二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.17 )
- 日時: 2010/01/15 19:07
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』
■━…拾弐
さて。
兄貴の様子がおかしくなって、もう3日が経った。
その間、兄貴は俺と言葉を交わそうともしなくて、隊士達の間では
「高杉様と稜弥様、喧嘩かなんかしたのかなァ…」
なんていう噂が広まるくらいで。
万斉は
「晋助の様子がおかしい? 拙者はそんな風に思わないが…。まあ、稜弥殿が心配する事でもあるまい。しかし、稜弥殿と口を利かないというのは…」
って言うんだけどさ。
え、何、誰も兄貴のおかしさに気付いてない?
つか、何で俺と兄貴が喋ってない方を心配すんの?
ま、いい。俺だけでも、兄貴が何で最近変なのか突き止めてやる!!
もう夜中なのに、俺は、俺の部屋でそんな決意を固めていた。
だけど、そんなテンションも、3回ほど静かに鳴ったドアからのノックで、少しずつ下がってった。
あ? なんだこんな夜遅くに。誰だろ。
俺は若干怪しみながらも、そーっとドアを開ける。
『はいはい、こんな時間になんの用でー…ッて』
ドアの隙間から、白い包帯が見えた。
なので俺は驚く。いつものように。
『ちょ、まっ、兄貴!? 何でッむぐむぐ…』
「声がでけェよ阿呆が」
驚きの声を出す俺の口は、兄貴の手によって塞がれた。
しばらく口で息が出来ませんでした。
『ッッぷは…、で、何、こんな夜中にどうしたの』
兄貴の手を無理やり口から下ろして、俺は言う。
すると兄貴は、俺の手をいきなり引っ張って、
「来い」
と一言だけ言った。
『あァ!?』と俺は声を上げるが、兄貴は無視。
そのまま引っ張られていくと、ついたのは客間。
いつもは貿易相手とかをここに招くんだけど、今日は何故か俺が居る。意味が分からない。
俺が客間に足を踏み入れた途端、兄貴は引っ張ってた俺の手をいきなり離した。
いきなりなモンだから、俺はその場に倒れる。
『いてェ』とアホみたいな声が出た。
『ちょ、ホント、いきなり何すんの!?』
俺はスクッと起き上がって、兄貴に怒る。
兄貴は座り込むと、またもや俺の質問を無視して、
「頼まれごとをしてくれねェか」
と言ってきた。
『ハァ?』と呆れる俺。
『別に兄貴の頼みなら聞くけどさ、最近兄貴おかしくね? 俺の事無視するわ喋らないわ落ち着いてないわ急に客間連れてくるわで…。江戸の様子見に行ってから、明らかに変だよな、何かあった?』
俺は今まで溜まってた疑問を一気に兄貴に言い放つ。
兄貴は俺の必死さをも無視して、煙管を吹かし始めた。
ぐぬぬ…と歯を悔しそうに噛み締める俺に、兄貴からは
「欲しいモンができただけだ」
っていとも簡単な答えが帰ってきた。
そんな簡潔な答え誰も望んでねェよ馬鹿ァァア!!
って言いたくなった。
「でよォ」と続ける兄貴。
「てめーに持ってきてもらいてェんだよ。俺の、欲しいモン」
兄貴はそう言うと、袖から1枚の写真を取り出して、俺に見せた。
そこに写ってたのは、藍い(あおい)髪の色した、あの時江戸で見た女だった。
■━━…