二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 永久の残像  【REBORN】 ( No.95 )
日時: 2009/12/28 23:09
名前: まゆか (ID: TEX5izSi)

+第8夜【Gentilezza ed un amico】+


今朝 通った時より、微かに影が差した廊下————————————

そこを無言のまま歩く二人は、来た時よりも重い足取りで進んでいた。


やがて雛は、小さく溜め息をついたかと思うと、そっと肩に回されていたフランの手を退ける。


「.......................もう、良い」


「え?でも、その傷じゃ—————————」


そう言いかけたフランの言葉を、雛は「それ以上 言わなくて良い」と言うように片手を上げ、強制的に止めた。


一方のフランは、チラリと雛の体に視線を移し、怪我の具合を確認する。

体の所々に出来た、微かな火傷。
手足の動きが鈍い所を考えると、どこか打撲でもしているのかも知れない。

しかも今の雛は、普通なら燃やされていたであろう状況から、奇跡的に生きているようなものなのだ。


そんな状態で無理に体を動かせば、本当に死ぬ可能性だってある。


「私が死のうと....................どうせ、誰も悲しまないだろうからな」


まるでフランの心を読んだように、雛は静かに目を伏せた。


その小さな呟きは———————————まるで、この世界に絶望したような。
いつ死んでも良いと言うような、そんな声音だった。



————————————————死んだら、〝彼〟にも会えるのだろうか?



そして、無言のまま歩き出した雛に——————————フランは思わず、その腕を掴んだ。



「!?............な、.........離せっ!」

「........................嫌です」



フランは雛を引き留めながら、微かに顔を俯かせた。そんな様子のフランを見て、雛も苦しそうに顔を歪める。



「お前は、......................どうして私に関わるんだ」



そう言いながら、雛は次第に表情を暗くしていった。
だが一方のフランは、相変わらず顔を俯かせたまま。



「まだ、会って数時間だぞ?私は.................誰かに優しくなんかされたくないんだ!」



雛がそう叫ぶと、フランは「違いますよっ!」と珍しく大声をあげる。
それには、流石の雛も驚き、呆然と目を見開いた。


「ミーは..........別に、優しくなんかしてません。ただ、................どんな事情があっても、雛さんはヴァリアーの仲間でしょ?」


「!でも私は、ザンザスに攻撃して———————」



「あのボスが、"手当てしろ〟って言ったんですよー?つまり、幹部として認めたって事です」



そうフランが呟くと、雛は静かに自分の胸に手を当て、そっと目を閉じた。




【あそこは...................確かに、裏の世界だよ。でも、同時に優しさもあるんだ】



——————————————お前の言ってた言葉、今なら分かるかもな。




「?..........雛さん、何してるんですか?」

「.......................別に」


不思議そうな表情のフランに小さく返答すると、ふと目の前に手を差し出された。


どうやら、〝掴まれ〟と言う事らしい。



「ほら、早く手当てしますよ」


そう言いながら微笑んだフランを、雛はジッと見つめる。



———————————————忘れるな、自分の目的を。でも、今は・・・・


   
「...................仕方がないな」


雛は呆れたように声を漏らすと、ゆっくりとフランの手を握り締めた。


続く。。。


タイトル【優しさと仲間】