二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ■━…紫弓 【銀魂】 ( No.90 )
- 日時: 2010/03/17 22:04
- 名前: 帽子屋 ◆8ylehYWRbg (ID: vtamjoJM)
- 参照: ──『真実を探しただけで、お前に何の得がある?』
■━━…参拾
『お、オイ兄貴、俺ァ笑えねェ冗談は嫌いだぜ? 何で俺が銀時を…』
稜弥は畳の上に手を付き、高杉に驚きの目を向ける。
高杉はフーッと煙を吐いて、静かな声音で答える。
「銀時は泉菟の危機となりゃァ今すぐにでも殴りこんでくるだろうよ。アイツはこの計画に措(お)いて最も邪魔な存在だからさ」
『だからさ、って…』と、稜弥はうろたえる。
『計画って何だよ、兄貴はあの女がそんなに欲しいのか!? 俺より弱くって、何も出来なさそうな奴なのに!! 昔の盟友を殺してまで手に入れたいモンなのか!? 俺にゃァ…今の兄貴が考えてる事がまったくさっぱり分かんねェよ!!』
稜弥は立ち上がって、そう高杉に怒鳴りつける。
バンッ! と稜弥が叩いた畳は、大きく震動した。
高杉はそれでも、余裕の表情を変えなかった。
稜弥はその高杉の表情にもイライラとし、ギリリと歯を食いしばった。
『あーもう、わっけ分かんねェ!! 兄貴は一体何がしてェんだ!? あんな女がそんなに大事な』
「稜」
『のか』を言う前に、高杉の冷たい声が遮る。
「俺の命令が聞けねェってのか?」
高杉は腰にさしていた刀を抜刀して、言う。
稜弥は何も言えなくなってしまい、ただただ高杉を睨みつけるだけになってしまった。
「頼みでも任務でもねェ、これは命令だ。稜、テメェはこれを全うさせる義務がある。分かったらさっさと行くんだな」
『———ッ!!』
逆らえない
兄貴の命令は絶対
逆らってしまったら
俺はまた1人だ 1人になるに違いない
そんな想いが、稜弥の脳裏を過ぎった。
何も言えない。返事は「分かった」しか許されない。
悔しそうに拳を振るわせる稜弥を見て、高杉は怪訝そうな顔を浮かべる。
「何だ、文句でもあるってのか」
『……何でもねェよ。行って来る』
稜弥は戸を乱暴に開け閉めし、出て行った。
高杉はもう一度煙管を口に咥えた。
■━━…