二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 紫弓 【銀魂】 ( No.8 )
日時: 2010/01/15 18:57
名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
参照:         ——『殺さないで、って素直に言ったらどうだよ』

■━━・・・伍


ザッ、とアスファルトを鳴らした。
今宵は肌寒く、稜弥は白いマフラーを巻いていたが、それでもまだ寒かった。

『・・・夜に出てくるんじゃなかったなァ、すげェ寒い』

稜弥はボソッと呟いてみるが、もう夜もとっぷりと更け(ふけ)、灯り一つ着いていない状態のこの町。
皆寝静まってるんだろう。

『昼間に出てくるべきだったわコレ、いやでも明日は・・・、あー帰りたい』


〝俺ちょっと真選組に殴りこみ行ってくるわ"

〝ちょ、何言ってんですか稜弥様、駄目に決まってるでしょ!!"

〝何だよテメェ、俺が信用できねェってのか!!"

〝そうじゃなくて、どのみち俺らと行くんですから・・・"

〝お前等と一緒じゃ意味ねーの! 安心しろ、ちゃんと戻ってくるから!"

なんてやり取りがあった為、今から戻るのは何かこう…恥ずかしい?

俺は悪くないのに、俺が恥ずかしくなるのは嫌だ。
と、意味の分からない考えが頭にボンッと浮かぶ。

気温がどんどんと下っていく中、稜弥は難しい事で頭をいっぱいにしながら、真選組屯所へと歩んでいった。


■━━…

「まったく、おてんばにも程がありますねェ稜弥さんは。まァそこがどこかの猪女と違って可愛いんですけど」

「何言ってんスかロリ先輩、稜弥様はロリっていう程小さくありませんッスよ」

「ロリじゃありませんフェミです、貴女と違って明るく優しいと私は言いたいのですよ。私は蕾だけでなく、開いた花も愛でるのです」

「ていうか、今はそういう問題じゃ無いッス!」

稜弥様どこ行ったんですかー!! とか叫びながら、ドタドタを走り回る隊士達。

とりあえず稜弥様を探せ、と命が出たので、必死になって探している最中である。

埃を立て、床が抜ける程に大きな音を立て、会議室からドンドン出て行く隊士達を見つめながら、上官2人は呟いていた。


「稜弥様、最近悩んでた様で、ずっとイライラしてたッス」

来島は心配そうにうつむきながら呟く。

「そうですねェ、私も何度か甲板に一人で居るのを見ました」

武市は力ある眼を高杉にむけ、言った。

「……」

心配そうな素振りも見せず、ただぷかりと煙管を吹かしている高杉。
しかし。

「晋助様、煙管、逆ッスよ! 逆!」

来島が言ったとおり、煙管が上下反対であった。

口の所から灰が落ち、机が焦げていたのはそっとしておいてあげればいいんじゃないかな。

慌てる素振りもなくそっと煙管の向きをもとに戻した高杉に、来島は少しキュンとしてしまう。

「彼も心配なんですね、稜弥さんの事が」

武市が言う。
来島もそっと高杉に視線を向けるが、ただ高杉はぼうっと窓から外を見ていた。


数分が経ち。

高杉はいきなりすくっと立ち上がり、来島と武市の視線を浴びながら、会議室の入り口へ赴いた。

「ちょっ、晋助様、どこ行くッスか!?」

来島がそう聞くと、数秒間をおいて、高杉は


「………散歩だ」

と冷たく返して、会議室から出て行った。


「皆さん結局稜弥様が大好きなんですねェ。愛されてる花、いいですねェ」

「気持ち悪いッス武市変態」

「変態じゃないです先輩です。私達はどうしますか?」

武市がそう聞くと、来島は0,3秒で返事をした。

「もちろん、稜弥様を探しに行くッス。あ、武市先輩は着いて来なくていいッスから」

「即答ですか。いやはや私も稜弥さんはほっとけないというもの・・・」

来島は怪訝そうな顔をした。
武市はその顔に傷つく。

「駄目ッスよ、先輩はそこの侵入者を見張ってて下さいッス」

来島はビシッと指を指した。
その方向には、縄でぐるぐる巻きにされた山崎の姿が。

「侵入者なんてすっかり忘れてましたよ私」

大きく見開かれた眼は、山崎をジッと見つめた。

「私は行ってくるッスから、先輩宜しくお願いしますッスー」

そう言いながらピューッと風を切るようにサッサと出て行った来島を、武市は恨めしそうに見ていた。


■━━・・・