二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】−白い絆− last up.091001 ( No.2 )
- 日時: 2009/10/01 19:23
- 名前: 暁月 ◆1pEIfYwjr. (ID: mdybEL6F)
何十分か歩いた頃、やっと着いた。
少し大きめの小屋……だろうか。門は手を横に伸ばせば引っかかるほど狭い。
門を潜り抜けて男の人が引き戸を開けて暫く経つと、どたばたと騒がしい足音。
「お帰り!せんせー……」
三人の男の子が玄関までやってきた。
先生、と呼ばれた人の隣に立った私を見て驚いたのだろうか。先生と私とを交互に見て、
「せんせー…誰このちっちゃいの」
ぴっと銀髪の男の子が指を差して言った。
負けじと私もその男の子に指を差して
「お前も同じちっちゃいもん!」
「お前の方がチビ!」
「黙れチビ!」
互いに胸倉を掴みあって「チビ」と罵り合い。
まぁまぁ、と二人を宥める先生と、やれやれと呆れる男の子が二人。
最悪だ。こんな奴に出会ってしまうだなんて。
二、ゼロから始める
「まぁ、銀時は根は優しい子ですから……」
お風呂に入れさせてもらって、先生の部屋で話し合い。これからどうする、とか。
むすっとしている私にやっぱりさっきの事を気にしているのだろうかと、先生は心配して言った。
さっきの白髪、ちょっと生意気。年上だからって。
「ちゃんと、血は落ちたかな?」
「はい、御陰様で」
血塗れた私の刀を先生は磨いていた。
じーっと刀を見ていると、所々刃毀れしている。こんなにじっくり自分の刀を見たのも久しぶりだから。
綺麗になった刀を鞘に戻して、先生は言った。
「何人、斬ってしまいましたか?」
突っ掛かってきた天人は全員斬ってしまったけれど、人数なんて覚えていない。自分が傷つかない事でひっしだったから。
「分かりません」
「そう…」
これからは人を殺めぬように、と言って刀を渡してくれた。もう話は終わりなのかな、と思って部屋から出ようと立ち上がった。
「あぁ、それと一つ聞いてもいいかな」
「…どうぞ」
「名前は?」
名前を聞かれてしまった。なんて答えたらいいのか分からない。
私には名さえ、無いのだから。
どうしたらいいのかと、ずっと黙っていると先生が
「君には…名前、無いのですね…」
と言った。図星だった。
「はい」
正直に答えると、先生はふわりと笑って
「それでは、貴方に名前を付けましょうか」
腕を組んで、暫くう〜んと唸ってから、
「零にしましょう。神崎零。」
ぱんと手を叩いて言った。零?
「ゼロから新しく始める為に」
過去はもう引きずっては駄目ですよ、と言ってぽん、と頭を撫でてくれた。
とても優しくて温かくて。
守るモノなんて必要ないって思っていたのに。
それなのに、これからはこの刀、この命をこの人の為に捧げようって思ってしまうんだ…。