二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.Gray-man †運命の歯車† ( No.19 )
日時: 2009/12/06 20:09
名前: 悠 ◆FXzmrZiArI (ID: w3Re2V0V)

     † 第二章「操り人形」  第一夜 †


______________ジリリリリ。


目覚まし時計の音で目が覚めた。カーテンの隙間から朝日が入り込んできて眩しい。
だが、カーテンを閉めるのも面倒なので布団を頭から被る。

そして、いつまでも五月蝿い目覚まし時計を手探りで止める。
布団の隙間から時計に目をやるともう八時をとっくに過ぎているが、起きる気はない。

しかし、かすかに扉の先の廊下からコツ、コツ、コツ、とブーツの靴音が聞こえる。
それは、真っ直ぐこの部屋に向かってきている。

その音の持ち主は誰で、何の為に来ているかなんて知らなくはない。

      ________むしろ知っている。


不意に靴音が止まった。目的地に着いたのだろう。
覚悟を決めて寝た振りというものを実行することにした。

         _______________バタン!!


すぐそこにある扉が勢いよく開けられる。そのおかげで風が吹く。

 「ヴァル?いつまで寝てるのよ!!!!!!」

その声の主はリナリー・リー。あのシスコン野郎の妹である。
そして、寝ている振りをしているのは一番面倒臭がりなエクソシストのヴァル。

リナリーがベッドに近寄るが勿論ヴァルは起きようとしない。
そして、リナリーは強行手段に入る。

 「寝た振りをしても無駄よ!」

そう言って、布団を引っ張る。これでは、実行不可能となってしまう。
というか、バレている為ヴァルは渋々起き出す。

 「早く朝ご飯食べて早く兄さんのとこに来てね」

笑顔で最後そう言われ分かった、と同意するしかなかった。







食堂に着くと意外にも人は少なかった。
もう九時なのだから皆はもう任務に行ったらしい。
何かを食べる気はもうしないので、コーヒーだけ頼んでアレンたちの前に座った。

 「あれ?それだけだとお腹すきませんか?」

いつも通りテーブルに空の皿を積み上げて出来たタワーを横にしてアレンが言う。
その二つとなりで神田は平然と蕎麦を食っている。
そして、二人にはさまれたラビが皿タワーの皿の枚数を数えていた。

 「大丈夫だ。これを見るだけで腹がいっぱいになる」

目の前にある皿タワーをチラッと見てからヴァルは答える。
アレンの座高を軽くこすタワーは一体どこまで続くだろう。

 「で、今日もあいつに起こされたのか?」

少し馬鹿にした口調で珍しく会話に入ってくる神田。あいつとは勿論リナリーの事。
任務と起きるのが面倒で放っておいたらいつまでも寝ているヴァルを起こすのは、
リナリーの仕事となっている。理由は簡単。

    ______リナリーだけには頭が上がらないから。

 「今日は、だ。いつもいつも起こされている訳じゃない!」

コーヒーを全て飲み干してから立ち上がりその言葉を残して室長室へと去っていった。
面倒クセェ、という言葉も添えつけて____。







 「コムイ、来たぞ!」

乱暴に扉を開けてヴァルが室長室にやっと来た。ただ今の時刻、九時半。

 「ヴァル!早く来てって言ったでしょ?」
 「面倒クセェ」
 「エクソシストが任務を面倒くさがらないの!」
 「フンッ!」

リナリーに言われヴァルはそっぽを向いた。その行動は子供を思わせた。

 「じゃあ、いいかな?今回の任務はスペインなんだけど……。
  ヴァルという一族が関係していたと思われる遺跡があってね。それを調査してきてほしい。
  そこには方舟は開けないから汽車で行って来てほしい」

 「面倒な任務だな。サボッていいか?」
 「ヴァル君、それは本気で言ってるのかい?」
 「……冗談だよ。じゃあ、行ってくる」










       「__________この任務は面白そうだ」


                          つづく