二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ■━…紫弓 【銀魂】 ( No.184 )
日時: 2010/10/17 20:08
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: MDpJUEHb)
参照:         ——お菓子はいらねェ悪戯させろ!!

■━……参八


俺はまだ泣き止まないガキと泉菟を連れて帰ってきた。
「そんなガキほっとけ」
と俺ァ言ったのに、泉菟は連れて来てしまった。優しすぎんだろバカヤロー。

帰ってみると高杉が「遅ェんだよ」と言わんばかりにこちらを睨んできた。
何この自己中心男ォォォ!! お前が言うから行ってきたんだろうがァァァ!!! まぁ俺がジャンケンに負けただけなんだけどね!!


ガキはやっと泣き止んだと思ったら泉菟から離れやがらねェ。
いい加減にしろよ俺の頭をストレスで爆発させる気かコイツ等はよォォォ!!! 俺の泉菟に触んな!!



「おい高杉!! ガキ連れ戻して来たんだ、どういう事か説明しやがれ!!」

俺は高杉の前にドカッと座り込んで、そう怒鳴った。
ヅラと辰馬と近づいてきて、

「それは俺も同感だ」

「いくら晋助でも幼女誘拐は許されないぜよ!! アッハッハッハ!!」

と、俺に共感してくれた。してくれたっつーのか?


「だから拾ったっつってんだろうが。辰馬そこで切腹しろ」

面倒臭そうに頬杖ついて答える高杉。
だから拾ったって何?

「人を物みてーに扱うモンじゃねーぞ? ほら、正直に誘拐してきたってお父さんに言いなさい」
「誰が父親だこの白髪頭、だから誘拐なんざしてねェっつってんだろ」
「いやいやいやお前なら有り得る、そういう趣味が前からあったんだろ?」
「何勝手に決め付けてやがんだテメェは、つかさっきからそのノリなんだよ」
「違うぞ銀時、晋助は幼女ではなく熟女が好みだ」
「人の好み捏造してんじゃねェよヅラ」
「ヅラじゃない桂だ」
「なんじゃ、晋助はロリコンちゅーがか!! 気付いてやれなくてすまんかったのう!」
「おい誰かこのモジャ毛頭かち割れ」


半分キレかけた晋ちゃんはヅラと辰馬に任せた。もう俺ァ知らね。



雨が酷くなってきやがった。
ザアザアと降りしきる雨の様子を、ガキが泉菟の膝上でボーッと見ていた。

まるで、何かを探しているように。



━━━



結局、高杉は本当にあのガキを拾ってきただけだった。
雨の中、松の下で独り気を失っていたガキを高杉が発見。
抱きかかえて連れて帰ってくる途中、ガキは目を覚まし、今の自分の状況が分からず混乱して暴れられたらしい。

道理で所々赤くなってるはずだよ、コイツ。

だからガキはまだ高杉に対して不信感を解いておらず、ぶっちゃけこの頃は嫌っている。高杉の事を。
高杉が何で連れて帰ってきたかは知らねェが、とりあえず状況だけは俺らも把握できた。

けど。



『……せんう』

「む? どうした」

『……せんうは、優しいね』

「ふふっ、やはり子供は可愛いのう」


コイツが来た事によって、泉菟を独占できる時間が少なくなったのは如何なものかァァァァ!!
何!? 何コイツ急に出てきて泉菟に抱きつけるとかァァァァァ!!
おかしいよね? 俺だってガキの頃からの付き合いなのに抱きつくと吹っ飛ばされんだよ?

ぐぐぐと歯を噛み締めながらガキと泉菟のじゃれ合いを見ていると、ヅラと辰馬がぽん、と肩に手を置いてきた。


「子供に嫉妬は見苦しいぞ銀時」
「泉菟はわしのモンじゃき、あんまし触らないでほしいがの! アッハッハッハ!!」

こん時ほど、腹がたったこたァねェや。




ガキはそうやって、しばらく俺達と暮らすことになった。
だんだん打ち解けていくと、自分の名前を「稜弥」と名乗った。

「苗字は?」と聞くと、『忘れた』と言われる。
あまり言いたくねェんだろう、と少し気を使って、俺等も余り聞かなかった。

成長していく稜弥は次第に、俺達と一緒に鍛錬するようになって、その時じゃ泉菟と並ぶくらい強くなった。


でも、すぐ稜弥は違う隊に配属されて、俺達とは離れ離れになっちまったんだけどな。
泉菟も同じ、俺等と別々の隊だった。

戦争が終ると、稜弥は高杉について行く事になって、今に至るっつーわけだ。



━━━━━


「まぁ、俺がテメー等と会う前はちょっと交流はあったんだが、その内だんだん疎遠になっちまって、最近は会ってなかったんだけどな」

「へぇ……そんな事があったんですか」

「でも、泉菟の事、ここに来た時知らなさそうだったアル。銀ちゃんに聞いてたネ」

「ああ、アイツ馬鹿だから、忘れてんだろ」


あーいっきに喋ったら疲れたァ!! と銀時は上にぐぐぐ、と伸びた。
それなら納得だ、と新八と神楽は安心したように肩の力を抜く。

「あ、でも銀さん」

新八は思い出したように言った。
何だよ、まだあんのかよと銀時は耳を穿る。

「一回、稜弥さんに負けてるって、言いましたよね。それは何ですか?」

「ああ、ソレ私も聞きたいアル!」

神楽も新八に賛同して言った。
銀時は「あー……」と思い出したくないように聞こえるため息をもらした。

「それ話すのは、また今度な」

銀さんが言わないなら、仕方ないね。
そう新八と神楽は顔を見合わせ、小さく頷いた。

■━━……