌打ちが大きく響いて聞こえて、俺はちょっと傷ついた。

そんで、兄貴は俺に歩み寄ってきた。

や、やべェ。
殺されるかも、俺。
若しくは、大きく頭叩かれるかも。

でも、俺の予想は大きく外れて、兄貴は何にも言わずに手を差し伸べてくれた。



「おら、けーるぞ」


振り続ける雪とは反比例して、兄貴の手は、不思議とあったかかった。

■━━



「稜弥ざばァァァァァアア!!」

「俺らじんぱい(心配)じだんでずよォォ、グズッ、どご行っでだんでずがァァァ!!」

船に足を引きずりながらも、頑張って帰ってきた稜弥を待っていたのは、涙と鼻水で顔をグシャグシャにした鬼兵隊隊士10人程だった。

医務室で足の治療を受けている最中、ダダダンッと波のように隊士達が流れ込んできたのである。医務室に。

『ちょ、お前等、なんちゅー顔してんだよ!』

稜弥は隊士達の顔を見るなり、とても驚いた様子で言った。

ときどき、足の治療の際に起きる痛みに顔を歪めているが。

『お前等、いつも俺に手ぇ焼いてるみてェだからよ。俺、頑張って功績上げてさ、お前等に見直してもらおーとさー……』

『ま、ちょっと俺が強い事知ってもらいたいのもあるんだけど』と稜弥は後付た。

だんだん小さくなる声。

今回、稜弥は新しく出来た部下にカッコいいとこ見せたいのと、
鬼兵隊隊士達に自分が活躍できる、とても強い、という事を知ってもらいたいのとで、こんな騒動を起こしたのだが。

その稜弥の言葉を聴いた瞬間、隊士達はまたブワッと涙を流す。


「何言ってんすか馬鹿稜弥様ァァ!」

『馬鹿ってなんだよ!』


「稜弥様が強いのは、俺らが一番良く知ってるんですよ!!」

「それに、見直すどころか、鬼兵隊隊士全員、稜弥様の事尊敬してますって!!」

隊士達は口々にそう言った。

それを聞いた稜弥も、少し目に涙が溜まる。

『そ、そうだったのかお前等…、おお、そうだな、もう心配かけさせねェからな! 安心しろよ!』

お前達ー! 稜弥様ー! とそんな掛け合いをし始める。
はたから見てみれば阿呆の集団であるが、稜弥は以前には見せなかった最高の笑顔を、皆に振りまいていた。
とても過激派攘夷集団とは思えない、平和的な図であったのである。






治療受け終わったあと、俺は武市とまた子に説教された。

「おてんばで可愛いのは良いですが、少々副首領としての自覚を持って…」

「そうッスよ稜弥様、もう心配したんスから」

俺はさすがに反省した。

この2人に言われたら、もう頭上がんなくなっちゃうよ、もう。

あの後から兄貴に会ってないけど、2人が言ってた。

兄貴も凄い心配してたって。

あとで、兄貴ん所に酒でも持って飲もうかな。




関係ないけど、俺の部下だった山崎? だったか。
アイツは真選組だったらしい。

でも、そんなに哀しくない。
武市が逃がしたって言ってたから、死んでないと思うし。

何より、あんなのよりもっといい部下が俺に居たんだよ。


つかもう名前も忘れそうだし。


いい部下に恵まれて、俺ァ幸せだな!

さて、仕事でもすっかな。


■━━・・・


━━オマケ


「山崎ィ…、任務失敗たァ何事じゃゴルァァァア!!!」

「うぎゃァァァ!! ちょっ、ふくちょっ、刀はっ、刀は止めてェェエエ!!!」