二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.13 )
- 日時: 2010/01/15 19:02
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』
■━━・・・番外
辺り一面真っ白な世界
黒も無ければ蒼も無く、ただただ真っ白な世界に
一人佇む紫頭
そいつァ、凄くにこやかな顔で、俺の前に居た
揺れる鮮やかな紫を、ただ見つめている俺
夢だと分かってた
その気になれば起きれると分かってた
けど
まだ目覚めたくねェ
もう少し見ていてェ
あの紫ヤローを、なんて
馬鹿げた事考えて、起きようともしない俺はそのうち、どんどんとその世界から離れていった。
▼
パチ、と目覚めた沖田が居たのは、冷たいアスファルトの上でも、雪積もるコンクリートの上でも無かった。
暖かく、ふかふかとした布団。
見慣れた部屋。
どうやら、ここは道路では無く、真選組屯所内の様だ。
ムクリと起き上がる沖田。
ピリッと痛む切り傷には、包帯が巻かれていた。
布団の横には、盆には水が入ったコップが置いてあった。
あの道路からここまで、誰かが運んできてくれたのだろうか。
だとしても、感謝はしないが。
「なんでィ…」
沖田はそうボソリと呟くと、掛け布団を被り、ボスッともう1回布団に寝転んだ。
二度寝を決め込む事にしたのだ。
ゆっくり休めるんだったら、休んどこう。
そんな意思のもとである。
暖かい布団の中、昨日の事を思い出す沖田。
(『何、少しは修行でもしたかよ!? 大分強くなってんじゃね? 褒めてやってもいーぜ!』)
あの腹が立つ、沖田曰く紫ヤローの言葉が頭にふと浮かんだ。
決着が結局つかなかった気がする。
もう1回戦いたい。
もう1回会いたい。
……何言ってんだ俺ァ。
布団の中で自己嫌悪になる沖田。
しかし、その顔からは笑みが見て取れた。
「今度見つけた時ァ、俺がぜってェ粛清してやりまさァ…」
そう言うと沖田は、また夢の世界へとゆっくり落ちていった。
▼
「近藤さん、アイツもう起きてんぞ? 仕事させなくていいのか?」
土方が煙草を吹かしながら近藤に聞くと、近藤は天気予報を見ながら答えた。
「ああ、見たところ総悟にしちゃあ珍しくボロボロだったし、休ませてやる事にしよう。それに」
天気予報が放送されているテレビを指差し、近藤は続ける。
「今日の江戸の天気は豪雪暴風。しかも外出禁止令が江戸全域に出てる。俺達も活動できないしなァ!」
ガハハと豪快に笑った近藤。
土方は「へェそうかい」と煙草を灰皿に置いた。
「だけどトシ」
今度は近藤が外に目をやりながら、土方に尋ねた。
「あの木に吊るしてあったザキは…、ほったらかしにしておいていいのか・・・?」
土方は少し間をおいて答える。
「別にいいだろ。アイツ任務失敗した上にボコボコにされて帰ってきたからな。士道不覚悟で吊るし上げの刑だ」
もう外はビュウビュウと吹雪が吹き荒れていた。
山崎がもう半分凍死しかけていたのが2人に見つかるのは、後1時間後ぐらいしてからだった。
■━━・・・