二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: D.Gray-man †運命の歯車† ( No.29 )
日時: 2009/12/13 17:07
名前: 悠 ◆FXzmrZiArI (ID: w3Re2V0V)

     † 第二章「操り人形」  第五夜 †


                 「イノセンス発動!!」

手をかけていた刀の形状だったイノセンスが鞘ごと水状になった。
その水と化したイノセンスは槍状になりながら
すぐ後ろにいたレギに向かって勢いよく伸びた。
レギはすぐさま後退して伸びてきた槍を鎌で受け止める。
__だが、思ったよりも水で出来た槍は威力が凄く踏ん張らないと吹っ飛ばされそうだ。
思いっきり力を込めて槍を投げ払う。
槍はグルンッと廻ってヴァルの方へ進み蛇のようにヴァルの周りで動いている。
ヴァルは柄を持ちながらその槍を操っている。

 「凄いだろ。白刃は水と氷に変化できる。
  まぁ今日のような天気では威力は少し落ちるけどな」

不敵な笑みを浮かべながら柄を前に差し出す。
すると柄の周りに槍が集まり刀身が純白な長刀へとなった。

 「…水や氷など脆い物だろ」
 「さぁな?」

鎌を構えなおすレギに向かって挑発的な口調でヴァルはレギを見下ろす。
しかしそう言うヴァルは少しだけ息があがっていた。


          __あぁ、もう最悪の天気じゃねぇか!!


空を見上げると雲一つ無い綺麗な青空。
太陽は少し傾いたくらいなので多分午後一時頃だろう。
つまり一日の中で最も気温の高い時間帯なのである。

 「どうした。攻撃してこねぇのか?」

ずっと空を見ているヴァルに今度はレギが挑発的な口調で問う。
そんなレギにヴァルは舌打ちをしてから切っ先を向けた。

 「俺がお前を待ってやってんだよ」
 「強がりだなお前。戦いにおいて待つというのは自殺行為だぞ?」
 「じゃあ何故お前は今待っている?さっさとかかってこればいいじゃねぇか」



          __早く帰りてぇな。あ、そういえば昨日スペインでは……。


 「ではお望み通りお前を斬ってやろうか」
 「なにも望んでねぇけど……!!」

レギがそう言いながら鎌を再度構えた瞬間目の前から消えた。
いや消えたのではない。移動したのが早くて目が追いつけていないだけだ。


                        __キイィィン!!



目の前に迫った鎌を白刃で受け止めるが
細い白刃では大きい刃の持つ鎌に勝とうというのは少し無謀だ。

 「水龍!!」

ヴァルがそう叫ぶとレギの後ろに巨大な水の龍が地面から現れた。
レギが慌てて振り返ると目の前に水の龍が迫っていた。

その間にヴァルはレギとの距離をとっていた。そして__。


 「水龍、そのままソイツを飲み込め!!」

水龍は大きな口を開けそのままレギを飲み込んだ。
飲み込んだといっても水なのでレギの姿はまだ見えている。

 「…クッ!!こんな大量の水をどこから……!!」

水龍の中でもがきながらレギはヴァルに向かって叫ぶ。

 「説明すんのは面倒なのでヒント。昨日のここの天気は?」
 「天気…?」
 「そう。それヒント」
 「確かスペインは…!!」

レギの顔が驚愕した顔へとなった。どうやら分かったらしい。
昨日のスペインの天気は大雨。地下には大量の水があるだろう。
それ使ったというわけだ。


 「分かったか?まぁ晴天の日にこんな大量の水を操ると疲れんるんだけどな…」

そう言うヴァルはかなり息があがっている。肩で大きく息をしている。
そしてそのままヴァルは駅のほうへ戻ろうとした。
勿論帰るため。一応遺跡調査というものはしたのだからさっさと帰りたかった。

 「どこへ行く!」
 「……どこって帰るんだけど?」
 「オレをそのままにしていいのかよ」
 「放っておけば死ぬじゃんか」

水龍の中には少しだけ酸素はあるがそのままにしておけば酸素は無くなり呼吸が出来ず死ぬ。

 「っつーか喋ると空気なくなるぞ?」

振り向きながら正直な感想を言った。敵にアドバイス的な事を言う意味は無いがなんとなく。
だが少し疑問が出て来た。
先ほどは喋った時にモガモガという水に空気が入るような声だったが
今はどうだった?ちゃんとした声になっていなかったか_?

思った時には既に遅し。目の前に三日月のような形の衝撃波と思われるものが迫っていた。
反射的に白刃で受け止めるが白刃はいともたやすく折れた。

次の瞬間。身体に物凄い痛みが走った。




             _______あ、これヤバイんじゃ…ねぇ……の?




倒れていく自分が最後に見たのは大きな鎌となびく銀色の長髪と。


        〟〟〟〟〟
燃え盛るように真っ紅な瞳_______________。




                             続く