二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.18 )
日時: 2010/01/15 19:08
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:         ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』

■━━…拾参


高杉の命令は絶対。
破る事も、逆らう事も許されない。
いくら不満があれど、遂行しなければならない。

だけど、やはり不満な物は不満。
一昨日の記憶と、こんな写真だけじゃ、どこに居るかも分からない。
写真を掲げて、大きくため息を吐く稜弥。

一応江戸には出て来てみたものの、やっぱり良く調べない限りは、こんなの誰だか分からない。
攘夷志士っちゃあ攘夷志士だろうけど。
だって、腰に得物刺してるし。と、少し見当を頭の中で付けてみる。

でも、最終的に混乱して、またリセットして、分からなくなる。

江戸はとても良い天気。
降り積もった雪で楽しく遊んでいる子供。
大きな声で客を呼んでいる何かの店の店主。

今の稜弥は、それらさえもイラつきの種になる。

『あーもう訳分かんねェ。何この女。何で兄貴こんな女欲しがるの? 理由も意味不明だし…』

ザクザクと雪を踏み鳴らしながら、稜弥は昨日の夜、高杉に言われた事を思い出してみた。

■━━…

『はぁ…、兄貴がこの女欲しいっつーのは分かったけどさ。えと、何でこんな女が欲しい訳? 体目当て? 何にも出来なさそうなんだけど。俺から見たら』

貰った写真をヒラヒラとさせながら、机に肘ついて物珍しそうに写真を見やる稜弥。

冗談交じりに言ったその言葉に対して、高杉は獣の様に抜刀して稜弥の喉元に突きつけた。

稜弥は事態が飲み込めず、『んあッ!??』と驚きの声を漏らした。

「そいつの事悪く言うんじゃねェ。あと1回言ったらいくらテメェといえど殺す」

高杉は低い声音でそう稜弥に告げた。
数秒してから刀を下ろし、鞘に閉まった。

稜弥は、凄く驚いたからか、目を見開いたまま固まってしまった。

2分ほど沈黙が流れた後、口火を切ったのは高杉だった。

「そいつが鬼兵隊に引き込みゃァ相当な戦力になる。拒否しても連れて来い。傷つけねェままでな」

なんとワガママな要望だろうが。
やっと事態が飲み込めた稜弥は、半ばキレた口調で言った。

『ンな事言うなら自分で連れてくればいーじゃありませんか兄貴様? 傷つけないまま、拒否してでも、女1人連れて来いだァ? 注文多すぎだし、無理ありすぎだろ!』

嫌がる時の女の恐ろしさをアンタ分かっちゃねーだろ!、と。

その稜弥の反論に、高杉は喉を鳴らして笑う。

「ククク…、だからこそおめーに頼んでんだろうが」

そんな事言われても嬉しくない、と言わんばかりに稜弥は眉間に皺をよせた。

■━━…

あーあー、思い出してもムチャ言い過ぎだって。

稜弥はまたため息を吐いた。

こんなムチャな任務と、見つからない事態が重なってちゃ遂行なんて無理だわ。

頬を指でぽりぽりと掻きながら、一応辺りを見回して探してみる稜弥。

そんな彼女に、名案が浮かぶ。

あ、そうだ。
銀時に頼もう。

■━━…