二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.26 )
日時: 2010/01/15 19:26
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:         ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』

■━━…弐壱


泉菟の肩に深く突き刺さった紫の矢は、血でだんだんと赤黒くなっていった。
痛さと苦しみで失神物の大怪我。
泉菟もまた然りである。

呻き声1つも上げなかった泉菟は、静かにその場に倒れ伏した。

『…死なねェから大したモンだぜ? アンタ』

大きく上下に揺れる泉菟の背中から、肩の激痛が見て取れた。
稜弥はそう泉菟に言った。
当たり前だか返事は返ってこない。

稜弥は泉菟に近づくと、スッとしゃがむ。

『アンタが俺に生意気言うからいけないんだよ? 俺はさ、ただ任務でこんな事してるの。俺はしたくないの。もしもアンタが何も言わず俺に着いてきて、兄貴に会ってたら、普通に帰って来れたかも知れないのにね』

物言わぬ泉菟にそう説教口調で責め立てる。

『…本当なら、殺してる筈なんだ。お前なら簡単に殺せる、簡単に反撃できるーなんて言われるの、俺大嫌いなんだよね。でも不思議、俺、アンタは殺せない、殺しちゃいけない気がするんだ』

そっと手を伸ばし、藍色の髪をサラサラと撫でた。

『兄貴が待ってるから、行こうか』

そう言うと稜弥はスクッと立ち上がり、血に濡れる泉菟を肩に担ぐと、船の中へと進んでいった。


■━━…