二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ■━…紫弓 【銀魂】 ( No.122 )
日時: 2010/03/26 20:08
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:      ──瞳を閉じれば貴方が 瞼の裏にいる事で    /3月9日

■━━…参参

兄貴は俺を見てくれてると思ってた
兄貴は俺の事考えてくれてると思ってた

だけど 今この状況を見てみろよ
兄貴は俺を使って、昔共に戦った盟友を殺そうとしてんだぜ?

俺が殺しをしても、何も感じないと思ってんだろうか
近場に居た友達を自分の手で殺しても、何も思わないと思ってんだろうか、兄貴は

今までたくさん人をこの手で殺めてきた
怯えてても殺したし、許しを請われても殺した
でもその時、死にそうになるまで俺の心が痛んでた事は、この世の中で誰一人と知らないだろうな
人が怯えるっつーのは、それはそれは無様だ
今まで気丈だった奴の心が、一瞬にして粉々になる状況だと俺は思ってる

その心を粉々にした上で命を奪うっつーのはよ、何というか、腐敗した外道がやる事だと思うんだ
殺す奴に罪があって、そんでもって俺が粛清するってんなら、まだ分かるよ

でもその当の本人に何も罪は無い、ただこっちの都合が悪いから殺す

そんなんはただの我儘だ

そんな我儘を貫き通して、俺は人を殺してきた
でも今回はマジで、そんな我儘は通用しねェだろ

流石に、俺は兄貴にキレそうになった
命令聞いた時はね

でも、逆らったらどうなると思う
身寄りのねェ俺を拾ってくれた兄貴への恩を、仇で返すことなんだよ
そんでもって俺はまた1人になる
そんなの、絶対に嫌だ


銀時はあの青い髪の女を守る為に俺と戦ってるんだろう
大切な奴なんだろうな、あの女
銀時とか、万事屋に居た餓鬼共とか、そういや俺がアイツさらう時「返せ」って叫んでたっけな

大切なモンを守ろうとしてる奴を殺せるかよ




銀時の木刀が、俺の脚に強く直撃する。

『がっ!! いっつ……!!』

骨が軋んだ。
倉庫の屋根の上や、道端などに飛び移りながら長時間続いていた攻防戦に、やっと決着がついた。
それも、銀時の勝ちで。

何だろ、俺ここ最近負けてばかりだな

そんな情けない気持ちが、俺の心を支配した。
ガクリとその場に膝を着く俺。

ハァハァと息を切らしてる銀時は、敗者となった俺を見下ろしながら、木刀を腰に差した。

『…あーあ……負けちゃった…、負ける気は…無かったのに…』

荒い息をしながら、俺は掠れた声でそう呟いた。

銀時はハァとため息をついて言う。

「手加減してんのバレバレなんだよバーカ、途中で立ち止まったりよ」

風が吹いて、砂埃が舞い上がる。
眼に入ったゴミのせいで、俺の目から水が出る。

決してゴミが入ったからだ。泣いてるとか、そんなんじゃないと信じたい。俺としては。

急に泣き出した俺をみて、銀時はギョッとした顔つきになる。
そんでもって、頭の中で俺にかける言葉を捜している様だった。

『あー…、もう俺、どうしたらいいんだろ…。銀時…、俺、もう何がしてェか分からねェや…』

止めようとしても止まらない涙を手首で拭って、俯きながらそう言った俺。

しばらくの間流れた沈黙は、俺にとっては心地よい物だったと言ったら、気持ち悪がられるかな。

■━━…