二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 涼宮ハルヒの願望—不定期更新注意!!— ( No.11 )
日時: 2009/10/17 12:25
名前: みやっさん´・ω・`) ◆E53IZBWzfE (ID: yoFsxiYW)
参照: その小説はまだ書くな

第二章

第九話

朝比奈さんは語り始めた。
「えっと、まず。古泉君曰く、二週間で何とかできると聞きました」
「はい」
「過去に戻ることです」
「……過……去? ……ああ、」
「はい。過去に行って、二週間の空いたスペースを埋める事です」
「……はい」
「しかし、これは私自身お勧めできない方法なのです」
「え……何故」
「これはキョン君自身で行わなきゃ行けないことなんです」
「俺が……!?」

時間遡行。
通称、タイムトラベラー。
時間遡行の原理はパラパラ漫画の例えがある。
確か朝比奈さんはこう言った。
(——時間移動は積み重なった時間平面を三次元方に移動すること。未来から来たわたしはパラパラ漫画の途中に描かれたほんのの一部なの——)
この言葉を聞いた後の言葉に引っかかる。
(——時間は連続していないから、仮にわたしがこの時代で歴史を改変しようとしても未来に反映されません。この時間平面上だけで終わってしまう。何百ページもあるパラパラ漫画の一部に余計な落書きをしても、ストーリーは変わらないでしょ——)
こう言った筈だ。
するとどうなんだ。例え俺が過去に戻って記録を書き込んでも、それはこの時間平面上に終わる。
未来には反映されないって事じゃないか?
「そんな事はありません」
朝比奈さんが言う。
「よくあの時の言葉を覚えてくれました。でも大丈夫です」
「既定事項ですから」
朝比奈さんが明るい声で言う。
「禁則……ではなくて、既定事項……なんですか?」
「はい。既定事項です一か八かの既定事項です」
って、事は 成功も失敗も今の俺に関わってるの、か
「最初はびっくりしました。わたし独断では決められませんので、聞きました」
「その答えが……」
「既定事項です。彼を信じろって言われました」
「俺を、信じろ……」
時間はありません。決行は明日。最初の五日間はわたしが付きます。
「残りの九日間は……」
「禁則ですけど、キョン君に九日分の時間遡行ができるようにします。これも一か八かです。本当に
この既定事項は初めてですし、実はわたしも、知らなかったんです……。いつも静かだった涼宮さんの
時間の歪みがいきなりひどくなって……。
この先がよく分かりません……なので」
「既定事項ですっ! キョン君を信じます」
遂には俺に時間遡行の責任者となってしまったか。

「……分かりました。一か八か、ですよね」 
「……はい」
「なら尚更です。俺も頑張ります」

翌日、放課後。
今日ハルヒは部活に顔を出さなかった。訳は聞かなかった。
ただ、今日は俺にとっては労働をする日でもある。
なので、一応今日のSOS団は臨時休業となった。
「こんにちは」
俺が部室に来ると、既に長門、朝比奈さん、古泉が顔を揃えていた。
「えっと、先ずは今日の作戦経路ですね」
と、先に古泉が話し始めた。
「……、ですけど僕は別の仕事があるので、先に失礼します」
と、古泉は朝比奈さんに一言かけて部室に出てしまった。
残ったのは長門と朝比奈さんだった。

「えっと、まずは。キョン君に、話します」
「一応今日は、時間遡行を一回だけ、二週間前に遡行します」
「今のキョン君は一回しか出来ないからです」
「?」
「やれば、わかると思います」
今日の朝比奈さんの風格は全く違っていた。
いつもの様な、朝比奈ではなく、未来人としての使命を果たすような、そんな感じがした。

「では、キョン君。……分かりますよね?」
勿論です。と、俺は部室に転がっているパイプ椅子を一個持っていき、そこに腰掛けた。
「では、長門さんもお願いします」
と、朝比奈さんの言葉に長門は素直に聞いて俺と同じ動作を行った。
「……では行きます」
朝比奈さんは深く深呼吸をした後、
「キョン君、眼を瞑って下さい」
俺は、眼を閉じると、頭の中がザワザワし始めた。
そうだ、アレがくる——。
俺は警戒しながら、眼を瞑った。それを朝比奈さんが悟ったか、
「楽にいて、ください」
朝比奈さんはそう言って俺の耳元に、
「キョン君……」
…………
……————!!
きた——————!!
とても眼を開ける状態ではいられなかった。
意識が、朦朧としてきた。
激しく上下に揺られ、安全ベルトをしていないジェットコースターの様だった。
こうなったら、エチケット袋のひとつでも持ってくりゃ良かった——。
と、俺はよろしくないと思ったが、そこらへんにリバースでもしようと思ったが、する必要は無かった。
どんどん意識が回復してきた。
足が地面に着いている。
ガクッ、
「キョン君!! 大丈夫ですか!?」
柔らかい声がした。俺は足がガクッとなって膝を地面に着かせていた。
「……はい、大丈夫です」
や、半分大丈夫ではないが、朝比奈さんに情けないとこは見せる訳にはいかない。
よっこいしょ、と立ち上がり眼に浮かんだのはSOS団の部室のドアだった。
「現在、二週間前の四時前です」
「……」
長門もいた、あいつは遡行になんの負傷はなさそだ。
「キョン君、信じてないでしょ?」
いやいや、まさか。
「証拠は有ります。ほら」
と、朝比奈さんは腕に着けていたデジタル時計を見した。
確かに俺らの平面上より二週間前にいた。