二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: — 涼宮ハルヒの嫉妬 — ( No.10 )
- 日時: 2009/10/31 09:41
- 名前: song (ID: p17IpJNR)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=12630
俺は思わぬアクシデントで家に戻らねばならない状況になった。望まぬお土産と共に。
「……確かキョンさんって言うんですよね?」
何食わぬ顔でその子は言う。
「それはあだ名だ」
もはや、俺のあだ名は全校生徒に知られている。ハルヒのせいで……
定着したとは言え、今そこで知り合った子にそのあだ名で呼ばれたことは少し心外だった。
「不思議には思われないんですね。自分のあだ名が知れてることに」
どうやら、俺のリアクションにご不満のようだ。
「……とりあえず敬語を省いてくれ、たぶん同年代だし、返っておぞ気がしてならん」
頑なに俺は、この子が低姿勢で接する形を拒んだ。
「うん、わかった」
その案は直で通った。
「……よし」
俺は歩きながら、その子の方を向かず、言葉だけを発した。
ちなみに……——この子が俺の敬語を省くよう言ったことをどう受け取ったかは以下の一言からも甚だ疑問であるが……
「ちょっとキョンの印象変わった」
「は? 」
今あったばかりの子が言うセリフだろうか?
「あ、ううん。独り言……」
聞きようによっては俺の性格が悪かったような言い方だったが……
「……そうか? 」
俺は気にせず聞き流した。
時に、世間的には敬語を省く動作はお互いの距離を縮めることらしい。
賢明な方ならお気づきだろうか?
完全に遅刻覚悟の上で事は急展開に狂い始めることとなった。それは俺の不用意な発言が種になって。
いらん事を言ってしまった……
俺は心の中で今までないほどにへこんだ。いや、むしろ恥ずかしいくらいだ。
俺が敬語を省けと言ったのは、何度も謝るこの子が可哀想に思えたからで、特別感情を込めたわけではない。それなのに……
「…………」
この子は俺との対話の中でどんどん赤くなる。どちらかと言えば、言葉を交わすごとにと言う感じだが……
「自転車重くない? 持つの代わってもいいけど……」
女の子は何気に俺に聞いた。
「バカ言え。20㎏はあるんだ、肩が脱臼するぞ? 」
「えぇ! そんなにその自転車重いの? 」
少し驚いた風に女の子は言った。
……もちろん、俺が持った感覚で言っただけだから、もしかしたら20kgもないかもしれんが……
「心配せんでも、問題なぃぃ…… !? 」
一瞬、左足がグラっと揺れた。それに加え自転車をずっと抱えていてだいぶ足腰が辛くなり声も少し鈍くなってきたのだ。
「あ!大丈夫?」
俺のことを気遣ってか、その子心配するようんな面持ちになった。
「あぁ、問題ない……! 」
強がった。
「……足、震えてるよ?」
静かに笑いながらも、鋭い指摘が返ってきた。
「何のこれしき……ッ!」
家まで、もう少し。女の子の存在も相まって、ここまで来たのだから、プライド的なものが休憩を許さない。
「いじっぱり、だね……」
さりげないツッコミが跳んだ。
「ほれ、もう見えてきた。もう一ふんばりだ」
言わずもがな、俺は声を張った。