二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 涼宮ハルヒの願望 ( No.3 )
- 日時: 2009/10/16 12:35
- 名前: みやっさん´・ω・`) ◆E53IZBWzfE (ID: yoFsxiYW)
第一章
第一話
「これより、SOS団緊急会議を始めるわ!」
突然おっぱじまった緊急会議、もちろん。この時間になるまでハルヒ以外の面子はみんな何が始まるのか分からなかった。ってか、いつもそうだよな。
ハルヒは高らかに叫び団長机に乗っかった。
「我々SOS団が結成してから早一年。市内探索も頻繁にやってる今日のこの頃、宇宙人や未来人や超能力者の一人も転がっていないとは! 何事でしょう!!」
だからな、ハルヒ。この惑星はそんな二次元的な事や
SF的な事なんて起こらないんだ。
この惑星は科学の国だ。いかに数百機のロケットや
衛星を飛ばしたってな。それらしいもんは見つかんないんだ。いいか、そんなけったいな奴らも馬鹿じゃないんだ。そう簡単に見つかる考えはやめ……、
「キョン! うるさいっ! 会議中は私語を慎みなさい! 耳障り!!」
俺のぼやき(極小)を聞き取ったのか、ハルヒは目を三角にして口を尖らせ怒鳴る。変なとこで地獄耳な奴だ。
「アンタのその消極的な性格。全っ然変わんないわね
周りをよっく見なさい!!」
と、ハルヒは大げさに腕を大きく輪を描くように俺に見せた。この様子じゃ、俺とその他の連中のスキルを自分で見分けろってことだ。ハルヒはここまで言いたくないらしい。面倒だからかもな。
おっしゃる通りに周りを見た。
まず俺の目はお茶を優しく淹れ皆に配膳する麗しき
メイド、朝比奈さんを見た。
ハルヒは茶飲み用のコップを俺の前に突き上げる。
「みくるちゃんはね、この一年本当メイドとして頑張ってくれたわ」
アホ。朝比奈さんはメイドとしてだけじゃねぇぞ。
「わかってるわよ! この茶っ葉を見なさい!」
ズコー!! 分かってねー!!
「すごい味が違うわ! みくるちゃんは正にSOS団の下の力持ちよ!」
勝手にことわざを変え、ハルヒは朝比奈さんを自慢の
愛娘のようニ「よーし、よーし」と朝比奈さんの頭部を
撫でている。一方の朝比奈さんは照れ気味で、
「そんなこと無いですぅ」とおっしゃる。
ま、俺も朝比奈さんの進化には同意だ。
次に俺は隅でハードカバー本を黙読している置物に程近い少女、長戸有希を見た。
「……」
ハルヒは俺の視線の先を指した。
「有希もこの一年で変わったわ。SOS団団員としての
自覚を持ってるわ! 言葉では発さないけど、あたし
にはわかるの!」
と、発言。そして俺の方を向いて鼻を鳴らす。忌々しい。
まぁ長門も変わったもんだ。無口には無口なりの意思表示つーかそんなもんが分かりやすくなったとか……。
感情が芽生えてきたんだよな。俺にも分かるさ、ハルヒ。
だがお前は知らんが長門は運命ごと決められている組織にも負けちゃあいないんだ。長門にとっても、SOS団は過ごし易い……アジトになってんだ。
そしてハルヒは「SOS団記録集」と書かれたノートを
広げ待ってるニヤケハンサム古泉を指差した。
「古泉君は団内で一番昇格の早い人よ。副団長として
人間としてとてもよくできる人材よ」
古泉はそれを聞いて「どうも」と会釈。そして俺に微笑みをかける。……なんだそんなに褒められたかったのか?お前は。
ちなみに、「SOS団記録集」というのは前回のSOS団会議で古泉が珍しく発言した意見が形となった奴だ。中身というのは所謂業務日記だ。
「足跡を残せれば、」と卒業シーズンのように答える学級委員長のような発言をしたが、ハルヒはそれに絶賛し、採用された。
しかし設立者が古泉なのに俺が週三で古泉が週二となってる。理由はハルヒ曰く「設立者の目下として人より多く働くの」と発言したからだ。理不尽な。
まぁ前のページから見ても俺が綴った日は大抵、
「朝比奈さんの淹れたお茶は今日も美味かった」
とか、
「大富豪で古泉に勝ったざまぁみろ。次は賭け金で勝負だ」など、
そういうのしか記録してねぇ。そもそも記録つったって行事や出来事だってさらさらないし、俺はただ淡々と日常を綴っただけだ。悪いか?
ハルヒは怒りを抑えんばかりに俺に怒鳴った。
「一言日記でもないし、朝顔日記でもないの! 日記
を書くことで、もっとSOS団の中という中が分かるの!! あといつまで経っても平団員だったら、次くる一年坊になめられるわよ? その育ちの悪いヘチマみたいな根性、あたしが叩き直してあげるわ!!」
結構。分かった。業務日記ももうちょっとグレード
アップしてやる。一年坊になめられるのはご免だ。
「ふんっ! わかりゃあいいのよ!」
そういってハルヒは「もういいわ! 会議終了!」
と放ち、会議が終了した。
さて? この微妙な空気で俺がやることは一つ、今日はSOS団業務日記の記録日だ。
何を書くか……。
『今日はSOS団緊急会議があった。議題は、宇宙人(略)についてだ。……といいたいが。俺の正論をハルヒが「消極的!!」なんて言い出し、そこから、話が変わってしまった。
俺は、そこで驚いたことがあった。
なんと、ハルヒは朝比奈さんや長門や古泉の長所を述べていたのだ。まさかあのハルヒが? なんて思ったが、どうも口頭弁論ではなさそうだ。
別に馬鹿にしてるわけではないのでが、教室でいつもむっすりしていて、相手の事など絶対離せないような見た目なのだがしっかりと見つけ出せてるからこそ述べたんだな、と俺は感心した。
一年前のような奴とはだいぶ違うんだな……。
相変わらず横暴だが、何よりもSOS団が好きな団長様
何だな。あんまハルヒに見られたくない文だな、今日はここまで……』
と俺が書きかけの業務日記をハルヒは引っ手繰って
目を拗らせている。
「ちょ! おい……」
「………」
おっ、これは……どんな感じなのか?
ハルヒのことだからこの団長様に王権の恥をかかせるような文は書くなー!! と、言うところだけど……。
「あんた、これ本当に思って書いたの? ……嘘……じゃない?」
嘘も何も俺がこんなおだてられる様なモンでも書くと思ったか。素だよ、素。
「まぁ……そうだな、お前の心情変化。って奴?」
「何よ……でも……」
ハルヒは目を丸めながらまじまじとノートを見つめる。
「ふーん」
「なんだよ?」
「何でもないわ。ホラ、」
そう言って業務日記を机に置いた。
よく見ると周りも、長門も顔を上げハルヒを見ていた。
「今日、帰るわ。じゃね」
そう言ってハルヒは部室を出てしまった。
この奇妙な反応に俺の心の片隅に嫌な予感がよぎっている。
「やっぱ何かありそうだな……ハルヒ」