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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ■━…紫弓 【銀魂】 ( No.53 )
- 日時: 2010/03/05 22:05
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: ──『真実を探しただけで、お前に何の得がある?』
■━━弐八
「着物を脱げ、手当てをする」
簡潔に述べられたその言葉は、明らかに女性に言う事ではなかった。
医務室に帰ってきた有城は、ベッドの上に座っている泉菟に落ち着いた口調で言う。
顔を赤くし、引きつらせた表情をした泉菟を見て、有城は怪訝そうな顔つきになる。
「どうした、早く着物を脱げ」
「どうした、では無いわァァア!! 仮にも我は女子ぞ! 女子にその様な、は、破廉恥な事を軽々しく申すものでは無い!」
顔を林檎の様に赤く染めて、泉菟は有城に怒鳴る。
バタバタと動かした足で、シーツはぐしゃぐしゃになった。
「ふむ…」と、物珍しそうな目で泉菟を見つめる有城。
「女とは分からんものだ…。肩を出さねば手当てをできんというのに…。俺に触られるくらいなら、まだ痛みを我慢するほうが良いと?」
少し切なげな口調で有城はそう言う。
その言葉に、泉菟もハッとした表情になる。
「い、いや、そういう訳ではないのだ。ただ、その……あまりにも言い方が直球というか…。もう少し柔らかめにだな、うん…」
あやふやとした口調でそう有城を宥める泉菟だが、言葉が出てこず、だんだんとしょんぼりとした口調になっていった。
そんな泉菟を見て、有城はフッと微笑を漏らす。
「冗談だ。そんな小さい事を気にするような俺じゃない。お前は黙って手当てを受けろ」
そう言われた泉菟は、よく分からないと言う様な表情を浮かべて、渋々肩を出した。
窓からは橙色の光が差し込んでいた。
今更だが、泉菟は、ここが今どこか、どんな場所なのかを知らない。
勿論高杉が居る事も、ここが鬼兵隊の船なのも知らない。
どこかが抜けていてどこかがきっちりとしている。歯がゆい性格の持ち主である。
■━━…
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