二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.19 )
日時: 2010/01/15 19:11
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:         ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』

■━━…拾四


「本当に買い物行ってもらっていいんですか? 泉菟さん」

「よいのだよいのだ、新八殿にはいつも世話になっておるからな」

藍色の髪を揺らして、恐縮顔の新八を宥める(なだめる)女が1人。
万事屋の玄関先で、にこにことした顔つきをしていた。

この女が、現在稜弥が探している標的である、蒼晶泉菟である。
ここで言うのもなんだが、実は攘夷浪士である。

「本当に有難う御座いますね、助かります。本当は銀さんが行ってくれればいいんですが」

「まったくだな」

こっそり新八が店主の愚痴を零すが、泉菟はうんうんと頷いてくれた。

「え、何、お前等まだそんなとこ居たの?」

万事屋店主である坂田銀時は、まさに「噂をすれば」の様に腹を掻きながら居間から出てきた。

「もー、銀さんはほんと人事みたいに言いますよね!」

新八は少し怒って銀時に言う。

「あーあーうっせェ」と銀時は耳を穿る(ほじる)。

「誰がさっさと行けなんて言ったよ新八ィ。俺は泉菟とデートしてくるって言ったの。お買い物デートなんざまさに新婚ほやほやのカップルじゃん。いいねェ俺そういうの憧れるわ。ていう訳で行ってきます」

「どういう訳だァァァ!! 別に新婚でもカップルでもねーじゃねーかアンタ等!! ていうか妄想気持ちわるっ!!」

ブーツを履きながら妄想をたんたんと語る銀時を、新八は得意のツッコミで一喝する。

その2人の掛け合いを見て、泉菟は銀時に、

「だったら貴様1人で行くがよい銀時。でーと、だの、かっぷる、だの、我にはまるで縁のない事だからな。1人が寂しいならそこらを歩いている女子(おなご)でも連れて行くんだな」

と、冷たくあしらった。

「縁が無い? これから俺と縁を結べばいいじゃん! 2人でランデブーすればいいじゃん! 何の不満がある!」

「「ありまくりだこの変態がァァア!!」」

二人のかかと落としを喰らい、「ぶべらァァア!!」と銀時は地面に顔を勢いよく叩きつけた。

「まぁ変態はほうっておく。では行ってくるでのう」

さっきまでかかと落とししてたとは思えない笑顔で、泉菟は万事屋から出て行った。

新八はそれを見送り、銀時は打ちつけられた際に痛めた顔面を唸りながら擦っていた。


■━━…