二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.21 )
日時: 2010/01/15 19:14
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:         ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』

■━━…拾六


「し、知りませんね…」

「知らねェなぁ」

「知らないアル」

『おい嘘だってバレバレだぞ。だって目線がおかしいもん、どこ見てんだ俺を見ろ俺を』

3人が内心必死になってついた嘘は、稜弥に効かなかった。

目線が皆斜め45度を向き、1人は冷や汗を流している事などからもうバレバレなのだが。

『あんね、俺真面目に聞いてんの。この女捜して連れてかないと任務全うしたことにならないからさ』

ドカッと背もたれに激しく寄りかかった稜弥は、呆れながらそう言った。

「で、でも、何でこのせん…女性を稜弥さんは捜してるんですか? どこに連れてくんですか?」

新八がそう焦りながら聞くと、少し考えてから稜弥は答えた。

『あー…、俺の上司がさ。捜してるらしくて。どこに連れてくっつーのは…アレだ、組織?』

「何で疑問系なんだよ、つか組織ってどこだよ」

銀時は仕方ないがあとの2人には正体を隠しておくべきだろう、と、稜弥は考える。

途中銀時にツッコまれたが気にしない。

「でも泉菟はここで働いてるネ、お前等のとこには行かないアル」

神楽がそう酢昆布を咥えながら言った。
途端に横の銀時が「ばっ、神楽!!」と怒鳴りつける。

『あ?』と稜弥は怪訝そうな声をあげる。

『嬢ちゃん…、この人知ってんの?』

さっきの銀時の言葉に、しまったというような顔をする神楽。

「し、知らないってさっきも言ったアル!!」

『センウ…って名前も言ったよな? つかさっきの嘘だって分かってるし俺。そっか、ここで働いてるんだ』

神楽の弁解も虚しく、稜弥は泉菟の居場所を突き止めてしまった。

『んじゃあここの前で待ち伏せしてりゃあ来るよな? おし分かった、有力な情報ありがとさーん』

稜弥はすくっと立ち上がり、にこりと微笑むと、そこから立ち去ろうとする。

それを、銀時は「待て!」と引き止めた。

「上司って…どうせ高杉の事だろ。何企んでやがる」

ピタリと歩みを止めた稜弥。
その場に少し沈黙が流れる。

『何って…、言われてもなぁ…』

くるりと振り返る稜弥は、真剣な眼差しを浮かべる3人に言い放った。

『兄貴の考えなんて俺に分かるはずないでしょ。俺だって、なんだってこんな女欲しがるかすら分からねェ。けどよ、与えられた任務だし、仕事だしさ。こなさなきゃ意味無いじゃんか』

稜弥の言葉を聴いて、反論の余地が無くなった万事屋の3人。

『でしょ?』と稜弥は同意を投げかけた。

『何を言われようが何をされようが与えられた仕事はさっさとこなさないと気が済まないタイプなんだよ。俺』

そう言うと稜弥は、万事屋を後にした。

残った3人は顔を見合わせ、これからどうするべきが良く分からない状態になっていた。

■━━…