二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 涼宮ハルヒの願望—不定期更新注意!!— ( No.14 )
日時: 2009/10/17 12:39
名前: みやっさん´・ω・`) ◆E53IZBWzfE (ID: yoFsxiYW)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=12450

第十話‐а

「では、どうやって乗り込みましょう」
乗り込みましょう? と言うと、俺らはこの時点で犯罪行為をしているのと等しい。犯罪行為ではないのだが、言葉的に汚らしい感じがするのでテイクツー。
「どうやって、SOS団の部室を人気のない感じに潜入できるんですか?」
何をやっても駄目だ。結局犯罪的な手口に向かうって事だね。
「大丈夫です。長門さんのお陰で、助かってます」
すると長門が、
「——————————」
例の高速言語を繰り出した。
「完了」
「何を……行ったんだ。長門」
「この時間平面状の人物たちに見られないように私たちの固体の存在を消去した」
あー……と、ようするに俺らは見えないようになってるんだな。
「そう」
あれ、じゃあこの平面状の長門も、だよな。
「そう」
と、俺に二週間前の記憶が蘇った。
「確か、無人な筈がドアが開いてハルヒが幽霊だ!!って叫ぶんだよな」
「そう」
「で、長門は誰も感じ取れないって言うんだよな」
「そう」
「あれは、俺たちなんだな」
「あれはただの偶然。今の私たちは平面状で別のことを行う」
「パラレルワールド」
長門は淡々と語り続ける。
「様々な分岐点のあるパラレルワールドの一つを行う」
「て、事は後々支障が残るんじゃないか?」
「時間はパラパラ漫画みたいですよ」
と、そこで朝比奈さんは言う。
「今やってる事はパラパラ漫画の一ページだけの事なんです。つまりこの前の二週間前の行動を、私たちがやったことに上書きすることです」
確かその後、ハルヒと俺らで外に出て行って隅から隅に学校内を歩いたな。
「どっちみち、また後で元の過去の時間平面にぶつかるんですね」
「そう。でもこれから行うのは日記の上書きです。そこでまた別のパラレルワールドに突入します。あ、大丈夫です。うまく続いて元の時間平面に繋がる事は確かです」
「そうですか」
たった二週間なのに随分と時を感じる。
ハルヒが変わっちゃったからか? 懐かしく感じるのは。
「えっと、じゃあいきます」
ガチャッ。
そこには様々な眼をした面子がそこにいた。
まずに変な目をして見つめる俺。本から絶対逸らさない長門。驚愕のあまり黄金茶を落としそうになった朝比奈さん。「おやまぁ」と呑気な声を出す古泉。
そして——、

「………お化け! お化けよ!! キョン! お化よ!!」
正にハルヒだ。久しぶりの涼しい声。面白いことが起きた時にみせる炎天下の元に咲く向日葵のような笑顔。
俺の眼に映ったのは、
あの涼宮ハルヒだった——。
そこでこの平面状にいる俺は、
「お化け、お化け連呼すんな。んな訳ねぇだろ。まぐれだろ」
「いいえ、お化けよ! お化けはあたし達を、待っているんだわ!!」
ああ、やっぱりこいつはハルヒだ。と懐かしく思いながら二週間前のSOS団を見つめる。
「さあ、行くわよ!!」
「何処へだ?」
「お化けを追っかけに行くわ! そしたらこの手で成仏してあげましょう」
向こうの俺はやれやれ、と大きな溜息。うん。分かるぞ。頑張れ、俺。
そして足早にSOS団は出て行ってしまった。
すると、踊り場から、
「キョン! 今日の記録は大きなものになりそうわ!!」
そうか、今日の記録はあのお化けについてか。結局面倒になって書かなかったけどな。
「それじゃあ、乗り込みますか」
「はい、そうですね」
俺と、朝比奈さんと長門で部室に足を入れる。

「えーと、記録集……記録集はっ、と……」
今やってるのは泥棒っとまでは行かないが、やってる事に罪はある。
「くそー……俺の奴、何処にしまったんだっか……」
すると、
パサッ、
何かを落としたような乾いた音がした。
『SOS団記録集』、だった。
長門はそれを見つめた後、俺を見つめる。
「……」
長門が見つけたのか? しかしその周りには何も無かった。何処に落としたのか……。
「おっ、長門が見つけてくれたのか。サンキュ」
早速書こうとしたが、なんせ二週間も前の事だ。あんまわからない事もある。
「朝比奈さん」
「あ、はい」
俺は朝比奈さんに問いかけた。
「まだここにいる時間はありますか?」
「え、……実は時間があったりー……無かったりー……」
たぶん無いな。
「時間って、延ばせますか?」
「—————!?」
まずい事を言ってしまったか、朝比奈さんは声に出ない驚きの様子。
「あ……すいません。まずい事、言ってしまいましたか?」
「えー、あ、はい。ちょっとまずい……と、思います」
「あの、向こうに聞いたりとか……」
「絶対無理だと思います!! 時間遡行の簡単許可だって有り得ないだし、
キョン君一人で遡行しろ、とか要求しすぎで……禁則を突破してしまいそうで……」
「できる」
長門がそういって朝比奈さんを見つめる。
「え……出来るって……」
「いいから」
「?」
「?」
俺と朝比奈さんの頭上には?マークが浮いている。
「聞いて」
「え……あ、はい!」 
えらく命令風だな……と思いながら朝比奈さんは部室を出た。
………
……

朝比奈さんに大変申し訳ないと思うが、俺らは待っていた。
長門は勝手に本棚から本を取って静かに読んでいる。
パタパタパタ……。
すると、近くから足音がして、
「キョン君!!」
半ば叫び気味な声を出して朝比奈さんが帰ってきた。
「許可が通ってしまいました……じゃあいいよ、って……ホントはどれも禁則なのに型破り状態です」
それは、未来の組織は随分と丸いモンだ。
「違います!! ホントはどれも許せません! だけど、」
だけど、
「相手がキョン君なら信じろ……って」
また俺が……か?
「じゃあ何時間延ばせますか?」
「いつでもいいって……有り得ません」
これは、向こうに信じられてるなんて、責任状態だ。
「じゃあ、ハルヒ達を追いましょう」
「? え……はい」